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女性活躍、妊活支援から考える 少子化対策&地方創生ワークショップ|レポート

近年、女性活躍や仕事や家庭と妊活・不妊治療の両立をするために「フェムテック(female+テクノロジー)が注目されています。
一方で、少子化対策や地方創生の取り組みのために、各自治体では今後どのように取り組んでいけば良いのか、既に取り組んでいる内容で良いのか、さらに実態に即した取り組みとは一体どのようなことなのか、など試行錯誤されているところも多いのが現状です。

そこでファミワンは、官民共創マッチングプラットフォーム「逆プロポ」の社会課題解決プロジェクトを通じて、2021年10月27日に「女性活躍、妊活支援から考える 少子化対策&地方創生ワークショップ」を行いました。今回はその様子をレポートとしてお届け致します。

各自治体の妊活支援に対する取り組み、課題はどこに?

各自治体の妊活支援における具体的な取り組みの多くは、助成金と相談センターが中心となっています。国の助成金とは別に助成金を上乗せしている、相談窓口としてメール・電話相談を承っている、といった取り組みをしているところは多々あります。

また、現在これから体外受精に取り組もうとされている方々に対しては、Webや冊子などで情報を提供するなど情報発信をしている自治体もあります。ただ、それだけで啓発ができているかというと、できていないのが現状です。また、東京との例でいうと、仕事と不妊治療との両立として、企業に要請をするなど施策を打ってはいるものの企業による温度差がある、というのが実態です。

不妊治療や妊活に悩んでいる方への支援、悩む前からの支援・啓発というところにおいては、企業理解の促進、企業風土を変えていくといった取り組みの支援策が必要とされています。

ベンチャーとの協業企業が増えている。協業時のポイントは?

一方で、最近各自治体とベンチャー企業との連携が増えてきています。
具体的には、コロナ禍ということでファストドクターといった、夜間にドクターが問診するサービスやコロナワクチン摂取におけるシステムの連携などが最近聞かれます。様々なベンチャー企業や、自治体からヒアリングしたところ、この連携には2つのポイントがあることが見えてきました。

1つ目は、自前主義をなくしていくこと、2つ目はやるべき点に絞るということです。
例えば福岡市では、LINEを活用したゴミ収集のシステムがあります。既にゴミ収集のシステムは出来上がっていたところを、さらに市民にとって利便性を高めるためにはどのようにしていけば良いのか、という観点から導入に至っています。また渋谷区の例では、町の情報発信自体はもともと行っていたが、ご近所限定SNSの「マチマチ」と業務提携することにより、市民間のコミニュケーションツールとしての活用や地域活性に活かせる取り組みということで実施されています。

ファミワンと自治体の取り組みの例:横須賀市の場合

例えば、横須賀市との取り組みでは、ファミワンが全て助成金の対応や、相談窓口を全て請け負いますということではなく、啓発の部分でもっと多くの人にきちんと知って頂くというところを担いますということで、導入が進んでいます。

横須賀市の場合は、相談センターはそのまま継続しています。私達は、LINEを使っている若い方々に対し「妊活に悩んでいます」「妊活を意識している」といった方々にファミワンに登録いただき、その中で「こんなセミナーが横須賀市でありますよ」といったご案内を差し上げたり、「こういった助成金があるので、気軽に検査だけでも受けてみませんか」といった横須賀市が発信したいご案内をさせていただいています。

自前だけではなかなか計画できない、なかなか届かないといった方々に対して、ファミワンと連携することで啓発の橋渡しというところを絞ってご依頼いただいています。

現場の方も横須賀市のイベントやセミナーは定期開催はしてはいたものの、なかなか参加者が集まらなかったり、妊活についてもっと悩んでいる方が気軽に来ていただきたいと思っていたという点で、今回のサービス導入は好評をいただいています。

ワークショップ①「なかなか子供ができないんです」と相談されたらどう応える?

当セミナーの中では、いざ周りの友人知人に「なかなか子供ができない」と打ち明けられたらどう応えますか、といった個人のワークショップも行いました。各自治体の参加者によって、ご自身でどう応えるか、ということを質問したところ、以下の様にお答えいただきました。

●岡垣町
自分自身も悩んでいる時期があったので、傾聴すると思う。病院に行ってみたら?という声かけもありうると思うが、この言葉からだけでは状況がわからないので難しい。

●渋谷区議会
どれぐらい悩んでるの?真剣に悩んでるんだったら話きくよ?と問いかけ、どのくらいの悩みなのかを確認する。その上で、病院のことなのか、メンタルのことなのか、仕事のことなのか、何の話を振るのがよいか、把握する。

●江東区議会
なかなか難しいよね、と傾聴する。その上で、公的なものなのか、その方に何を情報提供すべきか検討する。

●加茂市政策推進室
これはもしかすると、子どもを作る気がない方の「子どもはまだか」という質問をブロックするための言葉かもしれないので、どのくらい悩んでいるの?など、もう少し対話をしてみると思う。その上でもっと具体的な質問が来たら、自分の体験やクリニックのことなど、踏み込んでいくと思う。この発言で本当に深刻に悩んでいるかはわからなかった。

●茨木市議会
そうですね、つらいですね、とまずは寄り添う。何がききたいのかを聞き出す。

●三原市
この一言からはどこで悩んでいるのかわからない。いつから悩んでるの?など、どこで悩んでいるのかをゆっくり聞き出す。

このような悩みを打ち明けられた時に「その質問だけではなんとも判断できない、背景が分かればアドバイスのしようがあるのだけど」といったコメントが多く見くけられました。この相談に対する正解は「これ」というものはないのですが、この質問をされた時に、ご自身がどのような立場で質問をされ、応えるのかという点が1つポイントになります。自治体であれば、その土地の文化や風習、市民の方々に合わせたならではの対応が可能だと思いますし、実際に対応していただいていると思います。

ワークショップ②各自治体の取り組み

2つ目のワークショップでは、グループに別れて各自治体で取り組んでいること、理想の支援像、取り組みたい内容など、課題も含めて、以下のようなテーマでディスカッションを行いました。
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ディスカッションの項目
●【理想】自治体で行う妊活・不妊治療の支援の理想像
●【現在】ご自分の自治体で行っている妊活・不妊治療の支援
●【未来】ご自分のの自治体で取り組みたい妊活・不妊治療の支援
● 未来の支援を実現するために、クリアしないといけないこと
● 未来の支援を実現するためにどんなステップで進めるか

グループ①岡垣町、三原市、渋谷区議会
〈現状抱えている、クリアすべきハードル〉
・直接的な支援としてのお金の問題
政府の保険適用の方針が固まりきっていない中で、保険適用がされたとしてもどこまで上乗せの助成できるのか、きめ細かく支援が届くような支援ができるのかといった点が明確に分かれば良いという話があった。

・医療資源の問題
不妊治療の専門のクリニックに通うために他自治体に行かなければ、クリニックがない、といった地域もあります。遠隔でオンラインで診療ができるような環境が整ったり、地域の産婦人科が、不妊治療の専門医と繋がることで、地域の産婦人科で不妊治療の診療が受けられるといったネットワークの整備ができたら良い、という話があった。

一方、都心部だといったいどこのクリニックに行ったら良いのか、クリニックによって費用も大きく異なる、といった背景から、クリニックの情報がまとまると妊活に励まれている方にとっては一助になるのかなという話があった。

・情報の啓発
ファミワンが行っているような知識自体を得ることであったり、相談しやすい窓口をどう作っていくのかというサポート面。リプロダクティブ&ライツに関わるところだと思うが、子供を持つ・持たないの自由を含め、悩まれている方も沢山いる中、社会では「未だ子供が出来ないの?」といった声もいまだ多い。そのため人権面に対する啓発も必要だという話もあった。

グループ②三原市、大府市、加茂市
● 【理想】自治体で行う妊活・不妊治療の支援の理想像
子供が産みたい人が産めるサポート体制が整っている状態。必要な情報がきちんと案内できるということ、選択肢を提供できる。ピアサポートの体制がある、不妊治療の市の窓口意外の窓口を紹介できるようになる、ということ、気軽に相談出来るシステム作り、若者に対するライフイベント教育、また、職場に対する意識改革、助成金の継続などが理想である。

● 【現在】ご自分の自治体で行っている妊活・不妊治療の支援
どこの自治体も同じであるものの、検査に対する助成があり、不育症の治療に関する助成を行っている。または、窓口の紹介をしている。

●【未来】ご自分の自治体で取り組みたい妊活・不妊治療の支援
・認定制度によって企業の知名度向上や助成金による支援をすることが市として行う。
・当事者のみならず幅広い人が妊活に必要な理解を得られるよう啓蒙活動をしていくこと。
・SNSを用いた妊活相談サポートの利用や、妊活に関するポータルサイトの運営など。

●未来の支援を実現するために、クリアしないといけないこと
・妊活をしやすい周囲の理解や、職場環境作りが必要で、自治体で働く職員自身も妊活の知識を増やすこと。

グループ③三原市/江東区/茨木市/鯖江市
● 【理想】自治体で行う妊活・不妊治療の支援の理想像
職員が気兼ねなく自身が望む妊活・不妊治療を実施できる環境がある状態

●未来の支援を実現するために、クリアしないといけないこと
現在、公務員の業務量が多くなっている中で、職員個人の妊活、不妊治療をしやすい環境作りが課題。そのために、今回のようなセミナーを受講し、知識をつけることはもちろん、職場が多忙で時間的な余裕がないので、デジタル化など推進し、職員自身が妊活に取り組めるような職場づくりを行う。

グループ④三原市/茨木市/磐田市
●不妊を考える前に、適齢期に妊娠出来るような知識を持つことが大切
母子全体の窓口をしているが、母子手帳を発行する3割は未入籍。また、年齢制限があるために、不妊治療を諦めて仕事をとりました、という人もいる。また、10代の妊娠といったケースもあり、愛情不足で育った子供が、出会い系サイトなどのトラブルに巻き込まれることもある。生を育む、自分自身の体が変化する、ということをきちんと教える事が重要になる。若い時期に自分のライフステージを考える機会が必要だと思っている。

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このように、各自治体で抱える課題や、理想は多岐に渡っています。
今回のワークショップでは、そういった当事者にかかわらず、若い方に対する情報提供や医療資源の問題、体と心を大切にしながら啓発をする、などが挙がりました。

自治体や企業での妊活・不妊治療の支援というと、悩んでいる人に対する支援をどうするか、ということが一般的には多く挙がります。例えば、補助金や休みを取りやすい制度をどうするか、というお話です。一方で、今回ワークショップで挙がったような、若い方々への啓発、情報提供、支える自治体の中の職場環境の整備なども大変重要です。つまり、妊活・不妊治療の支援は、当事者のみならず、周辺の環境整備が必要になります。自治体の場合は、例えば若い方々へ啓発をするために情報提供をしようとなると、どの課で対応するか、といった問題も出てきます。

このような、妊活・不妊治療に関する情報整備はもちろんのこと、周辺のサポートに関しても、ファミワンは妊活コンシェルジュサービスをはじめとし、ご相談に乗ることが可能です。もし、自治体で妊活に関する支援をしたいが、何から始めたら良いかわからない、SNSを使って支援サービスを提供したいがどうしたら良いかわからない、などありましたらファミワンがお力になれると思います。

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