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夜の十分作文✏️ヘアゴムがないいぃぃ

会社をリタイヤしている父。
昨年のクリスマス前の夕方
家の周りをうろつき
花壇の手入れをしたり
片付けをしたりしていた時のこと。

学校帰りの小学校低学年の女の子が一人、
おいおい泣きながら訴えて来たそうだ。

「昨日お母さんに
やっと買ってもらったヘアゴムが
無いいいいいい。
おじちゃんも探してええええ」

🎀

おろおろしながらも
父はそのあたりを女の子と一緒に
捜索したそうだ。
学校で落としたのではないのか
などと尋ねたらしいが、
少女は号泣しながら
「帰るときは手首にあったのおおおお」
と飽きずに泣いて答える。

そうこうしながら歩いていると
近所のお子様見守り隊的な役回りの
マダムがやってきて
思いっきり父親は疑われたようだ。
「なんですかあなた!?」と
不審者もしくは犯罪者として扱われて
女の子は、そのマダムに引き渡せた
(引き剥がされた?)そうな。

🎀

ヘアゴムくらい
いくらでも買ってやればいいのに。と
父親は少女を不憫がったが、
私は泣く理由を察した。

なぜなら、だいなさんの記事を
読んでいたから。

子供の持ち物は
すぐになくなることも
あるらしいと
知っていたから。

どうしても失くしてしまうんだよね。
で、母ちゃんは母ちゃんで、
子供が何故、毎度失くすか
理解できないから
怒るんだよね。

🎀

少女は泣きながら
言ったそうだ。
「お母さんにまた怒られる〜おいおいおいおい」
「二度と買ってもらえないぃおいおいおいおい」

🎀

父親には災難だったし
ヘアゴムを失くした女の子は
この世の終わりかのように
泣いてかわいそうだったが、
新春の大笑いだったことは
言うまでもない。
彼女がおみくじをひいたなら
「うせもの」は「必ず出る」であることを祈る。

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