涙にキスを

恋の終わりが見えている。

ほら、気付いてるでしょ。少しずつ終わっていくのを。

「泣かないで」

そう言いながらあなたの頬に伝う涙にキスをする。涙があなたの唇に届かないように。あなたが涙の味を知らなくていいように。

あなたは寂しげに笑って言った。

「君の涙には僕がキスすればいいのかな」

あなたが私の止まらない涙にキスをした。たくさんたくさんキスをした。

ごめんね、涙が止まらなくて。

だって、あふれてくるじゃない。あなたがこんなに好きだから。

ねぇ、

魂だけで生きていられたらいいのにね。何からも誰からも邪魔されない見えない世界で、あなたと私の魂が寄り添うなんて素敵じゃない。涙のない世界。あなただけを感じる世界。

ごめんね、愛しちゃって。