宇宙戦艦ヤマト2205 前章-TAKE OFF- 感想(ネタバレあり)

2205を映画館で観てきたので感想をメモがてら書いていく。一度作品を観たのみで考察記事などは一切読んでいないため、見当違いな考察があるかもしれないが容赦して欲しい。観てから3日経っているので記憶が曖昧な部分もある。またDVDが発売されたら加筆すると思う。

気になった点を徒然なるままに書き、最後にまとめの流れで行きたい。

TAKE OFFって

ダサすぎん?
そんなことない?そう・・・。

まだ2202の嚆矢編とかのがセンスあったと思う。

独特なセリフ回し

「私は・・・」
「俺は・・・」
のように終わる独特なセリフが2202に引き続き今作でも目立ったように思う。個人的に2202話法と名付けたが、これは誰によるものなのだろうか。

全体的にセリフが文章ベースで冗長かつ不自然。演説のように感じられる場面も多かった。これも2202と同じ印象だ。公開されている冒頭14分でもその一部は分かると思う。私にはデスラーのセリフが不自然に感じられたが、これは半分演説だから良いのか?

そしてやはり同時に説明不足でパワーの無いセリフも混在する。古代の「こっちは経験者だぞ」など、今作では影の薄い古代が、常識を打ち破る意思を伝えられる貴重な場面なのに、何でこう分かりにくくするのか。上手く言ったつもりなのだろうが全く熱くなれなかった。コスモタイガーのテーマを流す前に古代がイスカンダルに向かう指令を出して、ハッとする土門の顔くらいを入れれば良いのに。

音楽の使い方

どうしても旧作と比較してしまうが、音楽と映像の融合については西﨑Pが本当にこだわっていたのだと実感する。

ガミラス星の崩壊のシーンを例に挙げよう。ゴルバのテーマをバックにしたガミラス星での戦闘、崩壊するガミラス星、デスラーのボレロが流れ、膝から崩れ落ちるデスラー。旧作は非常に流れが良く、音楽の印象も強い。
一方で2205でも同様のシーンはあったが、正直あまり印象に残っていない。これは私が旧作びいきしている訳ではなく、単純にアニメとしての技術不足だと思う。

そしてもう一つ。クラシックを使うのはあかんでしょ。暗黒星団帝国のテーマと結びつきが弱まり、旧作にあった怖い、不気味といった印象が薄まってしまった。ああ、ショパン、ドビュッシー・・・という感想しか出てこない。メルダーズがノイズどうこう言っていたが、やはり印象の薄いセリフとしか感じられなかった。何言ってんだこいつ。
これは私がクラシック勢なので感じ方は少し特殊かもしれない。しかし復活編であれほど不評だったクラシックの使用、よほどの理由があるのだろう。いや知らんけど。

発進シーン

旧作のがはるかに良かった。ささきいさおの「ヤマト!!新たなる旅立ち」に合わせて木々をかすめてヤマトが飛び立つシーン、今作では木々がざわついたのは覚えているが、やはりあまり印象に残っていない。達成感のようなものがまるで感じられなかった。音楽とのつながりや効果音のせいだろうか?
土門が操縦桿を引かなかったのは緊張のせいではなく、ヤマトに対して恨みがあったからだろう。ただ、恨みだけでは説明できないヤマトに対する思い、その複雑な心境や葛藤が上手く表現できておらず、結局「俺は降りない」的なセリフだけで片付けてしまったのだが、やはり何のことかよく分からなかった。何か土門が一つ殻を破った的な貴重なシーンのはずなのだが、何が変化したのか分からないのだ。キャラの成長もカタルシスも無く、音楽や効果音との協調も無く、淡々とした発進シーンだと記憶している。

新キャラ

総じて印象が薄い。キャロラインは面白そうな感じもしたが、それでも印象が薄い。坂本、京塚、坂東などは完全に空気である。新しいアナライザーはとにかく目障りなので一刻も早く消えて欲しい。
これはキャラ設定が悪いのではなく、演出力が原因だろう。可哀そうに。

敵の印象

例えばプレアデスの登場シーン、旧作ではイスカンダル星を背にゴルバのテーマと共に艦橋から「ゴゴゴゴゴゴ・・・」と現れ、艦隊を引き連れてガミラス星に向かうという流れだ。存在感抜群である。しかし今作のプレアデスはほとんど印象に残っていない。デーダーが「グレートプレアデス!」と呼んでいたので、へえそんな名前なのかと思った程度だ。
服や眉毛が現れるのも、そういう設定はあるのだろうが何の意味があるのかよく分からない。メカもキャラも印象は薄い。

イモムシ型戦闘機の色

これは強い印象というより違和感が残っている。艦載機は地球・ガミラス・ガトランティス全ての勢力において大体かっこいいデザインをしており、カラーもその勢力に特有のものが多い(コスモタイガーⅠのような例外はあるが)。しかし今作のイモムシ型戦闘機、青くなかったか?新イモムシ型はどうなるのだろう?カラーチョイスに疑問を持った。

ガミラス星を破壊した兵器

外見のデザインはともかく動きがダサすぎる。何だよあのピストン運動。まあ実際にそういう機械がありそうだし何か参考にしたのかもしれないが、ハイペロン爆弾みたくしっかり地に足つけて、もっとオシャレな攻撃をしてほしい。足場を崩されて無効化というのもダサすぎる。

デザリアムやわらか艦隊

小さな惑星破壊兵器がビーム攻撃を無効化したのに、艦隊にはビーム攻撃が効くのか!それ納得できる?どういう理屈が潜んでるのか知らんけど、普通に考えて不自然じゃない?
コケて無効化される大量生産系の兵器に搭載できて、何で護衛艦や巡洋艦には搭載できないのだろうか?(巡洋艦は旧作プレアデスに似ていたので無効化できている?)

戦闘シーン

冒頭14分の戦闘シーンはどう見えただろうか?私には冗長に見えた。とりあえずキャラを見せたいだけだろうと。これはデスラーのシーンの流れを止めてしまっている。
2202の時から感じていたが、全体的にCGっぽいツルツルしたテクスチャが目立ち、艦や兵器の動きに愛が感じられない。大味である。
機雷は今作でも見られたが、やはり印象に残っていない。旧作ではデスラーの好判断で、暗黒星団帝国も苦戦した印象的な兵器だったのだが、今作ではただのモブ兵器のようだった。

土門が主計課に配属される流れ

初見では平田が土門を欲しがったように見える(実際そうなのだろう)が、それは不自然ではないか?むしろ古代が土門を「あいつは俺なんだ」と気に掛けるのなら、古代から主計課で土門を拾う流れを作った方が自然なのでは?平田ってそんな危ない橋を渡る感じのキャラだっけ?人手不足も説明になっていない。その人手不足、どこから湧いてきた?人事計画が甘いんじゃないか?
古代が平田に声を掛けるシーンがカットされたのかと思った。

分からないように見せること

ラインハルトやヤーブの義理の娘が言ってた「花」について、全く説明されていないので今の所ただの不自然で終わっている。
全く別のシーンで、真田さんが「まさか・・・!」みたいな閃きをしていたことがあったと記憶しているが、もう忘れてしまった。こういうのを増やせば増やす程良いと思っている節が2202の時から感じられる。違和感のある伏線は伏線ではなくてゴミである。

ヤーブの扱い

主犯格の新見が許されてヤーブは裏切り者扱いなことに納得がいかない。彼はヤマトを救った英雄だぞ?ヤーブが家族の良さについて色々言っており、単独でゲートを抜けようとするのはまあ分かる。しかし具体的な家族描写に欠け、いまいち共感できない。また俺の居場所はここじゃない的なセリフには違和感があった。すべて納得した上でヤマトに乗り込んだはずでは?ヤーブがその場の状況に合わせて都合よく扱われてる印象。

ヒスの死

美しく成長したヒルデと、親代わりのようにも見えたヒス。ヒルデを見送るヒスの表情は覚悟が決まっていたが、その後特に重要なセリフもなく爆発に巻き込まれてサクっと死んでしまった。なぜガミラスに残ったのかもう少し説明しても良いのでは?ヒスとヒルデの関係ももう少し描いても良かったのでは?
2202の感想で散々かいたが、今作も人の死がとにかく薄味で、そこに劇的さは無い。演出もクソも無く、その場の流れで淡々と死んでいく。
ヒルデの親という意味では、「ザルツ!万歳!」の声と共に家族を思いながら逝ったシュルツと比較して欲しい。死に方の描写について2199との違いがよく分かるはずだ。

まとめと良かったこと

演出のクソさとクサさについては2202から変わっていない。言い方を変えればまるで成長していない。しかし今作は前編と後編のみの短期決戦であり、それが功を奏したとも言える。2202でぶち込まれまくったテーマが制限され、それなりに話としてまとまっていたように思う。

不満点を挙げればキリが無いが、前作と比較して大幅に良くなっていることは間違いない。

個人的に良かったと感じる点もある。1点だけ挙げよう。
波動コアのようなものがサーシャと呼ばれていたが、イスカンダル人の生命は肉体と切り離して考える系のものなのだろう。スターシャはユリーシャのことを「幼い」とはっきり発言していた。これは精神的なものではなく実際に生命として幼いのだろう。これで真田澪の成長問題を解決できるな!登場を確信できたよ!ありがとう!

(そういえば波動コアのようなものを見た土門に対してヤーブが「一目でこれが何か分かるのかい?」みたいなことを言っていたが、セリフにどこか不自然さを感じたから何かの伏線なんだろうな・・・)

とにかく2202と比較してはるかに観れる作品になっていた。それは前述の通り、短い作品で制約が多いことによると思う。後半に期待している。変なテーマを追加でぶち込まないでくれよ!

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