見出し画像

ダイアログカードの使い方/ある日、小4の娘と。

ある日のリビングでテレビを見ていたら…

テレビに映っていた《21才 文字が書けない天才画家》

「は?『文字が書けない』っている?いらなくない?わざわざそこ言う必要あるわけ?」とテレビに向かってブチギレてる小4の娘。

「平均より高い能力を持つ”ギフテッド”と呼ばれる若者」を特集した番組で紹介された画家の濱口さん。東京大学が主催する「異才発掘プロジェクト」一期生として、以前よくメディアに出ていたので存在は知っていた。その後の活躍が気になっていたから、私は純粋に「うわー!大人になったな!めっちゃイケメン!」と軽い気持ちでテレビを観ていたら、となりで娘が「文字が書けないってどういうこと?」とイライラし始めた。

わざわざそこ言う必要あるわけ?とキレる娘

番組では、彼の圧倒的な存在感を放つ作品が次々と紹介されていったが、その流れで「毎日絵を100枚描くが、文字を書く能力に困難を持つ”ディスレクシア”である」というナレーションとともに、ゆっくりと時間をかけて自分の名前をぎこちなく書く様子が映し出された瞬間、娘の怒りがMAX。

「なんでわざわざこういうことさせるの?(テレビのキャプションに向かって)この『文字が書けない』って、いらなくない? ただ単に〈21才 天才画家〉でいいじゃん!できないことをわざわざ言う必要ある?まじでいらない!最低!」

な、なるほどー 確かに、そうだよねえ! Sちゃんのそういうところ、ほんとすごいと思う! と、真っ先に本人に伝えた。

が、、、いや、なんか違うな。

親として勝手にわかったつもりになるのはなんか嫌

娘の中でメラメラと湧き上がっているこの炎の奥に何があるのか、私は本当にわかっているのだろうか。親(大人)として勝手にわかったつもりになって、上から目線で「褒めて」る感じがなんか嫌。

本当は、自分が気にも留めなかったことに怒りを感じている娘への心からのリスペクトがある。そして、その奥に何があるのかをもっと「知りたい」し、「わかちあって」ほしいし、娘の本物さに触れたい。
そんな時はこれだな!と、ダイアログカードを一緒にやることに。

そんな時はこれ。ダイアログカードを一緒にやってみる

まずは、感情から。
感情は1つだけじゃない。心の中には、いろんな気持ちがたくさん湧いている。迷うことなく次々と激しい感情のカードを選んでいく娘。その中で特に強いのを選んでもらうと「イライラ」と「力がわいてくる」の2枚を選んだ。

次は、その奥にある「大切にしたいこと」。これまた一切の迷いなく、次々と選んでいき、その世界について娘が解説してくれた。

できないことをわざわざ取り上げる必要はない。みんなが、完璧にできる必要なんかない。
その人の「自分らしさ」が何よりも大事だし、それを「信じる」ことが全て。それぞれの自分らしさを「愛」を持って受け入れあい、「わかちあう」ことが「平和」なんだ。

そんなことを、熱く語る娘。
でも今回最も印象的だったのは、選んだ感情が「イライラ」と「力がわいてくる」だったこと。

怒りと情熱はコインの表と裏

怒りという感情は、自分が願う世界と違うことが目の前で起きている時に湧いてくる。怒りと情熱は、コインの表と裏。強い怒りの奥には「願い」があり、怒りがあるからこそ、自分が願う世界を現実化する情熱とパワーになる。

このことを、娘は細胞レベルでわかっている。ここに自分の情熱があるし、メラメラと力がわいてくる原動力になることを、自分でわかっている。それが何よりもすごい。

そう伝えると、娘も「確かに。私がイライラする時って、めっちゃパワー湧いてくるし、なんでもできそうな最強の気分になってる。それってすごいことなんだね~!」と誇らしげ。

子どものふとした言動。
それを表面的にわかったつもりになって良くも悪くも評価・判断するのではなく、「その奥に何があるのか?」と一緒に内省をしていくことで、子ども自身にも親にも新たな気づきがある。

何気ない日常の中で内省と対話をしていきたい

人生において、親と子が一緒に生活をする時間って、意外と短い。乳幼児期は、それはそれでかけがえのない時間だけど、こうして深い内面の話を対等に対話できるのは、小学生以上の子どもとだからこそ。

何か特別なできごとが起きた時に、親子で自然と深い対話ができるためにも、こうした何気ない日常の中で内省と対話をしていきたい。

内側にある感情や「大切にしたいこと」って、確かにそこに存在しているんだけど、抽象的で言語化するのがなかなか難しい。  難しいし、時間がかかるし、面倒くさいそのプロセスを、生成型AIが代わりにやってくれるという選択肢ができ、きっとそれはこれからますます発展していくのだろう。

だからこそ、自分の内側にある「なかなか言語化しにくいけど確かにあること」を感じ、内省し、言葉でアウトプットしていくプロセスを育むことが重要になってくる。  感情は唯一の自分のオリジナル(個性)であり、言葉が世界を創造していくから

感情を言葉にすること

このダイアログカードは、子どもから大人まで全世代が一緒に「対話」していけるようにという願いを込めて、京都市立葵小学校と放課後NPOアフタースクールの三者で共同開発したカード。

丁寧に意図を込めて、推敲に推敲を重ねて制作し、販売も開始してるけど、一般向けの告知をまだしていない(のに、常に売れているという謎w)。

家庭や学校の授業、大学、地域、コミュニティ、組織などの場で、みんなが気軽に「対話」できるよう、使い方などを紹介する機会をこれからいろいろと企画中。興味のある方は、ぜひご一緒しましょう!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?