宇宙戦艦ヤマト2205 後章 -STASHA- 感想(ネタバレあり)

事情により2205後編を劇場で観ることが出来なかったが、DVDを先ほど見終わったので、前編の感想に続いてこちらの感想も書いておく。

ネタバレにはほとんど配慮していないのでご注意ください。

それから、今回は(今回も?)結構ネガティブなことを書いています。この作品が好きな人は読まない方が良いと思います。作品の良し悪しというより好き嫌いなんだろうけど、まあ今はネガティブな感想ばかり出てきますね・・・

やはりこの雰囲気が嫌いだ

2205のセリフ回しや演出は2202と似ている。2202の感想で何度も書いたが、個人的に「2202話法」と呼んでいる、動詞や目的語を言わずに尻切れで終わるものや、文章ベースで演説のようなセリフである。この不自然さを端的に言うと、とにかく気持ち悪いのだ。何だよ「古代進という男は…」って。「しっかり見届けろ」って戦闘の現場で言う言葉か?よく分からん独白から作戦会議室での細かいセリフまで、ありとあらゆるものが不自然で、それらが積み重なり、なんとなくこの作品が嫌いになっていく。

顔のアップのみでセリフがない場面、あるいは歯を食いしばるような「くっ」という表情や息をのむだけで終わる場面が多い。これも2202から変わらず、私にとって空虚な時間だった。戦闘シーンは単調なBGMあるいは独白が垂れ流され、ダイジェスト感が強い。このような演出は製作者が良かれと思ってやっているのだろうか?あるいは単にアニメとしての技術不足だろうか?私は後者と思っているのだが、こういうのが好きな人もいるので全否定はしない。だが私はこういうのは嫌いだ。

セリフがクサすぎて耐えられないというのもあるが、決められた設定やストーリーを客観的に見ている感が強く、作品に没頭できなかった。作品を見ているというよりも、作品の設定を考えている人を見ている、あるいは見せつけられている気がした。2202と同じように、作品の設定やストーリー以外の良さをあまり感じられなかった。製作者の影が常に見えるような、この雰囲気が気持ち悪い。

キャラクターに共感できない

古代は2202から成長したようでしていない、というか2202以降のキャラクターから人間味を感じない。正直古代が何を考えているのか、何に苦しんでウジウジしているのか私にはよく分からず、このキャラクターを薄気味悪く感じる。「肉親を失いたくない」は分かるが「義姉さん!」は笑ってしまった。スターシャ、そこは笑ってあげろよ!(しかもこれはスターシャがどのみち消えることを知った上での説得である。本当に気味が悪い。そして救助に難色を示すスターシャと矛盾を感じる。どのみち消えるならなんで救助を拒むんだよ!さすがに特攻中のデスラーに会えるとは思わないだろ!)

デスラー総統は2202では弱い男という印象だったが、今作もその評価は変わらない。2202での蝙蝠っぷりはガミラスのために最善の行動をしているという言い訳はできるが、ガミラスを救うことを第一に考える男がなぜ特攻してまでスターシャを救おうとしたのか。スターシャを愛しているとはいえ、ラインハルトから託されたものは何だったのか、おまえに守るべきものは無いのか?(前編でも無謀な試みで死にかけるところをタランに叱られていたが…)
例の「真実(笑)」とやらがガミラスにどんな意味を持つのかさっぱり分からないので、デスラーがスターシャに銃を突きつける理由もさっぱり分からない。そんな歴史がありましたと言われても憎しみなんて湧きようがないし、ガミラス民族の母星があると知ってるなら早く教えろよ!ってこと?ここでスターシャに「生きろ」とか「それでも救う」と言えないデスラーは本当に弱い男だ。(その後の「私ごと撃て」の流れには混乱した。デスラーは一体何考えているんだ?ちゃんと目を見て「救う」と言えよ!行動が陰キャなんだよ、お前童貞か?)
デスラーは最後のシーンまで演説っぽいセリフ。本心どころか友情もクソも無い。よく分からん印象の薄いキャラで終わるところ、島の「あれで謝ってるんだよ」に救われたんじゃないか?

土門は行動に理念があり、突飛な性格は好きだが、やはり作品特有のウジウジ感を持っていて気持ち悪い。
機械を扱うヤーブはかっこいいのに薄っぺらい家族描写が出てくるたびに嫌いになってしまう。やめてくれ。その薄っぺらいテーマのような何かを挟むのをやめてくれ。
キャロラインの子供を抱いて喜ぶ姿は不自然すぎて過去に何かあった伏線かと思った。
ヒルデが父親のことを話すのも結局全部セリフで説明するんだよな。アニメとしての技術不足だよ。口で説明されても空虚なんだよ。
ハイニ、お前も緩い流れの中で何となく殺されてしまったのか。もう何となくキャラを殺すのやめてくれよ。ネームドを殺すなら劇的な死が欲しい。
スターシャも薄くなってからもう少し粘れよ。アッサリ消えたなー。結局スターシャも何となく流れというか雰囲気で消えてしまった。旧作のスターシャの方がよほど良い表情してたよ。自爆スイッチを押す時の雰囲気も軽い。割と軽いノリで自爆スイッチ押したよね。後から「実はこれで私も消えちゃうんです」って演出が良いと思ってるの?思ってるんだろうなー。
ユリーシャ、お前ももう少し何か無いのか。雪やメルダに言うことは?生きた感想は?ストーリーのメインストリームに絡まないキャラの扱いなんてこんなものかよ。

みんなで背負うみたいな言葉は2202で出てきたが、当時も「何言ってんだこいつ」と思ったし、それゆえ古代と雪の掛け合いもいまいちピンと来なかった。責任は俺が取るって言葉に何でみんなそんな反応するかな。そんなのどうでもよくない?

こうしてみると、私がキャラの掛け合いについて行けず、必死の形相で何か伝えようとしているのにその理屈が理解できないのだ。キャラに共感できないのは辛い。

CGのテクスチャ感

最近はCGのツルツルした質感に抵抗のない人が増えていると聞く。しかしコスモパイソンやミサイル、艦橋の照り返しのツルツル感はちょっと気になった。ミサイルで出来た破損部に機銃をクルクル旋回しながら打ち込む絵面は笑ってしまった。個人的には動きに愛がないと感じてしまうが、それはテクスチャ感よりも今作の戦闘の単調さによるかもしれない。艦載機の戦闘いらなくね?キャラ見せるためだけに毎度入れなくて良いんだよ?

ついにサーシャ登場

古代守とスターシャの子供、エレメントを使う設定は素晴らしいと思った。名前の由来も良いと思った。まだ赤ん坊だが目の色や髪の色も旧作と変わらない。どのように成長するのか楽しみだ。

製作陣はおそらくメカに興味がない

前編にあったはずのプレアデスやゴルバの登場シーンは全く印象に無いし、何度も言うように戦闘シーンはひたすら単調だ。後編でもゴルバの絶望的な強さなど全く伝わってこなかったし、というかゴルバの戦闘シーン自体がほとんど無い。それゆえ当然ゴルバのテーマも流れない。メルダーズがどうでも良いことをブツブツ話すだけである。
新しいデザインのゴルバを見れて、これでファンは納得なのだろうか?まあレビューを見る限りでは満足している人は多いように思う。しかし、このメカの扱いはファンを馬鹿にしているレベルだと思う。新しいガワを見せればファンも喜ぶだろうみたいなやっつけ仕事に見える。機能や動きを見せる気が無く、愛が感じられない。

ゴルバの攻撃はショボすぎる。波動防壁に弾かれるメインウェポンって何よ?てかそこから撃つんだ。単純にかっこ悪いと思う。どうやら回転砲台にはアルファ砲とベータ砲があるようだが出番無し!旧作の上部ミサイル砲も出番無し!こういう兵装の設定だけ考えて満足している感がたまらなく気持ち悪い。ゴルバの扱いも散々であるが、プレアデスに至っては完全に空気で艦隊に紛れたモブ艦扱いである。主砲を撃つシーンすらほとんど記憶にない。デザインにも色々感想はあるが、とにかく扱いが雑すぎる。本当に興味ないんだろうなー。

まとめ

何が苦しいって、この作品を高評価する声が多いことだ。そりゃ前作よりは良いとは思うけどさ、これはとても良作とは言えない、少なくとも私は嫌いだ。セリフは気持ち悪いし理解できない、戦闘は単調で、メカも見どころ無し。

次回作も可能なら劇場まで見に行くが、私の好きな作品になりそうな気配は全く感じられない。時代と共に作品のテイストは変わり、私がそれについて行けなくなったのかもしれない。

2205には2202のような絶望感・喪失感は無かった。だから前作よりは良くなったのだろう。
しかしやはりこの作品は嫌いである。

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