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るーむ



容れ物から出したりしまったり
せわしない確かこの辺に
なけなしの善意があった筈
難しい言葉をいっぱい知っている年齢不詳の女とは気まずくなって
すっかり後ろめたくなってなにもしないで別れた
体液が滲むちょうどわたしをかたどって
まだ所在のない感情は
力まかせにくしゃくしゃに
丸められて
ボツになってゴミ箱はパンパンになってあふれたらちゃんと捨てなくちゃ
ちゃんとしないとバカにされるよ
これ以上自分を嫌悪しないように
赤の他人を嫌悪する
今まで起きた幸運も不運も
与えられた張りぼての愛情も
巧妙な憎悪も全部
予め用意されたつくりものだって
トゥルーマンショーを鑑賞し感染し感嘆し韻を踏み損なって調子を崩す
妻がせっかく巻いたテレビのリモコンのサランラップを一心不乱に剥がす夕暮れ

水分過多で根っこから腐った心根 どうしたものかと熟考を重ね
あの日ドブ川に捨てたランドセルを思い出す いわさきちひろの絵が表紙だった
道徳の教科書沈みながらヘドロと
投げ捨てられたチャリンコのサドルと
重なってあれは確かコンソメパンチかなんかのカラ袋と丁度いい塩梅に
重なり合って走れメロスをかわりばんこに朗読した国語の教科書もそう 友だちなんかもういないのに待ってくれるやつなんかもう誰もいないのにずりーな太宰は自分だけセンセーショナルに
派手に死にやがって 命なんか賭したりしないで揺さぶりたいな文字なんかで 以下省略されたくないな
こんな短い詩なんかでわたしの人生を
目視する
気のせい
とかじゃないわたしを捨てようとしたときの気配と言い訳と
居直りを半分こずつ圧縮した空
べったりと青ばかり余分に塗りたくって
その分だけ荷重されて
今だ!ためらうことなく落っこちて
みんなぺちゃんこになればいいな
ちょうど気持ち良さそうにペラペラと
無責任に背中を押す
啓発本みたいな均一な薄っぺらさに
なりくさって
わたしの顔にへばりついて
息ができない
あがいてもあがいてももうこれ以上底はないと思った瞬間に足をグイッと引っ張られるあのゾッとする感覚と
絶望的なタイミングをみんなも少しは
味わえばいい
ジョーカーの大げさに裂けた赤い唇
人差し指についたゲル状の赤い
それをあなたのとびっきりの
白いシャツに擦り付けて
きっと嫌われるから
ちゃんと嫌われなくちゃ
だってそれしかわたしは知らない





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