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アラジンの良さが分からなかった子どもの頃のわたしに伝えたいこと|ダフネの映画日記

実家にはディズニーの名作がVHSで揃っていた。いまも押し入れの深く奥にあるんじゃないだろうか。たしか、親戚から一式譲り受けたのだったと思う。ジャングルブックとか、ファンタジアとか、チップとデールとか、ターザンとか、わんわん物語とか、数にして50本近く、とにかくバリエーション豊かだった。

近所に遊べるような友達はいなかったし、小学校に上がるまではゲームも持っていなかった。遊びといえば隣に住んでいる祖母の家でお絵かきをしたり、工作をしたり、人形を出したりしまったりするばかりだったので、ディズニーのビデオテープは宝物で、何度も何度も繰り返して見た。

コレクションの中にはディズニープリンセスの作品もひととおりあって、白雪姫も、シンデレラも、眠れる森の美女も、リトル・マーメイドも、そして、アランジもあった。

幼いころのわたしは、アラジンの良さがまったく分からなかった。

王子様なのに、お城に住んでいない。
馬に乗っていない。
服もなんだか王子様っぽくない。
それに肌も黒い。(⬅5歳の子どもだったのだ。許してほしい)
王子様の格好だって、本当はニセモノだ。

「わたしだったら、アラジンとはけっこんしないな!」

なんて、ちびっ子ダフネちゃんは考えていたのでした。

白馬に乗った王子様ほど、何にもしないぞ!

大人になって、これに気づいたのだ。ぜひダフネちゃんに伝えたい。

だって、シンデレラの王子様、なーんにもしてなくないか?親が仕立てた超豪華お見合いパーティーに突っ立ってたら激好みの美女が現れて、一目惚れして、部下に探させて、自分は城で待機。それで結婚って。おそらく王子は結婚式まで城から一歩も出てない。(ひどい)

白雪姫の王子は、前にナンパして気になってた女の子をろくに探しもせず、偶然森をふらふらしてたら寝台で倒れてるところを見つけたのでチューして起こすだけ。

リトル・マーメイドのエリック王子も、少しは勇敢だったが、難破船から助け出したり魔女と取引して会いに来たりしたのはアリエルのほうだ。

野獣は城に引きこもって自己愛こじらせてたら、美女が押しかけてきて、雪遊びしたりダンスしたりしてたら、なんやかんやあって呪いをが解けて結婚。(雑)

自分から行動したのなんて、眠れる森の美女のフィリップ王子と、アラジンくらいではないか。

フィリップ王子は(本人たちが知らなかったとはいえ)結婚が前々から約束されていたことを考えれば、気になる子を見つけ出して、連れ出して、親を納得させて、結婚する、というフルコンボを決めたのは、アラジンだけなのである。フルコンボだドン!

ジーニーというドラえもん的存在が手助けしてくれていることを差っ引いたとしても、アラジンのポイントは高いにちがいない。

ダフネちゃん、君は大人になったら、プリンスチャーミングでも、チャーミー・プリンスでも、エリックでもなく、フィリップでもなく、意外にも、アラジンに一番ときめくようになるのだよ。

王子様はカーペットに乗ってやってくる

「白馬の王子様なんて現れない」とよく言うが、ある意味、その通りかもしれない。白馬の王子様というやつは、存在していたとしても、迎えには来てくれないのだ。せいぜい、馬にまたがってお出迎えしてくれるだけだ。恋のファーストアクションはいつだって、ヒロインが握っているのだ。

しかし、仕事に生活に大忙しで疲れたわたしは、そんなしんどいことはご免こうむりたい。妖精のおばあさんに頼んでドレスを仕立てて舞踏会へ行くのも、魔女に貰った足で一か八かで王子様に会いに行くのも、正直言ってしんどい。家でAmazonPrime観てゴロゴロしていたい。

だけど、「カーペットに乗った王子様」は、怠惰なアラサーのアパートのバルコニーにも突然現れてくれるかもしれない。手を取って、知らない世界に連れて行ってくれるかもしれないのだ。

これは、『きょうは会社休みます』に通ずるものがあると思う。33才まで彼氏がいなかった冴えないOLが突然スーパー年下イケメンに抱かれて付き合い始め、ちょっぴり綺麗になったりモテ期が襲来したりするのだ。

ちびっ子の頃のダフネちゃんへ

たぶんアラジンは旦那さんにしたら、すぐに車を出してお出かけに連れて行ってくれるタイプだよ。

ちょっとばかりガサツなところもあるけど、庶民的で親しみやすくて可愛いよ。

それに、当たり前のように「これ、綺麗だったから」みたいな、なんでもないような顔でお花を渡してくれたりするよ。

段差でつまづかないようにさりげなくエスコートしてくれたり、女の子の扱いも上手だよ。

きみが大人になる頃には、きっとわかるよ。

(Photo by Juan Camilo Guarin P on Unsplash)

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