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【学会参加記録】 第63回全国国保地域医療学会に参加して

2023年10月6-7日と福井県で開催されました、第63回全国国保地域医療学会に参加してきました。


学会という場は「活動を知ってもらう場」と、「交流の機会を得る場」、「学び考えるきっかけ(学びの種)を得る場」だと個人的には思っております。それぞれについて書いてみます。

💫活動を知ってもらう場
• 口演【活動報告】学生初期研修医の成長にも、住民の幸せにもつながった!福井県南越前町今庄地区 「暮らし診る」実習の紹介
→ 2019年度より行なってきた事業のうち2022年度に実施した学生初期研修医
の皆さまと地域の皆さまとの交流の事業を発表しました。


質疑応答では、この事業を通して今庄に来ようとしてくれる初期研修医や専攻医はいますかという趣旨の質問はあり、まだいないなあと思ったり、今後そういう流れに持って行けたらいいなあと思った次第です。本年度は諸般の都合で一旦中断していますが、来年度から復活したいと思っています。

なお、本事業はこちらの本として出版させていただいております。

•口演 【活動報告】つなげる屋台 南越前町 拡張型診療所の取り組み
→ 2020年度から行なってきた事業の内容を発表しました。特に2023年度から始まりつつあるので今後盛り上げていきたいと思います。
 診療所の看護師さんはじめスタッフの皆様が応援してくださるのも嬉しいです。

• 初期研修医の先生のご発表
当診療所で本年度1ヶ月地域医療研修を行なってくださった先生の症例報告と見せかけた、ACPを通した研修医の先生の成長の記録のご発表でした。とても堂々と発表されて、フロアからも「ACP踏まえてとてもいいご経験をされていると思います。」と研修医の先生に対して、温かいフィードバックをいただきました。フロアの発言者の先生に感謝です。

💫交流の機会を得る場
• カフェコーナー
国診協若手の会の世話人をしております。
カフェコーナーを担当しており一年に1回のお仕事です。
つながりを作る活動は、屋台と似ています。

他の若手の会の先生とお話しさせてもらったり、専門分科会で他の先生方のリアルな声を聞いて、自身と重ね合わせたり、違いを認識したり。いろんな背景をもつ先生方と交流できるのは面白いです。

・過去現在未来
 学生の時からお世話になっている先生に再会したり、以前勤務していた医療機関の看護師さんや、保健師さん、多職種に出会ったり、福井開催ということで久しぶりの出会いも多くありました。写真を撮りにきてくださったのが嬉しかったり、過去の失敗を思い出すこともあったり、未来に生かせるよう地道に精進しなければいけないと再認識しました。

💫 学びの種を得る場
【学生に対する地域医療教育】
•   地域医療を学ぶ機会を学生が自分から得ることはむずかしい。
• 三重県紀宝町では、「みらいドクター」という制度で医学生に対して、週に1回大学での実習の内容も含めて振り返りを、地域のドクターが行なっている。指導医の診療、大学での実習について地域医療の視点からオンラインでディスカッションをすることで、一つ一つ言語化をする

私の中でこのような疑問が生まれました↓
疑問:地域医療に興味があり全国を見て回っているモチベーションの高い学生に、どうやって自分の地区で活動してみたいと思ってもらえるか。
→ そこで三重県紀宝町での学びを得ている医学生の発表の際に「全国いろんな場所がある中で、どうしてその町を選んだのですか?」と質問をしてみました。すると、「街に住む人たちが自分のことを知ろうとしていることがわかる。多職種や地域住民が快く受け入れてくださっているのがわかる」「人が温かい」とお返事を頂戴しました。やっぱり自分のことを気にかけてもらっている感覚が重要なのだなと思いました。思えば自身も医学生の時にも今でも住民の方や多職種の温かい声掛けが嬉しく居心地が良く感じられます。

【初期研修医に対するフィードバック】
・ 診療所で研修医に対して、毎日メールでフィードバックして、その内容を診療所内外で共有している診療所がある。それにより研修医にも、派遣元にも、診療所のスタッフにも安心材料、勉強になる。
⇨ やってみたいけども、時間外となると、きついなあとも。時間をどう確保するかが自分にとっては課題。かといって過去に使ってみていたSLACKはログインする手間があり、その壁を越えるのが大変だった。

【初期研修医と経営】
初期研修医が来ると経営が良くなるというとある病院の院長先生のご発表
→ いずれ当診療所でも評価してみたいです。

【お酒やタバコのカルタによる健康教室】
中学生に内容を考えてもらい、絵を描いてもらうと中学生の印象にも残りやすく、大人にもインパクトがありました。
→ これもいずれやってみたいと思いました。

【ウェルビーイング】

まだうまく自分のものにできていない概念であり、勉強中です。診療所実習に来られる学生の説明していたもののまだうまく言語化できていないことがわかり一旦自粛中です。
診療所で何か指標として使うなら、測定できるものにできるといいですね。

【オンライン診療】
モバイルカー MONET
デジタル田園都市構想
→ 何かへき地診療に役立てれるといいかもしれなません。自分の中で構想、妄想!?はあります。

【不採算地区の地域医療の維持】
「2040年問題」という言葉が多く言われておりました。
・ 診療所医師の高齢化
・ 看護師不足
・ 経営難
が一般論として語られておりました。

【災害】

我々が去年対応した災害に関するお話もありました。
・ 少子高齢化・過疎化がある意味災害である。
・ 日頃の保健医療福祉連携が被災時に活かされる。
・ 被災時は外部支援の受け入れ力も大事。
・ サイバー攻撃もあり得る。
・ 起こりうる最悪の事態を想定して、思い切って口に出して議論し、計画する勇気が必要。

🌾 今後に向けて 🌾

国診協若手の会の世話人の先生方は
診療所の管理者であったり、大学の教員としての身分を持っていたり。
地域活動として、住民むけ勉強会・高齢者への講話や若い世代への話、健康相談なんかも普通に業務時間内にしておられたり。一方でそんな中できっちりワークライフバランスも維持されているように見えました。そう言った方々のお話は、実践に地に足がついており、自分はまだまだだと感じました。

長野にいる後輩のU先生から、小生については「診療所のミドルマネージャー」というヒントをいただきました。管理職でもないけど、考える立場にいる自身は、地に足をつけて、言語化をして、努力を重ねていかねばならないと焦る気持ちを感じたというのが正直なところです。臨床はもちろんのこと、診療所のこれからや地域医療のこれからに制度設計からも貢献していきたいと思いました。

2023年10月10日