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2024年ウズベキスタン旅行情報 長距離鉄道編

ウズベキスタン旅行では、多くの人は3つの古代都市を観光目標にしていると思います。シルクロードの拠点にしてかつての世界の首都サマルカンド、西遊記にも出てくる中世最大の宗教都市ブハラ、そして古代の街並みがそのまま残る世界遺産都市ヒヴァ。ウズベキスタンの広大な国土の中でこれらを巡るための移動手段としては、事実上ふたつの選択肢しかありません。飛行機か鉄道か、です。

私の体感では、飛行機で一都市移動するのはだいたい一万円、鉄道だと2,000円です。そして飛行機は空港への移動や搭乗の手間があるので、超長距離移動でない限り、時間的には鉄道とそんなに変わりません。

というわけで鉄道おすすめなのですが、この国、鉄道で移動するにはちょっとしたコツと手間が必要です。本稿ではそのへんのことを備忘録として残しておきます。

きっぷはかならず事前に!

ウズベキスタンの鉄道は、基本的に混みます。ガラガラのスカスカということはまずありません。きっぷの当日券を買えると期待することはできません。きっぷは事前購入が鉄則です。

幸いなことに、二年前?からインターネットを通じて外国からもきっぷを予約購入することができるようになりました。ウズベキスタンの長距離鉄道は下のリンクにある国鉄だけなので、基本的にここから全て買うことになります。が…!


一筋縄ではいかない!!!

このサイト、まともに動かないのです。まずトップページにある「行き先、出発地、日付」で検索できるというフォームですが、これはただの飾りです。
ここには適当に打ち込んで次のページに行ってください。ちなみに、ただの飾りなのにここにちゃんとそれっぽいことを入れないと次へ進めません。適当にTashkent, Samarkand とでも入れると良いでしょう。

ただの飾りです。

次の青い画面からが本番です。ここには本当に行きたい場所と日付を入れてください。
入力できたら虫眼鏡ボタンを一回だけ押してください。
連打すると壊れます。また、一回押しても全く反応が無いように見えますが、最低でも1分は待ってください。どうやらウズベキスタン側のコンピューターで必死に検索をしているようなのです。


ここからが予約開始です。

うまくいくと、条件に該当する列車一覧がこのように表示されます。

成功画面です。

ここでお気づきかもしれませんが、このあたりからキリル文字(ロシア語とかに使われている文字)がちらほらと顔を出し始めます。言語選択をEnglishにしていてもおかまいなしです。
まあ、ここでは列車種別と車両番号ぐらいなのでまだ大丈夫なのですが、自慢の高速鉄道アフラシャブ号やその他の特急の名前までキリル文字なのはちょっと困ります。

また、駅名は基本的にキリル文字表記です。キリル文字が読めないと行き先がわかりません。なのに時々ラテン文字表記もあります。混乱必至です…

ちょっとだけキリル文字紹介を…
Афрасияб アフラシャブ号(ウズベキスタンで一番の高速鉄道)
Sharq シャルク号(2番目ぐらいの特急。これだけなぜかラテン文字)
скорый 急行列車(上記以外の特急)
пассажирский 旅客車両。おそらく鈍行。

次は駅名です。キリルとラテン、両方書いておきます。
Ташкеит Tashkent タシケント
самарканд Samarkand サマルカンド
Бухара Bukhara ブカラ、ブハラ
ХИВА Khiva ヒヴァ

さて、ここまで行けばあとは画面の案内に従って選んでいくだけです。
IDとパスワードを作ってログインしないときっぷは買えません。このIDとパスワードは後々にも必要となること請け合いなので、絶対に旅に持って行く手帳などにメモしておいてください。

クレジットカードの問題

支払いですが、外国のクレジットカードが使えるのは「Stripe」だけです。他はぜんぶウズベキスタン国内発行のカードです。
ところが、支払いの選択肢にこのStripeが出てこないことがよくあります。そのときはハズレです。また別の時間にチャレンジしてください。ちなみに、Stripeでの支払いはなぜかポンド建てです。

寝台列車の種類

タシケントからヒヴァまでは夜行15時間。どの都市から行くにしても、ヒヴァに行く場合はだいたい寝台列車を使うことになります。
ウズベキスタンの寝台は三種類。プラツカルト(Плацкартный)、クーペ(Купе)、CBです。

プラツカルト

プラツカルトは3等、クーペが2等、CBは1等と考えて大丈夫です。プラツカルトは通路から見えるオープンな寝台。クーペは二段ベッド二つの合計4人が入る、ドアが閉まる部屋。CBは二段じゃないベッドが二つある2人用の個室。

クーペ

私はコーカンド-タシケント間をプラツカルトで五時間、タシケントーヒヴァ間をクーペで15時間乗りました。どちらも治安の心配はぜんぜんありませんでした。安全な雰囲気です。なにせ乗降する駅には警官や軍人がたくさんいて、車内にも巡回の警察?の人がいますから。大金などの貴重品をやたらと人前に見せないとか荷物から目を離さないといった基本的な注意さえ怠らなければ怖い目には合わないと思います。現地の人はスマホとハンドバッグをむき出しで置きっぱなしでトイレに行ったりしてました。日本とウズベキスタン以外ではありえない無警戒っぷり……。

プラツカルトは開放的なので、いろんな人から話しかけられます。食べ物はまず確実に誰かしらに貰います。車内にはお湯の出る設備があり、みんなティーポットを準備しているので、お茶も振舞ってくれるでしょう。そして質問攻めにあいます、多分。私は各種ナンとサモサとチョコレート菓子とハルヴァ、お茶、その他…をいろんな人にもらいながら、ずっとスマホ翻訳で返事しっぱなしでした。

ウズベク語ちょっとだけ。ありがとうはrahmat(ラフマット)。右手を広げて胸に添える動作が、「心から」を意味する丁寧なあいさつです。日本の会釈やお辞儀に相当する、何にでも使える動作です。
次はだいたい「カレヤ?(韓国人か?)」か「シーナorチャイナ?(中国人か?)」と聞かれます。「ヤポーニャ(日本)」と答えましょう。ウズベク語で言うと「Yoq, Yaponiya-dan-man.」ヨーク(いいえ)、ヤポーニヤ(日本)ダン(から)マン(私は来た)です。

クーペはイギリス人旅行者とロシア人夫婦と同室でした。最初に少し話してからはずっと静かな時間です。同室しだいなんでしょうね。

食べ物、飲み物事情

まず、駅の売店に期待しすぎないことです。いつでも開いていて営業時間中はきっちり物を買うことができる日本の商店と違い、ここウズベキスタンの駅の店は、まず開いているかどうかは運次第です。そして開いていても、何を売っているかはこれまた運次第です。長距離移動の前には飲み物とナンか何かを用意しておくことをお勧めします。

タシケント駅。売店が2件あるが、時間によっては両方閉まっている。

車内販売も、ある時とない時がある…気がします。ある時は、一時間に一回ぐらい物売りのおじさんが通ります。全ての商品をカートにのせて、とかではなく、ナンならナン、サモサならサモサだけ持って売ってます。私が見た商品は、水ボトル、ナン、サモサ、お菓子、フルーツ(オレンジかザクロ?)でした。
タシケントからヒヴァは夜行列車だったので、夜の時間帯には物売りの人も来ませんでした。

ちなみに、お湯だけはいつでも手に入ります。どの車両にもでかい給湯器(サモワールと呼んでいいのかな?)が一つは置いてあります。だから最低限、喉がかわいてどうしようもない、という事態は避けられると思います。コップがあれば、ですが。
コップもなくどうしようもなかったら同室の現地の人に身振りで頼んでみてください。きっとこころよく貸してくれます。ウズベキスタンの、旅人を暖かく迎えてくれる姿勢には本当に助けられました。

希望のチケットが取れないときは

ウズベキスタンの鉄道は出発日の45日前から予約が可能になります。…と定められていますが、実際には30日前だったり24日前だったりします。要するに予約が始まる時期は適当です。
乗りたい便が「満席」となっていても諦めず、日を変えてチャレンジしましょう。

また、アフラシャブ号などの人気便は、搭乗の数日前や直前になって急に席が開くこともあります。これは現地の旅行会社が大量押さえしていたものが直前に解放されるからだとか、現地に向けての窓口での販売を優先しているからだ、等等の噂がありますが、真相はわかりません。とにかく何度もチャレンジしていたら、そのうちなぜかゲットできることがあります。ネバーギブアップです。


次の旅人さんのための備忘録です。なにか知りたい点がありましたらお尋ねください。
それでは、次はホテル編を書くつもりです。

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