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初詣手を合わす君盗み見る(めざましテレビ松任谷由実選集五七五掲載)

遠い昔、一緒に初詣に行った時、隣同士でお賽銭をなげ、手をたたいてお参りをしている君を私はこっそり、横から覗き見た。

君は目を閉じていた。

意外と長いな。

何をお願いしているんだろう。

神様の前で、私はお参りしている君をひたすら盗み見て、何もお願いせずに立ち去った。

初詣に行って、手を合わす友人や恋人、家族を盗み見るっていうのは、初詣あるあるなのではないかな。

さて、カレーの話である。
80代の両親を連れて熱田神宮に初詣に行った。中で宮きしめんを食べようと思ったが、混雑していたので、あきらめて、帰ることに。

途中、とんから亭があったので
「はいったことないけど、お腹すいたし、入ってみるか」
と入ることにした。

ファミリーレストランかなと思ったが、お客さんにガタイのよい人が多い。
父はもりそば、母はカツ丼(ご飯少なめ)、私は親子丼(ご飯少なめ)にした。お店にはカレーかけ放題と書いてある。隣のテーブルにはカレーのお椀がタワーになっている。

店員さんに聞くと
「カレーはお水の横にあります。ご自由におとりいただけます。」
とのこと。でも、私たちが頼んだのは、盛りそばとカツ丼と親子丼なのだ。カレーをどうしろと??
「あー、でも、カツ丼や親子丼にかけられる方お見えになりますよ。」
えー!!

母親が「ただだから、持ってきて。カレー持ってきて。」とうるさい。
試しにお椀に一杯カレーを持ってきた。すると、母親はためらいなく卵でとじてあるカツ丼へカレーを全投入!!
まじか!

「めちゃくちゃ美味しいわ」
まじか?80歳、味覚障害?

私はもう一杯カレーをとりに行き、親子丼の卵を退けて、白いご飯を露出させた上にカレーをかけた。確かに美味しい。あまりのおいしさに、卵とじのところにもカレーをかけたが、やっぱりめちゃくちゃ美味しかった。

カレーかけると美味しいねと、わあわあ言ってたら、父親が俺にもカレーをくれという。お椀に一杯カレーをわたすと、もりそばをカレーにつけて食べ始めた。カレーにまみれた蕎麦が変な色で不味そうだ。
「美味しいの?それ」
「うまいよ」
本当か?
「うまい。うまい。カレーうまい。」
83歳、味覚障害?

80代の年寄りと50代で、よくシステムがわからないまま、カツ丼と親子丼ともりそばにカレーをかけて食べたのだが、これは果たして正解だったのか?

わからない。

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