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【おうちで発酵・漬物】#23 数年ぶりに4度目のアンチョビを仕込む~過去3度の経験から「頭・内臓なし、骨付き」で塩漬け

昨日の朝、自宅から最も近いスーパーへ行くとなんと!唐揚げ用背黒いわしが売られていた。一気に心が躍る。久しぶりにアンチョビがつくれる。

私は小型のいわしが手に入れば毎年アンチョビを仕込んでたっぷり使いたいのだが、残念ながら毎年出会えるとは限らない。
この辺りのスーパーで小型のいわし、背黒・かたくち・しこいわしを見るのは大抵春先の3月下旬~4月半ば。それも毎日ではないのでいつ出会えるかは運次第だ。それ以降は気温が上がるためか、ただでさえ足の速いいわしの中でも更に傷みやすい小型のいわしを未加工の状態で見ることはまずない。

それがなんと!7月に入って、しかもここ数日猛暑が続いているというのに鮮魚売り場に並ぶとは。珍しいこともあるものだ。比較的鮮度の悪くなさそうなものを2パック購入し、急いで帰る。

千葉県産。アクアラインで運ばれてきたのかな

アンチョビの作り方は、ネットで調べると実にさまざまなものが出て来るので初めて挑戦しようとすると「どれが正解?」と戸惑われるかも知れない。
基本的には「小型のいわしをさばいてたっぷりの塩をまぶし、1ヶ月程度塩漬けして発酵・熟成させる⇒たまった水分(魚醤)を除いてオリーブオイルに漬ける」だけなのだが、作り手のこだわり次第で作り方が分かれる。
それらは大体以下5点の組み合わせではないだろうか。

①頭を取るか否か
②内臓を除くか否か
③背骨を除くか否か
④皮をむくか否か
⑤塩漬け期間の熟成を常温で行うか冷蔵するか(オイルに漬けた後は冷蔵保存奨励)

私は過去3回アンチョビを仕込んだが、3回とも同じ仕上がりにはならなかった。主にはつくり方が違ったからだ。
つくり方の違いと感想は概ね以下の通り。仕込んだのはいずれも4月だった。

初回:頭と内臓を手で除いて手開きにし、背骨をつけたまま(その方が旨味が残ると参考にしたレシピにあった)2枚に分けて冷蔵庫で約1ヶ月塩漬け。オイル漬けの際に背骨を除き(塩漬け後は簡単に外れる)、ローリエを1枚入れた。塩漬けで出た汁は魚醬として活用。
⇒初めての割によくできた(〇)。
いわしをさばく際にうろこを取ることに頭がいかず、オイルに少し浮いたが除けば問題なく、美味しかった。魚醬もパスタ等に使えて便利。市販のアンチョビほど塩気が強くない味も気に入ったのでまたつくりたい。

2回目(数年後):頭と内臓を手で除き、骨をつけたまま2枚に開いて冷蔵庫で3週間程度塩漬け後、背骨と皮を丁寧に除いてオイル漬け(ローリエとローズマリーを入れた)。
⇒大変美味しくできた(◎)。

皮を除いてあるため、調理時に加熱するとすぐ溶けて形を残さず、風味も最高。サンドウィッチやカナッペ等で生食しても、皮がないので舌触りよく、魚臭さも皆無。オイルやアンチョビに移ったローズマリーの香りがとてもよく、皮は除くべきだと感嘆した。

3回目(更に数年後):2回目の記憶から「塩漬けして柔らかくなってから皮を除こう」と考えていたが、塩漬けがうまく行かずかえって身が締まった。このため皮もむけず、やむなくそのままオイル漬けしたが、魚の金属っぽい匂いが残り、味も今ひとつ熟成味に欠ける(△〜×)。
⇒敗因はおそらく、骨を除いてきれいな3枚おろしにしてから塩漬けしたことと、塩漬けの間、乾燥に留意せずに常温放置したこと。
常温に置いたことが誤りではなく、乾燥を防ぐ配慮が足りなかった。梅干しと同様、たっぷりの魚醬に魚が浸り切っている状態なら正しく熟成は進む。乾燥により水分が足りなくなった。
また、頭、皮、内臓、骨などの「身以外」の部分を全く残さないと熟成味は出にくい気もする。

そんな過去3度の経験から、4回目の今回は以下の考え方で仕込むことにした。

・頭は除く(腐敗しやすく、またできあがりのアンチョビや魚醬も生臭くなる)
・内臓も除く(同上。本来内臓付きの方が熟成味は出やすく、ナムプラーやニョクマムのように魚醬が目的なら内臓つきで塩蔵した方が良い。だが今回目的はアンチョビ、魚醬は副産物なので、腐りやすくなる要因は除きたい)
・骨は残す(初回と2回目の経験より、骨付きの方が美味しくできた。オイル漬けにする際除く)
・背びれとうろこはさばく際皮は塩漬け後に取り除く

という訳でいわしをどんどんさばき(うろこや背びれも除く)、腹の中も外側もしっかり洗い、水分をふき取る。余計な水分が残っていると腐敗の原因となるので注意。なお、今回は2枚に切り離していない。塩漬け後に自然と離れるので、頭をちぎる⇒内臓を除く⇒背びれを取って洗う作業を繰り返す。

ざるにとった後新聞紙に置き、さらにペーパータオルで水分を拭ってから塩漬け

底面に塩をまいた容器にいわしを隙間なく並べて塩を振り、全体がしっかり塩で覆われた状態にする。それを重ねて行く。
ここで塩を惜しむと失敗するので、惜しくない価格の塩をたっぷり使うこと。また、塩からはみ出ている部分があるとそこから腐敗していく恐れがあるためできるだけ均等に、平らに並べていくこともポイントのひとつ。

まんべんなく塩で覆ったはずが、どんどん溶けてはみ出たような見た目に

半日も経つとたっぷり水分が出ているはずだが、乾燥防止に上部をラップでカバーしてから蓋をする。なお、今回は常温に1~2日置き、水分がたっぷり上がってから冷蔵に移る。おそらく常温の方が熟成味は出やすいと思うが、夏場なのでずっと常温はやはり不安。

また、今回は十分な期間塩漬けしたら一部はオイル漬け、一部はオイルに漬けずにそのまま使う方向も試したいと思っている。
オイル漬けにした方が風味はまろやかになり、イタリア料理への使い勝手も上がるのだが、塩漬け状態のままだと保存期間はより長いはず。
塩漬けでも調理には使いやすいと思うので、そちらも試してより自分に合った方法を判断したい。

なお、「オイル漬けしなくても良いかも」と思ったのは、サカイ優佳子さんのこちらの記事を読んだから。多くの情報がまとめられ、とても参考になった。

そんな訳で続報・結果はまた数ケ月後に。
2回目のように「加熱して溶ける」アンチョビになりますように!

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