わたしは、本気で母を殺したいと思ったことがある。 あのときのドロドロした漆黒に吸い込まれるような感覚は、 狂気そのものだった。 幸い、わたしはその狂気と正気の間で、 何とかギリギリのところでもちこたえた。 36歳のとき、わたしは大好きな彼と、温かな穏やかな幸せの中にいた。 婚活目的のマッチングアプリでの出会いということもあり、 お互い交際当初から結婚を意識し、2人でいろいろな話をし、 ときにはぶつかり、ときには慰め合い、そのたびに2人の絆を深めた。 そして、約半年後に結婚
はじめに。 なぜ、コラムを書こうかと思ったかというと、 「忘れてしまう」からだ。 あるとき、あんなに苦しくて、悲しくて、悩み苦しんだ家族のことも、 どんどん忘れていってしまうことに気づいた。 「忘れる」 それは、人間に本来備わった、最強の能力にして最弱の弱点だ。 「忘れる」ことができるが故、人はどんどんと新しい情報を処理できるし、新しい物事を次々と創造できる。 反対に、最弱のポイントとして、 「忘れてしまう」が故、同じ失敗や過ちを繰り返すことがある。 そして、忘れた