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22、長い目で

もうすぐ、母の一周忌である。だが、喪服というものをぼくは、まだ、持ってない!

葬式のときも、喪服は、レンタルで借りたものだし、いつかは、買わなければ!と思っているが、腰が重い。

とりあえず、ユニクロで、スラックスと、白のカッターシャツを買っておいた。

靴は、成人式に買ったもので、ベルトも、普段使っている、黒色をしたものを使おうと思っている。

準備は、整っているのだが、今のぼくは、果たして、母に顔向けできる身分なのだろうか。

いまだ、就職も決まってないし、結婚すらできていない。

母が亡くなったのは、一年前だ。

そんなに早く、身辺を固められるほど、人生は、甘くないが、こころだけは、母を忘れてはいない。

つらかった思い出は、ずいぶんと置き去りにしてきた。(そんなもの、いつまでも思ってたら、身が持たないだろう)。母への手紙も、もう原稿用紙、八枚にもなった。

あの頃まま、成長していない自分ではある。立派な社会人になるまで、まあ、支払い猶予期間ともいうべきか、(学生ではないが)、もう少し、母には、目を細めてもらい、長い目で待っててもらおう。

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