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ザーザー降り

今日は、雨が降っている。父の施設にやって来た。傘をしまい、父の部屋へ行く。
少ししてから、姉から、電話があり、いま施設の駐車場にいるけど、雨がやんでから行くわ、とつげられる。
ぼくは、施設のロビーから、庭の見えるテラスに父と座り、歌を歌う。


ザーザー降りの雨を        全身で受けながら           凛々としげる      あの草木のように      つ~よく、つよく~


ミスチルの歌だ。父が知ってるわけもない。姉も知らないだろう。

雨が小降りになって、姉が施設に入ってきた。かばん、持っとって、と姉のかばんを受け取り、姉と父は、施設の入り口の屋根のあるところへ行った。

ぼく、ちょっと、サボってくるわー、とその屋根の見える、入り口の椅子に座り、ぽけーっと姉と父を眺める。なにかしゃべってるけど、なにしゃべってんだろうな~。父は、ことばをしゃべれないから、うーあ、とか、わうわ、と言うだけだ。

姉一人でしゃべってるわけになるんだろうけど、ずーっと、お姉ちゃん、お父ちゃんに話しかけてるよ。ぼくは、いつも、会話につまるのに。すごいな~。と、高見の見物だ。

二人に加わろうともしない。

施設内の自販機で、缶コーヒーをプチッ!開けて、また、飲みながら、ぽけーっと眺めてる。

相変わらず、雨は、ザーザー降りだ。
時計が、四時十五分になっていた。面会時間は、五時までだ。

そろそろやで。

と思い、ぼくは、スマホをうつのをやめ、姉と父を呼びに行く。
姉は、あー、そうか、とやっと施設に入ってきて、ぼくたちは、また、三人で、話しはじめた。
雨の降っている音で、屋根がカンカンカンと、小刻みに音を立てている。
ぼくは、缶コーヒーを全部飲み干した。

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