あの人が、本気で商売に目覚めたら?【No.017・ポケットモンスター/サトシ編】
■合同会社GET(代表・サトシ)が、独自の発電技術で躍進
東日本大震災を契機に盛り上がりを見せた再生可能エネルギーへの転換。だが、電力の固定価格買取制度(FIT)に後押しされる形で、全国各地に大規模な太陽光発電所(メガソーラー)が建設されたものの、その後、FITの買取価格が下降するにつれて徐々に下火となりつつある。
そんな中、再生可能エネルギー分野で成長を続けているのが合同会社GET(代表・サトシ)だ。独自の技術で電力を生み出す画期的なビジネスモデルで、世界中が注目する日本初のスタートアップ企業である。
同社を率いるサトシCEOは、幼少時代から世界中を旅する好奇心旺盛な少年だった。野生動物の研究などで知られるオーキド博士から教えを受けたサトシ少年は、野生動物の生態に精通するように。自ら希少な生物たちを探し集め、それらを格闘させるトレーナーとして活躍するが、その後、本格的に起業家の道に進むことを決意する。
サトシ氏が目を付けたのが、幼少時代から長年にわたり飼育を続け、その生態を知り尽くした「ピカチュウ」という生き物だ。
ピカチュウとは、ネズミのような愛くるしい姿をした動物で、大量の電気を生み出す特徴がある。そこでサトシ氏は、野生のピカチュウを大量に捕獲し、その電気を活用する発電ビジネスを発案。オーキド博士をCTOに招いて研究を重ねた結果、2020年に実用化へと漕ぎ着けた。
現在では、電力自由化を追い風にシェアを伸ばし、日本国内で消費される電力の約10分の1を供給するまでに発電量を増やしている。
■高圧送電設備が必要なく、手軽に「地産地消」できるのが強み
合同会社GETの強みは、環境負荷を極力抑えながら、低コストで電力を供給できる点だ。ピカチュウが電力を生み出すのに必要なのはエサ代のみで、石油などの化石燃料に頼らなくてもいい。原発事故などのリスクがなく、安全性が高いのも大きなメリットだ。
さらに有望なのが、1ヵ所で発電を行って送電する既存の大規模発電所とは違い、「電力の地産地消」がしやすい点だ。高圧の送電線を張り巡らす必要がなく、電力インフラが整備されていない途上国でも容易に導入できる。今後、同社の発電システムは、世界的に普及していく大きな可能性を持っている。
懸念材料を挙げるとすれば、ピカチュウの乱獲の恐れだろう。今後もさらなる捕獲が続けば、動物愛護団体などが問題提起し始める恐れもある。ただ、同社ではすでに、携帯ゲーム機やスマートフォン向けアプリなどを使い、世界中のリモート社員がピカチュウを孵化・飼育できる仕組みを構築しており、今後も際限なく乱獲が進む可能性は少ないはずだ。
ただ、ピカチュウのエサ問題は深刻になるかもしれない。大好物だというケチャップが不足すれば、予期せぬ大規模停電が発生する可能性もあるほか、「スーパーの店頭からトマトが消えるのでは」といった懸念を口にする専門家もいる。
企業の存続という点では、サトシCEOというカリスマに支えられた属人的なビジネスだけに、後継者問題も気がかりだ。もしかしたら、水面下ではすでに次期トップを狙い、社員同士による熾烈なバトルが世界中で展開されているのかもしれない。
※この記事はフィクションです。
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※なお、note版の記事は、一部修正を加えて「空想ビジネスオンライン」から転載しています。
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