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あまいキス

クリスマスイブの今日、はじめてあなたの部屋に来た。

サンタさんの乗った白くて赤いクリスマスケーキをあなたが切り分けてくれた。せーのであまいケーキをひとくち口に入れて「おいしいね」って笑いあった。二人っきりはドキドキするけどとっても楽しいね。

あ、生クリームがあなたの口の端っこについてる。

どうしよう。教えてあげようかな。口にクリームついてるよって言ったほうがいいかな。でも言われるとちょっと恥ずかしいよね。楽しそうにお話するあなたに言うタイミングも迷っちゃう。ふたくちめを食べたらうまくとれるかもしれないし。

あなたがフォークでケーキをすくう。

「あ、そうだ、この前一緒に食べにいったお店を友達に教えてあげたんだけどさ・・・」

手をとめて話しだすあなた。あなたの話を聞きながらなんとなく視線が口元のクリームにいってしまう。言えないけど気になるよ。

ちょっと言葉を止めた瞬間に、あなたはふたくちめを口に入れた。クリームはきっと一緒に口のなかに入ると思ってたけど、あ、まだ残ったままだ。

うーん、言おうかな。気になるしなぁ。

よし、言おう。

そう思った瞬間に、あなたがスッと近づいて私にキスをした。突然の出来事にびっくりして目を開けたままキスされた。

あなたは優しい笑顔でこう言った。

「口にクリームついてたよ」

口にクリームつけてたなんて恥ずかしくて、頬をピンクに染めた私にあなたがもう一度ゆっくりと近づいてくる。今度はぎゅっと目を閉じた。

ドキドキが、いっぱいやってきた。


#短編小説 #掌編小説 #クリスマス #ケーキ #キス



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