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そして私たち大人は何度でも恋に落ちる

恋は女の美容液。♡
肌にもいいし、ココロにダイレクトに効く。




昨日会った彼は私よりもひとまわり年上
そして、私好みの知性と教養のある男性。

はちゃめちゃな荒馬みたいな子もいいけど
私、インテリな男って好きよ♡
やっぱりしっとりとお互いの美学を語り合えるってセクシーだと思うから。



熱燗が飲みたくて焼き鳥屋さんにした夜
カウンターの席に横並びで座る。

彼からはいつもほのかに甘い香りがする
濃厚でセクシーなその甘さと彼のシャイな気質が混ざり合うとエロティックで、どこか切なくて、遠い昔の若い恋を思い出す

爽やかでただ純粋だった恋心と
相手を全て食べ尽くしてしまいたいというような相反する下心がレイヤーする。
今すぐに食べてしまいたいのに同時に汚したくない、それはとても無作法で勿体ない行為であるような…まるでこの世にここにしかない特別なスイーツを目の前にしているような気持ちになる。


彼の低く、落ち着いた優しい声は
実は私のお気に入り。


鼻と耳で癒されて、ほんわかしたまま
美味しいお酒に乾杯♡



もう出逢ってから10年以上経つというのに
彼と会えばたちまち私は「ただの女の子」
になることが出来る。

軽口を言ってみたり、小馬鹿にしてみても
彼は私を優しく小突いて嬉しそうに目尻を下げて笑ってくれる。

彼になら私、とことん…いじめられたいわ♡
と、いつもこっそり思う。(実際は彼の方がいじめられたいタイプ、癖、なのだけど)


杯が空きそう…になると
すかさずお酒を注いでくれて、実はほとんど私からお酌してあげたことがない
本当に瞬間的な手際の良さと気付きが早いから
いつもそのお役目を取られてしまう。

「いつも私、全然お酌してあげてないよね(笑)ごめんなさいね、気付けなくて。」

と言ったら

「こうしてお酌してあげるのが好きなんだよ」

と言うあなたに
何故か愛を告白されたような気持ちになって
もじもじしてしまう…。


この人とは色んなことがあった
大きな喧嘩もしたし、ぶつかり合ったこともある
数年音信不通の時もあれば
私の方に好きな人が出来て「もう連絡してこないでください」と突き放したこともある。

けれど彼は毎年私の誕生日にお祝いのメッセージを欠かす事はなかった。
連絡してこないで、と言った年の誕生日には
花束のマークの絵文字ひとつが送られてきた。

その花束マークの絵文字がただひとつポンと置かれたメッセージを見た時に、彼の伝えきれないほどの大きな想いが私の胸に飛び込んできた。
私を大切に想っていることと、嫌がられたとしても、他の誰かを愛しているのだと言われても
彼の想いは私の気持ちとは別次元のところに既に存在しているのだという事実を思わせた。


僕はいまも君をただ想って生きています。


そう言われたような気がして涙が溢れた
彼の中で既に私は人生のひとつであるということそしてそれは私の気持ちとは違う愛に昇華されているという境地。二度と連絡しないで、と突き放した私の心はその絵文字ひとつに打ち砕かれてしまったのである。

今思えば私は彼を突き放すことで彼の愛を獲得したかったのだろうと思う。

彼を愛することの恐ろしさは
彼を失うかもしれない恐ろしさであり
それはいつも私の快適な人生を脅かす脅威だった

その愛を受け入れなければ私は怯えなくてもいい

いつの日か2人の関係が壊れてしまうかもしれない未来に恐れを抱かなくてもいいから。

愛を拒絶することで自分を守ろうとしていた過去の私はあなたのひとまわりもふたまわりも大きな愛に包まれ、癒されて溶けていった。


執着する心が生み出すのは2人の愛の問題ではなく
ただ、自分の心の弱さという問題であり
自分の愛をただ信頼するというレッスンであり
自分と自分との問題だったのだから。


その花束を絵文字でもらった年の誕生日は
私がより自由に大きくなった歳になった。

何よりも彼に感謝を伝えたくて
そして、謝りたくてその後割とすぐ久しぶりに再会したのを覚えてる

その時も彼は優しく微笑んで私のお猪口にお酒を注いでくれた。



ほろ酔いになった私たちはお互いの過去のデートベスト5を披露し合った
10年以上にもなるデートの中のベスト5なのである

非常に笑い合って、懐かしんだ。

私はあんなに感動したのに彼は記憶にもないと言ったから腹が立つやら可笑しいやらと2人で感情がくるくると忙しかった

それはこの世でただ、ふたりにしか分からない
特別美しい会話だった。




愛は恋心を経て
長い年月を重ね、笑顔と涙とたくさんの歴史を重ねて強固な絆になっていく


私はこの世でこれ以上に楽しくて美しくて尊いものはないと思う。

そんな瞬間を味わうと命そのものへの感謝が溢れてくる、生きてこその感覚に人生の達成感さえ感じる

そして愛を見つけられているこの自分を誇りに思える。



手を繋いで歩く帰り道
彼が不意にキスをした


たくさんの人に先生、と呼ばれ尊敬され
男としても人としても尊厳がある彼が
こんなおちゃめで可愛らしく無防備に私の唇を求めてくる

そんな全てが愛おしくておかしくて
私は笑ってしまう

彼は私の前でこんなにも「ただの男の子」になれるのだと思うと嬉しくなってしまうのだ。


その男の子は笑っている私の顔を見たのち
隙を突いてまた二度三度と唇を重ねてくる
これじゃまるで、じゃれあう小鳥のようだ 
と思う。


こうして私たちという大人は
何度も自分に、相手に、恋に落ちる


生きるというのは恋をするということなのだなぁ


次は2人で初めての体験をしてみようか
と、現在計画中。

「それが叶ったら夢みたいだな♡」とワクワクしてる私はまたまた少女のような気分でスキップしながら彼と駅に向かった。



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