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これからのセラピストに期待すること

医師目線での提言です。こころして聞いてみてください。

世の中にセラピストと呼ばれる職があふれ、病院のみならず、民間にも資格のあるなしに関わらず様々な人が『健康』に対して多くのアプローチを試みています。

人は不健康になって初めて『健康』を意識することが多く、あらかじめその時の選択肢を用意している人はまれです。近くに偶然ある場所、自分の知り合いが勧めてきた場所に行き、良くならないかなーと試してみることになります。

不健康になったのが初めての人は、裏を返せば今まで何もせずに『健康』を得ていたため、いきなり今までの自分の行いをあらためようとはしないでしょう。


ネット社会の仕組みが整えられ、『健康』に関する情報があふれています。ちょっとした症状であれば、その情報によって改善が得られることも多いですが、まだまだ自分で行動するには至っていません。これは今までの医療政策の問題です。

医療政策の問題点はセラピストがあふれる原因を作っています。本来であれば病院で行うはずの治療が、医療費の高騰、施設の集約化、専門化、仕組みの厳格化によって難しくなってきました。本来であれば、これから伸びていく分野であるはずが、制限がかけられることによって病院外へ飛び出しています。

外に飛び出ることが悪いことではありません。しかし、個別にやりたいことを始めたところで、医療制度は変わらないし、本当に必要な人に届くこともなくなると考えます。

小手先の手技を身につけて、てっ取り早い達成感を得るのも良し。
医療の枠や仕組みに縛られずに自由にすすめるのも良し。
家族や生活のためにお金の得られやすい分野に進出するも良し。

ネット上には甘い言葉で『健康』を提供している広告が並んでいます。
それらの働き方に文句を言うつもりはありません。
これだけは忘れずに考えていてください。

最高の治療を提供できているのか

特に病院で働くセラピストは診療時間をほぼ患者さんとのマンツーマンで過ごし、他人が入り込む余地がない職業のため、自分がどれくらいの位置にいるか把握しにくいといった特徴があります。

特に急性期〜回復期であれば、自然回復も当然あるため、初診と退院時で良くなっていくのが普通です。その全てを見直して、自分がその改善にどれくらい寄与できているのかを考える暇もなく、次々新しい症例の担当となり、こなしていかなくてはいけません。

『自分はいまできる最高の治療をできているのか』
『もしかしたら自分ではない人が担当した方が良くなるのではないか』
『やっていることがむしろマイナスになっていることはないか』

常に考えておく必要があると思います。

最高とは良くなる結果のことだけを示しているのではありません。そこにたどり着く過程、時間も含めてです。

同じ効果が得られるのであれば、期間が短いに越したことはありません。
医療はタダで行われているわけではなく、運動器①であれば、1単位当たり185点、回復期入院基本料①は1日あたり2129点です。1日9単位で行っているとすると、1日伸びることで約4万円の医療費がかかります。この意識を持たずにダラダラと続けている例をよく見かけます。

自分の位置を知ることー世の中の流れを知ること

医療経済を知ることで自分の価値を学ぶことは大切です。そこは今後雇うことになるセラピストにも十分教育することになると思います。

働いている限りは価値を高めることをやめてはいけません。それは手技や知識のことだけではなく、コミュニケーションであったり、まわりとの関係性であったり、時にはリハビリテーションと関係ない分野のことであったり。どんなことでも自分の価値を上げる方向性を常に考えておく必要があります。

知らないことを求めるアンテナを張ることも重要です。

世の中に自分の知らないことは必ずあります。自分より技術がないのに、結果がうまくいく人もいます。そこがどうなっているのかを知りたいと思うことです。「自分はこれが最高と思っている、そしてそれを極めるんだ」なんて意気込みはただの一人よがりです。

世の中を広く見渡してみて、どんな流れになっているかをつねに把握する。
以前はそれが学会というものの役割の1つであったはずですが、ネットの発展により、情報のスピードが飛躍的に伸びています。ネットで情報が集められない人はどれほど結果を出していようが、論文を読んだり書いたりしていようが、2-3年は確実に遅れます。

いま現在の自分の価値、そしてそれをどうすれば良くできるのか。

まだ1年あります。

価値を高めて、最高のスタートを切りましょう。

中川将吾
小児整形外科専門ドクター

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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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