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魔女っ娘ハルカ③(小説)

俺はいつも通り仕事を終え、手土産を持ちアパートへと帰る。

(ガチャ…)

「おかえり〜!」

「た、ただいま…」

ハルカが住み着いて数日。
いつも俺の仕事帰りを待ってくれている。

「今日はなに〜?」

「ゼリーとドラ焼き」

「わ〜やったー!」

俺を待ってるというより、甘いモノを待ってるのだが、帰ってきた時に誰かが迎えてくれるというのも悪くはない。

「う〜、美味ひぃ〜」

ハルカが食事をすると見た目は食べているように見えるのだが、実際は物自体は減ってないのだ。
最初に食べさせたおにぎりやお茶も、手つかずで残っていた。

「あ〜美味しかった〜」

でも、こうしてハルカが食べ終えたデザートを俺が食べてみると…

「味がしない…」

無味無臭となったドラ焼きが存在するのみとなる。

「そりゃそうよ、私が食べちゃったもの」

「本当に食べてるんだね」

「見てたでしょ。お供え物ってそうゆうものよ」

つまりだ、食事も二人分作るのが面倒なのでハルカに先に食べさせて、後で原形は残っているものを俺が食べると…
無機質なかたまりを食べることになる。

「ねぇ〜パスタ食べたい〜」

「え〜…ミートソースでいい?」

「クリーム系のがいいな〜」

「カルボナーラとか?」

「うん!それそれ!」

「じゃあ、ちょっと待ってて」

台所で鍋に湯を沸かす。
また二食分作るの面倒だな…

レトルトも一食分しかないし…
ハルカのは牛乳と塩だけでいいか。

「おい、呪うぞ」

肩越しに俺を睨みつけて、調理にクレームを出す前に呪おうとしてくるハルカ。

「はは…ちゃんと作りますよ」

レトルトに牛乳、バター、生クリーム、ベーコン、塩、ブラックペッパー、コンソメを足しソースを増やす。

「私、ホラー映画見て待ってるから早くね」

「はいはい」

幽霊がホラー映画見るってw
俺は毎日ホラーな状況だってのに…

「ワー!キャ~!怖い〜…」

オバケがオバケ見てワーキャー言ってる。

「はい、出来たよ〜」

「はーい。一緒に食べよ〜」

デロデロのゾンビを見ながら夕飯を食べる。

「ねぇ、そう言えばハルカっていくつなの?」

「こら、レディに歳を聞くものじゃないでしょ!」

「でも、年齢止まってるんでしょ?」

「まぁ…そうね」

「ずっとそのままなの?」

「たぶん…」

「じゃあ、可愛いままいられるんだね」

「………可愛い」

「俺よりもだいぶ若いでしょ?」

「30…」

「えっ?」

「三十路ですけどなにか?」

「うそ…見えない…」

「あっ、そ…そぉかな〜てへっ」

「てっきり二十代だと…」

「あはっ、まぁ〜メイクしてるってのもあるし〜若作りが成功してる感じかな〜」

「スゴイよね…本当に30には見えないよ」

「も〜褒めすぎ〜!」

「なんかね、最初会ったとき…君になら殺されてもいいかなって思ったんだ。美女に殺される俺ってのもいいかなって…」

「ん〜…また、そんなこと言って〜…」

「本当だよ」

「ねぇ…ヒロ」

「ん?」

「いつもご飯食べさせてくれてるから、お礼に良いことしてあげようか?」

「良いことですか……?」

「うん。食器片付けたらこっちに来て」

ハルカはテーブルを離れ、ソファーベットに腰掛けた。

良いこと…
なんだろう?

もしかして、あんな事やこんな事…
そんな事は久しくしてないので、相手が幽霊であっても少し期待をしてしまう。

「はい、おいで〜」

ハルカは俺をソファーに座らせ、俺の頭を自分の太ももへと誘導した。

「あっ…これ…」

「気持ちいい?膝枕」

良いことって膝枕のことなのね。
正直、もっと過激なことを想像してしまっていたが、これはこれで気持ち良い。

「毎日、お仕事お疲れさま〜いいコいいコ」

ヤバい…
癒やされる。

俺としたことが幽霊に身を預けて癒やされてしまっている。
ダメだ……気持ち良い…

「ん?なにこれ?」

俺があまりの気持ち良さに顔を股間に埋めると…

「いやだっ!…ちょっと、そこに顔持っていかないで〜」

何か突起物のような塊に顔が触れた。
感触は馴染みのあるモノ…もしや?

「もしかして…これ、チ◯コ?!」

「バカっ!…なんでそんなにハッキリ言うの!もう!ヒロのバカ!」

ハルカは真っ赤になった顔を手で覆う。

「いや…あの、その…ゴメン…」

「気づいてなかったの?私が男だって…」

「わからなかったよ…てっきり女の子だと」

「そうか…なら、しょうがないよね。私も言わなくてゴメン…」

「スゴイ…凄いよ!男なのに、こんなにも可愛くなれるなんて!」

「え、そぉかな〜…(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)。でも、もっと綺麗で可愛い人いっぱいいるよ〜」

「いや、君みたいな娘は見たことないよ!女の子でも君みたいに可愛い娘は滅多にいない!」

「またまた〜言い過ぎ〜!」

「本当に!ねぇ…もし良かったら今度デートしない?とりあえず、LINE交換して…」

「あっ…思い出した。お前いつもそうやって女を口説いてやりまくって…この野郎ー!」

ハルカに追われる俺。
傍から見たら、男が一人で走り回っているだけにすぎないだろう。

この娘、俺にしか見えないのかな?
そうだ、試してみよう。

俺はある作戦を思いついたのだった…

続く。。

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