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日本全国魅惑のローカル梅たち

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ひとくちに「梅(梅干し)」と言ってもその個性や味わいは育った地域や品種により驚くほど多様。 梅仕事を始めて出会った全国のかわいいローカル梅(2024年1月現在自分で漬けた、食べた…
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2023年12月の記事一覧

【日本全国ローカル梅】#3 香りにうっとり!そのままで美しい御菓子のような京都の梅「城州白」(京都府城陽市)

今年漬けた中でも特に「我が家のお気に入り」となった梅の品種がいくつかある。中でも圧倒的だったのが「城州白」。箱を開けた時点で他の梅とは全く違っていた。 とにかく香りが良い。段違いに良い。 十郎梅の香りに関して蝋梅やかりんを例えに出したが、その種の香りが非常に濃い。更に桃や杏にも近いような香りをも含み、複雑だがあくまで自然なものすごく良い香り。箱から香りが廊下中に漂い、それを嗅いだ夫が「ああいい匂い」とうっとりしていた。 城州白は十分熟した状態で入手したため香りが強かったのも

【日本全国ローカル梅】#2 おばこ梅(山形県酒田市)~種離れよくすっきり味の山形色白美人梅

「おばこ」という方言をご存知だろうか。秋田育ちの私は民謡「秋田おばこ」をはじめ地元で聞き慣れた言葉だが、元々山形の庄内地方から来たらしい。未婚の娘、だいたいは十五~十八歳くらいの娘を指して使うことが多いようだ。 その「おばこ」を名に冠したローカル梅が、山形県酒田市にある。メルカリのとある店舗で見付けて購入してみた。 すべすべの果実肌が真っ先に目に入る。まだ青梅だが「色白美人」という言葉が瞬時に頭に浮かんだ。日照時間が短い山形や秋田でよく見る、色白のきめ細かなもっちりお肌の娘

【日本全国ローカル梅】#1 十郎梅(神奈川県小田原市)〜神奈川が誇る美人梅

初めて「ローカル梅」を意識して漬けたのは小田原産の十郎梅。近所のスーパーでも生梅は買えるが、その殆どが和歌山や長野、群馬等県外産。せっかくなら住んでいる神奈川県産の梅も入手したくなり、探して買えたのが十郎梅だった。 十郎梅の特徴は、まず何よりもその美しさだ。箱を開け、冒頭写真の艶やかでまんまるな実を目にして思わず「美人ちゃん…」とつぶやいてしまった。それほどつるつるで綺麗。香りも上品だ。どこか平安貴族を思わせる、重ねの衣に焚き染めたお香のような、古風で奥ゆかしい香り。 梅干