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宇宙のお試し~共に生きてく~

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ある日の夢に出てきた少年と私の物語(フィクションです)
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#瞳の奥の風景

瞳を読む少年

瞳を読む少年

私はある小学校の学童保育の支援員をしている。

自らも子育てをしてきた経験から

小学校という大切な子供さんの今を

少しでも支援できたらと思いこの仕事に就いた。

今年度も忙しくなるぞと覚悟して

その計り知れない子供たちのパワーに負けないように

わざと口角を上げて「にっ」と力を込めた。

私なりの決意表明!

そこへ転校生の子供さんがやってきた。

細く長いスラッとした脚。

長い前髪を何度

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太陽にも青はある

太陽にも青はある

『先生はどうしていつもサンサン太陽みたいなの?』

描きかけの絵に目をやりながら、彼は私に尋ねた。

星矢君のアトリエは球体の秘密基地の中にある。

そこは地上の楽園のような居心地の良いオアシスだった。

キラキラな空間に連れてこられた私はまるで

魔法にかけられたように彼に話し始めた・・・

「お前はいつも上から目線で…勝手に決めんな!」

一学年下の主人とは大学のサークルで出会った。

結婚を

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音のない門

音のない門

「せいやん! そろそろ行こうか」

『たくみくん、ちょっと待って…』

僕は描きかけの絵を急いでカバンにしまい込み

荷物のなくなった殺風景な部屋をゆっくりと見渡して

心の中で“さよなら”を言ってから扉を閉めた。

今日、僕は生まれて初めて“引っ越し”という大移動を経験する。

たくみ叔父さんの転勤先の海の見える田舎の町へ。

僕の父は、トンネルを作る仕事をしていて、

僕が生まれてすぐに、作業

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