見出し画像

読書感想【コンビニ人間】



 読んですぐ思った感想としてはなかなかエゲツないというモノでした。
 何と言えば良いのだろうか、このもやもやとする感じ。
 
 恐らく自分はやや「こちら側」の人間だろうと思っている。そう信じたいところがあるため、もしかするとこちら側では無いかも知れない。ただ、間違いなく「こちら側」でない人間の気持ちもわかるし、自分はどちらの経験もある人間だと思っている。
 恐らく、人間を「こちら側」とか「あちら側」とかそういうような事を誰かが言い出したわけでもなく、ぼんやりと構成されているような空気、同調圧力、雰囲気と言ったものをこの本から感じ取れるからであるように思う。だからもやもやとする。何様やねん、と。
 ただ、このもやもやが現実世界に充満しているのは事実。誰にも責任が無いのだから蔓延っても仕方ないのかも知れない。
 それくらい強いメッセージ性がこの本にはあって、「おぉ。。。」と思わされるような内容になっている。

 妹が家に来て、白羽さんと喧嘩をするシーン。胸が詰まる。。。
そしてそれを冷静に淡々と理解する主人公。そこに何は無くとも。
 
 主人公の考え方を否定したくはない。
ただ、こう、何と言えば良いのだろう?
わかってほしい、というのだろうか?いや、何のために?

 自分が社会人になったから、というのは大きな理由の一つであるのだろうけれど、今の社会の世代間のギャップはとてつもなく明らかだ。今までのうねりに対して何も考えずに迎合していればどうにかなるような時代はもう終わりを告げつつある。もこの社会は大きく変わりつつあるのだ。いや、既に私は乗り遅れているのかもしれない。
 まさにこうした時代の流れの中に、一つの切り口として「普通」とは何か?を問う小説であると感じました。

 読後感は、まぁ、良くは無いですね。。。笑

 素晴らしい小説だと思いました。


著者 村田沙耶香
発行 平成28年7月

 
 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?