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短編小説『爆乳ひなこちゃん』

これは僕が浪人していた時の話。

僕は北予備という名の予備校に通っていた。



北予備は、頭がおかしい。

予備校なのに校則的なものがあり
それが高校よりも厳しい。

自称進学校くらい厳しい。


『努力は実る』

を合言葉に

勉強に専念するよう
ゴリゴリに洗脳してくる


そして、抜け出せない。

監獄のような場所。

北予備を卒業した奴はこう呼ばれる。
脱北者、と



そんな環境だから、
追い詰められないと行動できないような奴が集まる

もちろん僕もその1人だ。


頭のおかしい予備校に入り、
1日10時間の勉強をしていた。


いや、誤解を招く言い方はやめよう。
僕は1日10時間の間、座っていた。


集中すれば1時間で終わるようなことを
10時間かけてやっていた。


1日10時間、北予備にいることで
やった風な気持ちになっていただけだ。



僕は、北予備でも手に負えないモンスターだった





そんな僕には北予備に気になる子がいた。

浪人してまで女にうつつを抜かすなと思うかもしれないが、
とても目が惹かれる子だったからしょうがない。

その子の名前はひなこちゃん。

同じ予備校だったが、
俺は頭が悪かったのでFクラス。
ひなこちゃんは頭が良くてAクラスだった。


ひなこちゃんの容姿は
黒髪ロングで色白
そして、




鬼みたいな爆乳だった。



鬼みたいな爆乳に目を引かれた。




クラスは違ったけど同じ予備校だから同じ授業を受けることもある。

一緒の自習室になることもあった。

見かけるたびに目で追ってしまう。


俺を惑わす爆乳だった。


俺はもう我慢できなかった。

ただでさえ監獄のような場所に詰め込まれ、
そこに10時間座る日々。

北予備の洗脳もあり、
ただでさえ頭のおかしい俺は
さらに頭がおかしくなっていた。

もはや、
ラリっていたと言っても過言ではない。



その状態で、おっぱいだ。



耐えれるわけがない。



もし、俺と同じ状況で耐えれる奴がいたら
僕はそいつをブッダと呼ぶ。




話を戻す。

我慢の限界が来た。

話しかけよう。

話しかけて、仲良くなろう。


あわよくば、揉ませてもらおう。


よし、心の準備はできた。

あとは話しかけるだけ。

が、ここでラリってる俺は
これまででは考えれない方向に思考が進んだ。



これ、ワンチャン、告白したらいけるんじゃね…?



脳内ではひなこちゃんの胸を揉みしだくほどの仲になっていた俺は

奇想天外なバグり方をしていた。




今までの恋愛は受け身で失敗の連続だったから、
ここは一発、男を見せよう。

休憩時間にひなこちゃんに近づき、
唐突な告白をした。


「あの…….一目惚れしました」


自分が発した言葉なのに自覚できるレベルで声は小さく、
モゴモゴして声は震えていた。

言葉を発した瞬間、我に帰り



(あ、これ断られる。)

と思った。


しかし、奇跡は起きた。

ひなこちゃんは色白の顔を真っ赤にして俯いた。


(え、、、、俺これワンチャンある!?)


心臓がドキドキした。

血液全てが心臓に集まっているのを感じるくらいドキドキした。

手は冷たくなってるのに心臓はとんでもないくらい熱かった。



このままワンチャンいけると思ったが、
ひなこちゃんは顔を真っ赤にしたまま無言で俯いてる。



俺はビビった。

マズイ断られる!と思った。

ひなこちゃんが何か言う前に先手を打たなければ。

俺は早口でこう言った。

「返事は今じゃなくていいから受験終わったらでいいから。受験終わったら聞きにいくね。」

チーズ牛丼大盛り温玉トッピングしてそうな喋り方だ。



流石にドン引かれると思った。

しかし、奇跡は2度起きる。


ひなこちゃんは赤い顔のまま頷いた。

僕は逃げるように自分の席に戻った。

そのまま休憩時間が終わり、解散。


その後はいつも通り勉強の毎日。

俺は相変わらず目で追っていた。

時々、目が合うようになって
勉強に集中なんてさらにできなくなった。

あの時の俺は
集中すれば10分で終わることを10時間かけていた。



時は過ぎて受験終わり。

もちろん、俺は浪人したのに4流大学。

むしろ大学に受かったのが奇跡だ。

俺は浪人時代に3回奇跡を起こした男。

褒め称えてもらって構わない。



予備校最後の日が来た。

よし、受験は終わった。
返事を聞きに行こう。

そう思うが、足が進まない。

この時、俺は北予備の洗脳が解け

ただの頭のおかしいやつに戻っていた。



ラリってない、ドーパミンが出ていない。

返事をもらいにいける気が……しない。



冷静になった頭で考える。
ひなこちゃんとは時々
目は合うようになっていたけれど、それだけだ。

あれから話したこともない。
LINEだって交換してない。

聞きに行ったところで断られると思った。



俺は、ひなこちゃんに会いに行かなかった。

これでいいんだ。
断られるくらいなら聞かない方がノーダメージでいいと思った。



そのまま、北予備最後の日が終わった。





後日、ひなこちゃんの友達に会った
(ひなこちゃんの友達と俺は知り合いだった)

そしてこう言われた。

「ひなこ待ってたのに。」
「すごい楽しみにしてたのに、なんで来なかったの?」

殴られたようなショックを受けた。



あの時、俺が行っていればOKがもらえたのかも知れなかったのか。

俺が勝手にビビって、絶対断られると勘違いして、チャンスを逃したのか。



でも、
ひなこちゃんから好意的に思われてるなんて俺は全然気づかなかった。

だって、目が合うだけで
ひなこちゃんからの好き好きアピールなんて1つもなかったから。

当時の俺は、ひなこちゃんのせいにすることにした。








今更だけど、謝らせて欲しい。

ひなこちゃん、あの時はごめん。

せっかく待っててくれたのに、返事を聞きに行かなくて。

俺が弱くて、恋愛のスキルなんて1つもなくて、
ただただ君を惑わせるだけになってしまった。

もし、君がこれを読んでるのだったら
君は何も悪くなくて、俺がザコだっただけだってことを知ってほしい。

そして、もし、これを読んでいるのだったら










よかったらおっぱいを揉ませてほしい。







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