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デイトナ24時間アキュラ優勝!耐久レースの魅力

北米ではスポーツカーレースの最高峰IMSAシリーズが開幕し、週末その第一戦『デイトナ24時間耐久レース』が開催されました。
日本勢としては、とても喜ばしい『アキュラARX-06』1-2フィニッシュで幸先良いスタートを切りました!

ACURA ARX-06 60号車の4人のドライバー
フェンスよじ登りで有名なインディ界の英雄エリオ(左)の嬉し涙に私も感動

★IMSAのマシン

今年から北米IMSAシリーズのトップカテゴリーはDPiからGTPと名を改め、各マシン共通のハイブリッドシステムを初めて搭載しています。
その他、クラス下のプロトタイプ、市販スポーツカー形状を踏襲するGTカークラスもあり見どころ満載です!

GTPにはアキュラ、キャデラック、ポルシェ、BMWが参戦
GTクラスには世界中の名立たるスポーツカーが参戦

また、トップカテゴリのGTPはLMDh(Le Mans Daytona Hybridの意?)として欧州中心のFIA主催のWEC(世界耐久選手権)シリーズにもハイパーカーとして参戦可能となるため、今後EU勢との夢の頂上対決も期待されます。
特に世界一有名で権威ある耐久レース『ル・マン24時間』へも米国勢が参戦できるので、グループC時代のような自動車メーカー直系マシンと世界各国の有力チームによる激しい対決で大いに盛り上がるでしょう。

今年は耐久王ポルシェと米国の雄キャデラックがIMSAとWEC双方に参戦するようなので、かなり面白い事になりますね!

バンクを走行するモンスター達  IMSA HPより
タイヤを温めるGTクラスのマシン群 スーパーカーが勢揃い

★24時間耐久レースの魅力

自動車レースは元々クルマの性能向上のための技術競争の場であり、100年前に馬車にエンジンが付いた様なクルマが、「より早く(速く)・より遠くへ・より安全に・より快適に」を求め現代のクルマへと進化して来ました。
そしてデイトナなどの耐久レースもマシンの見た目こそ市販車と違えど、今でも夜間走行も含めた耐久性も競う点では、今なお残る自動車レースの原点と言えるのではないでしょうか。

デイトナの夜を照らす花火 24時間レースならではの光景

・魅力その1 長距離走行
ノンストップで24時間走り続ける事は不可能なので、当然ピットストップし給油、タイヤ交換、ドライバー交代、マシンの修理調整を行います。
ピットストップはタイムロスなので可能な限り回数を減らしたい。
そこで燃費タイヤの耐久性ドライバーへの負担の軽減、複数のドライバーが乗るので扱いやすい癖の少ないマシン作りなどもスプリントレースより一段と重要となります。
故障や接触での修理は大幅なタイムロス、下手すればリタイアとなります。24時間全開で走り続けて壊れないクルマを作ることは容易ではありません。そこで近年では修理のし易さなどもマシンの重要な要素となっています。
ただ速いだけでは勝てない、それが耐久レース。

24時間、事故なく故障なく全力で走り続けるのは至難の業

・魅力その2 夜間走行
24時間レースでは必ず夜がやってきます
最近でこそ中東開催のF-1でナイトレースもありますが、ル・マンなどは真っ暗な郊外路(普段は一般公道)を時速300km以上で走り続けます!
レーサーといえども夜走行の負担は大きい。
しっかりと夜道を照らすヘッドライトやブレーキランプと言った普通のクルマと同じ安全装備(より高性能なもの)が必要でその信頼性も求められます。
また長丁場なので天候の急変の可能性も高い上に、朝昼晩で気温や路面温度も変わります。雨ではワイパーを動かしタイヤ交換も必要。タイヤもメカも温度で特性が変わるし、夜は昼間の様に100%全開では突っ込めない。
そんな難しい暗闇の中でもブレーキディスクを真っ赤に光らせ、眩しいヘッドライトのモンスターマシン達が凄まじい速度で走っていく
危険と隣り合わせだが、どこか幻想的な特別な世界に魅力を感じます。
(走り屋出身の土屋圭市選手が夜のル・マンで異常に速いという伝説も・・)

デイトナはクローズドサーキットでのレースのため照明でかなりコースが明るい

・魅力その3 異種カテゴリー混走
一般的に性格上耐久レースでは様々な性能の異なるカテゴリーのマシンが同時に疾走することが多く走行台数も多い
これは非常にエキサイティングな先の読めないシーンを作り出します。
24時間もあると全カテゴリーがコース上をバラバラに思い思いのペースで走ることになるので、上位カテゴリーマシンは下位カテゴリーを常に抜いて行かねばならない
速い車からすると動く障害物がランダムに現れるので常に気が抜けない。
時にはこの状況を利用したオーバーテイクやブロックのようなテクニックも求められる。もちろん抜かれる側にも上手に抜かれるテクニックも必要。
同一カテゴリーのみだとレースが硬直化し単調となりやすいが、様々なマシンの混走では良くも悪くもアクシデントやドラマが起きやすい

普通のスポーツカーでは全く歯が立たない速さのGTレースカーですら、
レーシングプロトタイプはあっさり抜き去って行く。プロトタイプはバケモノか!?

魅力その4 チーム総力戦
スプリントレースでは故障や接触などのアクシデントが起きれば表彰台の可能性はかなり下がってしまう。
一方で最後まで誰に何が起きるかわからないのが耐久レース
(実際トヨタは最後の3分前でトップのマシンが止まる地獄を経験している)
だからこそ深刻なトラブルや安全に関わる問題でない限り、チームは何時間でも修理してコース復帰を目指す。仮に上位入賞が難しくとも次回に向けてのデータ収集も重要な仕事と言えます。
そのためメカニックは通常のピット作業の他に、『マシン修理』も求められる。そしてドライバーは複数名だが、チーム員は交代要員が多数いるわけではない。戦略を練る『監督』だって一人、不眠不休が求められる。自動車レースと聞くとマシンとドライバー次第と考えてしまいがち。しかしチームの存在がここまで直接にレース結果に関わるレースも他にはないと思います。
(大昔には一人で24時間走り続けた強者ドライバーはいるようですが・・・)

チーム・ドライバー・マシン全て揃い、息が合わねば耐久レースでの勝利は難しい

そもそも本来24時間全力で走り続ける事だけでも凄い事なので、耐久レースでは『完走』は、ある意味ファステストラップを出してもリタイアしてしまうマシンよりも名誉ある事かもしれません。

道半ばで諦めない、最後まで全力を尽くす。そして完走者全員を祝福する
そんな人間ドラマがギュッと詰まった魅力ある耐久レースが今後益々盛り上がる事を期待します!
最後までお読みいただきありがとうございました。


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