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韓国と私⑧登山王国 韓国で人気の登山


韓国最高峰漢拏山1947m登山で見事に登頂・山の頂上で記念撮影するジンくん

0.noteはじめました こんばんは🌹8日めです

 実は、韓国という国は、登山王国だそう。週末などお休みの日に挑戦したいレジャーのアンケートを集計すると、決まって、映画鑑賞やカラオケなどを抑えて登山が堂々第1位に躍り出るほど、今や大人気の国民的なレジャーであるそうです。
 事実、最近では、兵役を無事転役したBTSのJINくんが、なんと転役わずか5日後に、韓国の最高峰、済州島にある漢拏山1947m登山に挑戦したことが記憶に新しいです。深い新緑を背に登り始めたジンくんの、さも嬉しそうな表情がすがすがしく、道中大変な登山を経て頂上に着いてからは、その絶景に思わず涙ぐみ、BTSのファンであるARMYの皆さんに、この風景を見せたかったんです、と、まるで少年のように清らかな笑顔で話していました。
 あのように険しい韓国最高峰の山に登ることは、なかなか難しいでしょうし、ARMYの中には、元々体力的に登山が難しかったり、そもそも韓国から遠い外国に住んでいて、訪韓することすら難しいARMYの方もいらっしゃると思い、あらためて、ジンくん自ら手持ちのカメラで撮影の、頂上から眼下に望む、素晴らしい景色を見せてくれたことは、感謝の念に堪えません。

1.韓国と私⑧ バンタンと登山

 ジンくんは、この登山に挑戦することを、「面白さ、というよりも、抱負のようなもの」と言及。ファンであるARMYへの感謝の想いが、辛い山道を黙々と耐える原動力になった、と告白しています。だからこそ、登山口から頂上にある石碑・白鹿潭に到着するまで4時間20分を要した登山が精神的な何かを得るためだった、と推測できます。登山の途中、疲れが出てくると、「あと山頂までどれくらいかな」「何でも出来ると思っていたけど、やっぱり大変だ」と弱音を吐くジンくんを見て、あれほど足が速くて運動神経が良くて身体の筋肉のつきかたもスレンダーながら筋力は麗しいように逞しく…という彼でも「特級戦士だったんだけどな…」とぼやくなど、相当に困難な試みなのだと実感しました。

登山途中でお疲れのご様子ジンくん

2.韓国と私⑧ 子どもたちの登山も盛ん

 そもそも、ジンくんは子どもの頃に、お父さんと登山をしたことがあり、今回の漢拏山1947m登山にも、さすが登山王国といわれる韓国、山道や山頂で親御さんに連れられたお子さんたちが多くいました。
 途中で少しバテてしまったジンくんに、おやつを分けてくれた子どもたちが、意外と幼いことに驚きます。私の個人的な印象ですが、日本では、あまり、登山というのは、一部の愛好家の方を除いて、それほどポピュラーなレジャーという気がしません。幼い子どもをハイキングへは連れて行っても、登山というのは、なんだか敷居が高いような気がします。その点、韓国は、女性や子どもの登山客も多く、日本では、頑強な男性の趣味とか、登山経験豊富な女性が多いような気がしますが、ジンくんが登山する道中の風景は、まるで街中の人々がすれ違うような光景でした。
 バンタンの登山は、今回のジンくんの漢拏山以外の登山では、PM2.5が飛んでコンディションが悪く残念ながらお蔵入りとなってしまったジンくんとジョングクが旧正月撮影企画で登った京畿道河南市にある黔丹山657mや、

京畿道河南市にある黔丹山657mに登頂したジンくんとジョングク

 RMの登山はソウルっ子に人気の道峰山740mをはじめ、釜山の金井山801m、ジンくんがお弁当を作ったあげた、RMとVの罰ゲームのための厳寒下の登山、ソウル特別市と九里市に跨る峨嵯山295m、などがありました。

ジンくんお手製のお弁当(トック入りの温かいスープ)を厳寒下の峨嵯山295m山頂で広げるRM&V


厳寒の中峨嵯山295m頂上のRMとVの背中

3.韓国と私⑧ 韓国ドラマ・韓国映画に描かれる登山


韓国ドラマ『智異山』(2021年)ポスター

 韓国へ行くと、観光でホテルに滞在中でも、「ねえ、週末登山に行かない?」と誘われることがあります。えっ、そんな、山へ登る装備もないし…と慌てて辞退しても、ソウル市内にも、気軽に地下鉄で行ける山が幾つかあるそうで、「すごく楽しいから」と強く勧められることがほとんどです。 
 ソウル特別市で有名なのが、北漢山(白雲台)836mで、ソウル市内で最高峰だそう。韓国ドラマ『愛の不時着』(2019年)でも、この北漢山に登って北朝鮮の方角を眺める場面が印象に残りました。前回から触れている韓国ドラマ『愛の挨拶』(1995年)でも、主人公の文学青年ヨンミンを演じるペ・ヨンジュン氏が、所属する文学研究会で女性メンバー同士の喧嘩が勃発し、それを沈静化させるために、皆で登山にでも行こうか、と二人の女性を誘って皆で出かける先が、この北漢山(白雲台)836mなのです。
 これはユン・ソクホ監督のオールロケで登山の様子が丁寧に描かれます。登り始めは樹林帯ですが、だんだんと岩がゴロゴロしている岩肌の登山道に変わり、途中にお寺や売店、展望台などがある風景が丁寧に撮影されています。ジンくんがARMYに見せてくれたように、このドラマでも、1994年撮影時の登山道から、一緒に登山の疑似体験をする感じ。
 そもそも、ヨンミンの書いた詩を、彼は天性の詩人よ、と評価する女性と正反対の意見の女性2人が対立するのですが、登山に一緒に参加したことで、2人は仲直りをします。これは、登山効果、とでも呼ぶのでしょうか。それまで仲違いし、非難の応酬で揉めていた女性2人が、山の頂上で、絶景を眺めつつ「山の上からだと世の中が違って見えるわね」と素直な気持ちになり、実は、対立を望んでいた訳ではなく「中でも特に親しくなりたかったのよ、あなたと。あなたは私と正反対だから」と心情を吐露する台詞が、その効果を物語っています。
 ぎくしゃくしていた文学研究会内も、彼女達の仲直りで和気あいあいとなり、持ってきたお弁当を広げる頃には、すっかり雰囲気がよくなります。そこで、持ってきた自作の詩を「今度は短い詩だから」と朗読しようとしたヨンミンに、そもそも彼の詩の披露がきっかけで女性2人が喧嘩になったことを思い出したメンバーの男性たちがうんざり顔で「今度は読ませないぞ」とからかう場面がユーモラスです。
 ヨンミンはじめメンバーの皆が登頂を果たした時は、オールロケならではの、頂上への斜度と眼下に広がる絶景が素晴らしく、ヨンミンを演じるペ・ヨンジュン氏をはじめとする俳優たちの表情がぱあっと明るくなり、屋外ロケの登山を果たした達成感と爽快感がスタジオ内の演技を超え、俳優ではなく一個人の、一人の人としての素の喜びの感情がダイレクトに伝わってきました。
 険悪な登山開始時とはうってかわり、下山する時はご機嫌な皆にヨンミンが笑顔で「今度は智異山に登ろうか」と誘います。智異山1915mといえば、ジンくんが登った漢拏山1947mに続く名峰。韓国ドラマ『智異山』(2021年)も韓国の国民が好む人気のレジャーである登山がテーマですし、BTSのジンくんが「Yours」を歌ったことでも、繋がりを感じます。

JIN(BTS)Yours

4.韓国と私⑧ 舞台装置としての登山 高い処から眺めると見方も変わる

 韓国ドラマ『愛の挨拶』では、主人公ヨンミンが、そもそも自分が書いた一篇の詩から始まった騒動から得た教訓として「喧嘩のきっかけは些細な事。喧嘩は時に仲を深くするもの。詩にもいろいろな詩があるように、人もいろいろだ」と、自分に言い聞かせるモノローグが教訓として残りました。この山で、若く未熟な若者たちがハプニングやアクシデントに遭い、ぎくしゃくしていた人間関係が解消したり、誤解から喧嘩をしていた友人や恋人たちの距離が縮まり逆に相互理解が深まる、という恰好の舞台装置として登山が使われます。山に登り高い処から眺めると人の見方が変わり、自分の考え方も変化し、その結果、人との関係も良い方に変わっていく、という効果。

映画『別れる決心(Decision to Leave)』(2022年)ポスター


 有名な作品では、『愛の挨拶』と同じユン・ソクホ監督の韓国ドラマ『冬のソナタ』(2002年)で高校生たちのグループが山へ行き、メンバーの中で道に迷ったふたりが、北極星、ポラリスの話で相互理解を深めますし、パク・チャヌク監督映画『別れる決心』(2022年)では、登山をしながら配信をしていた男が殺され、その妻である女が、登山の練習をひそかに積み、断崖の山登りを鍛錬する様子から、孔子の言葉「賢い者は水を好み、慈悲深い者は山を好む」が引用され、「山の男」「海の女」という名称が使われています。 (蛇足ですが、私の最愛ジンくんはこれまで「海」のイメージが強かったのですが、今般新たに「山」のイメージも追加され、本当に、一表現者として豊かな感性の持ち主である、と心から実感し、その外見的な美に甘えず内在する海と山への繊細な感情に接し、あらためて尊敬の念が深まりました。) 
 このように、映画『別れる決心』でも、韓国における登山の人気の高さが垣間見られ、登山が人気の高いレジャーであり、山へ登る装備も、登山王国らしく、多くの人が家に準備して所有している、という日常を想像することができます。普段から登山をしていないと、そんなにすぐに、ハイ登山行きましょう、とはなりませんから、山への装備をお持ちの方が多いお国柄は、やっぱり登山王国ですね。
 韓国ドラマや映画に描かれる山や登山をはじめ、BTSメンバーによる登山の風景を眺めていると、今度は、いつか、自分も登山に挑戦してみたくなるかもしれません。これまで、登山なんて無理、と思っていた方にも、もしかしたら、新しい扉を開かせてくれるかも。韓国産のコンテンツが気づかせてくれる、誰かの新たな趣味の一つになるかもしれない、それこそが「登山」の魅力なのです。(韓国と私⑨に続く)

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