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FTM辞めました

さて、前回の続きをお話ししよう。
結論から言うと、僕は今日FTMを辞めた。

僕は確かに自分が「生物学的に」女性であることにゾッとする。そして「あたし」「わたし」という一人称を使えない。そして身体や見た目の男性化を望んで、病院めぐりをした。

ここで言えるのはただ単に僕の身体が女性で僕の心が男性であることだけだ。そしてこれはまだ、「僕がどういう男性であるか」を説明できていない。

僕は昔で言うところの「オカマ」が入っている。
なよっとしていて、美しいものが大好き。
女装も大好きだからこそ、15歳から28歳まで女性として振る舞うことが苦にならなかったのだ。そして今日も、長い黒髪が好きでウィッグを被っている。むしろFTM、パス度、男、女etcという概念に飲まれて体育会系みたいに短くした派手な金髪が嫌で嫌で仕方ない。

今の言葉でいうところの「性表現」が女性寄りということだろうか。

これなら、FTMの枠に入らずに済むのではないか。治療を受けられなくても生きられるのではないか。これが突破口だった。

何より平和主義のナヨナヨした僕にとって、治療や戸籍、改名のために戦うのがなによりも嫌だった。それならばと白旗を上げ、「撃たないでください、僕は中立です!」と叫んだわけだ。

こうして、幸いにも「カマっ気」が入ったトランス男性として生まれた僕は命拾いをした。

これからの僕がどうするか。「女装したトランス男性」「FtX」「ノンバイナリー」「中性」…僕がどう見られるかを僕は選べないし、選ばなくていい。そう思っている。

ふわふわと漂うクラゲのように曖昧に美しく、それでいて少年のようにこの世界中の輝きをいっぱい集めて生きて行きたい。それしか決めていない。なぜならそれが一番、僕らしいからだ。

僕の記事が「柄にもなく」戦っているFTMの方や治療を受けられないFTMの方にとって、こんな生き方もあるんですよと、良い意味での逃げ道を教えるものであれたらと願う。

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