朝の10分作文✏️星型ニンジンへの渇望
かつて九十年前後に放映されていた
ホワイトシチューのコマーシャルを
覚えているだろうか。
もしかしたら今も類似の物が
流れているかもしれない。
その宣伝は
郷愁を誘う曲をバックに
冬の夜、家族揃って
湯気の立つ
出来立てのホワイトシチューを囲む、
という物だった。
幼き日の私は
そのきれいに盛り付けられた皿の
星型にくり抜かれたニンジンが
燦然と輝いて見え
羨ましくてしょうがなかった。
母親に懇願するも
「腹に入っちまえば一緒」と
全く理解を示さず
取り合ってもらえなかった。
時は経ち、私は親元を離れると、
すぐに星型のクッキー型を入手し
硬い野菜は星型にしまくった。
大満足だ。
大変かわいらしい。
ただし。
星穴の空いた輪切りのニンジンを
カレーなぞに投入すると
固形のルーが星型に詰まり
これが容易に溶けない。
いとわるし。
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