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【日本全国ローカル梅】#3 香りにうっとり!そのままで美しい御菓子のような京都の梅「城州白」(京都府城陽市)

今年漬けた中でも特に「我が家のお気に入り」となった梅の品種がいくつかある。中でも圧倒的だったのが「城州白」。箱を開けた時点で他の梅とは全く違っていた。
とにかく香りが良い。段違いに良い。
十郎梅の香りに関して蝋梅やかりんを例えに出したが、その種の香りが非常に濃い。更に桃や杏にも近いような香りをも含み、複雑だがあくまで自然なものすごく良い香り。箱から香りが廊下中に漂い、それを嗅いだ夫が「ああいい匂い」とうっとりしていた。

城州白は十分熟した状態で入手したため香りが強かったのもあると思う。が、その香りは梅干しにしてもジャムにしても変わることなく我々をうっとりさせた。
3キロちょっと届いたので、熟し過ぎたものや傷がある分をジャム用に、残りを3種類の漬け方で梅干しにした。元々の香りが良いのでしそは使わず白干しに。使う塩(いつも使っている鳴門の塩と、途中で切らしたのでイタリア料理に使っているシチリアの塩)が異なる2種類と、香りが甘いのではちみつとりんご酢を少しずつ使ったのも試してみた。

ジャムは驚くほど美味しくできた。
一般に梅ジャムはもともとの実が酸っぱいので果実の8割~同量程度の砂糖を加えることが多いようだが、この城州白はそのまま食べられそうなほど香りが甘く、柔らかかったので(試しに1個食べてみたがさすがに甘くはなかった。味の薄いフルーツという感じ)今回は半量の三温糖を使った。
洗った梅の実をほうろうの小鍋で柔らかくなるまで茹で、種を除き、三温糖と焦げ付かない程度の水を加えて弱火にかけ、出て来た灰汁を除きつつとろりとするまで煮た。皮も薄く柔らかかったので加熱する間に崩れてジャムと同化した。濾していないのにこのなめらかさ、やはり城州白はすごい。

杏ジャムに似たきれいな色だが香りはあくまで城州白。そうそうロシアンティーにもおすすめです

このジャムがまあ本当に美味しかった。大量に出来ていたら間違いなく周り中に配りまくっていたに違いない。こんなに美味しい梅ジャムは食べたことがなかった。素人が適当に作ったとは思えない(城州白の実力)。私の好きな山形銘菓「のし梅」の香りと味によく似ている。それでいてとてもなめらか。喉越しが良い。
パンとの相性は言うまでもなく、ヨーグルトにもぴったりだし、ホットケーキやクレープにも良い。夫は義母や義姉にも送って食べさせたかったようで「来年も作って」と念押しされた。来年はもっと多く買ってたくさん作ろう。

梅干しもやはり他の品種とは違った出来に仕上がった。香りが際立っているので言わずとも「これ城州白だね」とすぐにわかる。
ただ、成程と思ったのは、塩だけで漬けたものよりはちみつとりんご酢を少量使ったものの方が美味しく感じた、ということ。これは他の梅にはない特徴だった。

はちみつとりんご酢入り。甘味や酢を加えると低塩でもカビにくい
普段家で使っている「鳴門の塩」(ドンキのPB)。さらさらで扱いやすく、味も良いので気に入っていたが、最近見なくなってしまった
粒の細かいシチリアの塩。イタリア料理には重宝するが、ミネラル分が強い味で梅干しには向かなかった

いろいろ漬けてみて、夫は塩だけを使ったシンプルな白干しを最も好むし、私も元来甘みを加えない漬け方が好きだ。だが香りの甘い城州白に関しては、重量の10%のはちみつ(二度に分け、溶かしながら加えた)と3%のりんご酢、8%の塩を使った漬け方が最もその特長が活き、まろやかで美味しいと感じた。甘みを加えると縮みにくいので、見た目もふっくらと艶のある仕上がりになる。
それと、シチリアの塩を使った分はアルカリっぽい硬さを微妙に舌先に感じた。おそらく塩の特徴が想定以上に出たためで、鳴門の塩では感じなかったことだ。やはり日本の梅には日本の塩ですね。

城州白は梅酢も美味しかった

そんな訳で来年以降も城州白はできるだけ熟した状態で買い、ジャムをたくさんと、少しだけはちみつを入れた梅干しを作りたい。市販ではなかなか出回らない品種だと思うので(梅酒に使われているのは時々見る)生梅を買って自分で漬ける価値は十分以上にある。

でも、城州白の産地である京都府城陽市の「青谷梅工房」さんでは城州白の梅干しやジャムを通年買うことができる。通販でも買えるので、食べてみたい方は是非。土曜日には朝市も開催されている。お近くの方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。梅コロッケとか美味しそうですよね…(食べたい)

今夏訪れ買って来た青谷梅工房さんの梅干し。しそ漬けもやっぱり美味しい

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