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瞳孔に咲く花

発酵した月。昨日撮影したものだ。

最近では、身辺雑記よりも思いついた言葉をつづっていることが多いのだけど、今日は日記。しかも、わたしは、有名なSというコーヒー店で、ポメラを広げているというわけだ。なんて、ありきたり。
 こんな、素寒貧のわたしが、こんな贅沢を謳歌しているわけは、退職してしまった同僚がわたしにSコーヒー店で使用できるギフトカードを送ってくれたからである。

 このような場所にきて良いのだろうかと想ったし、昨今の世界平和などを考えると、複雑な心境だ。でも、ギフトカードでしはらえば、無料である。残業帰りのすさんだ心を沈めるために、一秒くらい歯を食いしばってわたしは入店する。ほんとは、バスを降りて走った。いつも、空腹を手なずけられない。ホットのコーヒーと、一番高いソーセージパンを注文する。こんな場所にきてまで、貧乏風が吹いている気分だった。
ソーセージのパンは二種類あり、違いがわからなかったけれど、バスを乗り継ぐまでのわずかな時間だったため、わたしは値段の高い方を選んだ。ホットのドリンクを使い捨てで頼んだ。野暮だ。阿呆。
 チーズが入っているだろうと、かぶりつくと、入っていたのは、つぶして味付けされた芋だった。残念。トムジェリのジェリくらい、チーズがすきやねん。それなのに、わたしは、無料だからといって、決断をあやまったのだ。無念。

 そして、わたしは、現在ただならぬ感情に心を奪われている。
歌って踊れる、外国の男性グループに、夢中である。
 いわゆる、推しができたというやつだ。
何年ぶりかのこの感情に、現在とまどっている。

 もう、人生あと半分という年頃のため、その歌って踊れる美しいグループの美しい人たちは、もちろん年下である。
 そのグループには、一人だけ、人間ではないフィギアのような造形美をもつメンバーがいるのだけど、そうではない他のメンバーも、美しく鱗粉、金粉、などまとわりつかせ、動く度に、金の気配と、恋の予感、もちろん、各々の銀河をきらめかせ、世界中の人を幸福にする一助になっているかと想う。ああ、こうして、平和を願う浅ましさよ、と、ひとりごちる。ひとり子散る。言葉は素敵。

 残業中、彼らの歌をひとりの部屋で、小さく流して、わたしは落涙しそうになる。
 
彼らの足の裏の皮膚が、わたしの顎の裏の、一番傷ついていない皮膚だろうと思うと、わたしは、わたしの皮をなめして、違法売買にでも参画してしまおうかと思うって、どんな阿呆。

 とにかくともかく、一人で重石を結んで歩いているみたいに、しんどい日が続いている。すべての運にみはなされてそうな気持ちになるけど、推しがなんちゃら~!!!みたいな気持ちをお与えくださって、ありがとう。そして、どんだけこじらせるのか、もう自分への観察がとまらない。

そろそろ、バスがくる。

歩き出して、安全地帯の、メロディーという歌が頭に浮かぶ。思わず、落涙、割愛。わたしは、歌がすきだ。

バスがなかなか来ない。そう思って、時刻表を見ると、見間違えており、バスはもう来なかった。

そして、誰もいなくなった


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