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夢から覚めたら

あなたをまとって目が覚めた。

あぁ今日もあなたが夢に出てきた。夢で私を抱きしめた、あなたの空気が私のまわりをフワーッと包んでいる。

あなたが私をそっと抱きしめていた。私はあなたの胸に軽く顔を埋めていた。幸せな場所。

私とあなたがたわいもない会話をする。笑いながら、あなたの肩をトンと叩きながら、笑顔で話している。何を話しているのかはわからない。でも満たされた時間。

彼女がやってきた。

あなたを呼ぶ彼女。あなたは彼女を見て、彼女と行ってしまう。私を置いて行ってしまう。待って、と言えない。あぁ、また彼女と行くんだな、とだけ思ってぼんやりと彼らを見送る。

ずっと同じ、ずっと同じこの夢を私は何度見ただろう。あなたと別れてもう1年も経つのに、私の中からあなたは消えない。

ベッドの上であなたをまといながら、涙を流し、じっとする。朝の光が窓から射し込み、光が私の髪を優しく撫でる中で、ただ静かに涙を流す。

もう私の手には戻らないあなたを思いながら、いつ、あなたを忘れられる日が来るのかを考える。

いつか忘れられる、夢でもいいから会いたいと枕の下に敷いたあなたの写真もいつかなくして眠れるはず。

そのいつかはいつだろう。もう1年も経つんだね。あなたは元気ですか?

517文字

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