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ロンリーラプソディ~独り狂詩曲~
『疲れたじゃろ。座ってもええで。』
優しく語り掛けるように彼はそうつぶやいた。
これは、藤井風さんの昨年10月に行われた
大阪吹田パナソニックスタジアムで行われた
ライブのひとコマ。
観客の高揚する気持ちを鎮めるかのように
彼は照明が落とされた細く緩い下りの道を
ピアノが置かれた中央ステージへと歩を進める。
![](https://assets.st-note.com/img/1690159620406-nPFAbO5fzr.png)
あくまでも個人の主観の物語です_(._.)_
彼の頭上にただ一つの灯り。
柔らかな天使の梯子にポッと照らされて…
水の流れる音。滑らかなピアノの音色。
風に揺れる葉音。鳥たちのハミング。
木霊の笑い声にこだまする波動。
その音色は少しずつ変化し
私を遠く遠く、静かに運んでくれる。
気が付くとそこは木の匂いが立ち込める森の奥。
小さい頃、よく父が連れて行ってくれた場所。
懐かしい木々の薫りが鼻をくすぐる。
足元の緑苔を面白おかしく踏みしめながら
大地にしっかり“私“という足跡を残す。
ふと気が付くとさっきまで一緒にいたはずの
父の姿は消え、私はただ一人。
呆然と立ち尽くす、森の中。
辺りを見渡しても誰もいない。
私は必死で父を呼んだが返事はない。
ただ寂しくて、悲しくてこぼれる涙の粒。
やがて、道なき道をトボトボと進む。
気が付くとさっきから後ろに誰かいる。
私の後をついてくる。森のくまさんか?
いや、そうではない。
振り向いても誰もいない。
上を見上げても木と空以外何もない。
そして、私は気が付いた。
いる。間違いなくそこにいる。
光の方へ向かって歩く私の
足元から後ろに伸びる黒い影ぼうし。
![](https://assets.st-note.com/img/1690162313934-9pkG0aBUyw.png)
どうして気が付かなかったのだろう。
こんな大切なことに。。。
私には影がいる。もう一人のわたし。
太陽の光がなければこの影には出会えない。
でも常にここに在る。私の足元に。心の中に。
私はもう一度光の方に向き直して
まっすぐに姿勢を正し、胸を張った。
そして、深く深く息を吸った。
目を閉じて、私の中の「わたし」を感じて
そしてさらに長く細くゆっくりと息を吐く。
ここのきれいで淀みない空気を。
この地球の恵みを吸い込んで
何秒かそのまま息を止めて
一つ一つの細胞にまで行き渡らせる。
そして次の瞬間、自分の中にある
不安や恐れを全部吐き出してゆく。
呼吸できること。
それは決してあたりまえではないということ。
私たちは神様から個々に違った特性を与えられ
その命を輝かせて自分だけの花を咲かせるために
今と向き合って生きているんだね。
呼吸できるって素晴らしいことなんだね!
ハッとして、パッと見て、大きな声で母を呼んだ。
光の中にあたたかな顔が蘇ってきた。
![](https://assets.st-note.com/img/1690163371956-XBoKQHVW9y.png)
ただただ感謝が湧き上がってくる。
私を創造してくれてありがとう。
そして、これまで生きてこれたのは
たくさんの私みたいな「ワタシ」と
私をサポートしてくれる高次の存在。
命をつないでくれたご先祖さま。
いつもそばにいてくれる自慢の「わたし」
![](https://assets.st-note.com/img/1690164026358-N8QAIsDg0d.png)
みんな独りでしょ。みんなひとつでしょ!
小さなか細い木の幹が
長い年月をかけて枝を伸ばし
生きた歳の分だけ
その年輪を刻み、幹を大きくしていく。
嵐が来ても倒れることのない
揺るがない自分の軸を創造しながら・・・
あなたも私も・・・もう大丈夫。
みんな通る道。
みんな独りだけど一人じゃない。
藤井風から生まれた命の音たちが
今の私たちを優しく導いてくれている。。。
![](https://assets.st-note.com/img/1690164872502-gHjNHtsJgM.jpg)
Fin
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