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疑似的フィンランド

ある日、フィンランドに行った。

わたしが一番行きたいスウェーデンではなくて、フィンランド。
ハッキリとフィンランドと言っていたからフィンランド。

夢の中なので、疑似体験のお話である。
実はまだ、私は日本の外の国に出たことはない。

夢の最初は空港らしき場所で、ショッピングモールのエレベーターらしきものの扉が開く。
外へ出るところから始まる。

空は銀色だけど少し空色が残っていて、夕暮れと夜の間くらいの時間だった。多分冬だったと思う。

あまり人はおらず、私はスーツケースをガリガリと鳴らし、知らない土地で宿の場所を探し回っていた。

すでに小さなホステルを予約していたようだ。

ホステルには日本人のオーナーが経営していて、日本人らしき女性2人が、暖かいログハウスのなかで出迎えてくれた。

ホステルではカフェのような場所があり、クッキーや、北欧の世界らしく、ちゃんとシナモンロールやカルダモンロールを売っていた。

私は現実世界でカフェインが摂れない体質なので、夢の中でもしっかりカフェインレスコーヒーをオーダーしていた。
ホステルの中はコーヒーの匂いが漂っていた、気がする。

オーナーたちの地元の駄菓子もなぜか置いてあった。
けど、少し高かった。
どれも見たことがない駄菓子だったから、それは日本に帰ったら探して買おうと思った。


急に日差しが強くなった。きっと白夜だったんだろう。
宿を出て、街に出ようと歩き始めた。

道沿いにドラッグストアの『カワチ』があって、食料品店の『まるも』みたいなスーパーもあった。
全部地元の茨城のお店より大きくて、しっかり駐車場の方が広かった。
フィンランドも、車社会なんだな。

お店の中ですごく背が高い現地のお兄さん4人ぐらいとすれ違って、みんなデスメタルな格好をしていらっしゃった。

夢の中だからか歩く速度がとてもゆっくりで、重たい石を引きずるように目的地まで進んだ。
目的地、というか正確にはよく分かってないまま夢のまま、歩いていたのだが。


街中にやっと着いた。
石畳の広い歩道に街路樹が茂るとろこで、大学からの友人のまみーとるりちゃんに会った。
というか多分待ち合わせてた。

どこかのお店でご飯をテイクアウトして、街の石畳の上にテラス席があったので、遠慮なく腰掛けた。

ネタとシャリが別々になっているサーモンの寿司みたいなのをたらふく食べて、ほっぺもお腹もパンパンにした。
サーモン、赤貝みたいにちょっと歯応えがあって美味しかった。
やはり北欧のサーモンは新鮮だから、食感もちがうのかな。

街の中を歩き進めると、紫色の建物や豪華な博物館みたいなのも見つけた。
フィンランドの銀色の空と建物のコントラストが余計にはっきりとして、ますます綺麗に見えた。

たまに空の色と同化している建物があったり、ピンクと濃い紫、水色のグラデーションで染まっていて美しい建物があったり、フィンランドは結構カラフルでファンシーなんだなあと感動した。

街の人に「ここから見ると絵になるよ」って教えてもらって、有名らしき写真スポットに立たせてもらえた。
その街の人は建物と同じ色のフェイスペイントを観光客に施している最中だった。

街の人に街の紙マップを見せてもらって、観光客向けの街を歩いた。
お台場のヴィーナスフォートっぽさをどこか感じた。
アジアンフードもたくさん売っていた。
馴染みがあるものも売っていてさすが観光客向けだなあ、なんて感心していたが、本当は早くヘルシンキに行きたくて、その時いる場所がフィンランドのどこなのかさえも分かっていなかった。

首都のヘルシンキをずっと探して歩き回っているけど全然辿り着かない。

別の街の人に聞いたら、「え、隣の区だよ」と指を横にさして教えられた。
どうやら気が付かぬ間に通り過ぎてしまったらしい。
ヘルシンキは小さいと聞いていたが、まさか広場くらいの小ささとは思わなかったので、びっくりした。

さあ、そろそろホテルに戻って、荷物を取ったら帰ろう。
あ、そうそう。この旅はどうやら日帰りらしい。

『さっきフィンランド行ってきた!』と誰かに報告した。多分職場の人だと思う。


時間がなくて、お土産は買えず、ホテルで買ったクッキー数枚を、パートナーか誰かに渡した。
食べかけだったからみんな何も言わずガッカリしていた。

すごく申し訳ないと思った。

スウェーデンやイタリアにも行けると聞いたけど意外に遠かったし、国境を越えるには自転車を乗らないといけないという謎規則があったためやめた。

フィンランドは1日で帰って来れる。

フィンランド、思ったより近くてカラフルでいいところ。

今日はスウェーデンにも行けますように。

※現実ではフィンランドへ行ったことはありません。
※この話はノンフィクションでありフィクションフィンランドです。

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