VINTAGE①【カップに咲く花】
カランカラン……
アルバイトもない午後の憂鬱。大学2年の僕が自転車で向かう先はVINTAGEという喫茶店。店内は程よくエアコンが効いていて快適だ。
「おかえりなさい。今日はどうする?」
マスターのおばさんがオーダーを聞いてくる。
「ベーコントーストとコーヒーはお任せで」
最近、この店の常連になってからコーヒーは銘柄当てにチャレンジしている。まぁ、一度も当たったことはないのだが……
「マンデリン!」
「残念。モカ・マタリでした。」
今日も外れだ。カウンターが笑顔