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【介護職で苦労した大浴場担当】

今回は数ある介護施設で働いてきて
最も苦労した大浴場担当の経験を、ここに綴ります。

とある施設で
2ヶ月だけ派遣として行った頃の話です。




とある施設の
大浴場の入浴の形態

この施設での、大浴場とは
・寝たきりの方(=トロリー浴)
・寝たきりとまではいかないが、立ち上がり困難な方(=リフト浴)
・独歩、歩行器での移動が可能で、大人数での入浴が大丈夫な方。(銭湯式)

上記の方々が入浴される場所。
かっこ内のは、それぞれの方の入浴方法。

※ちなみに銭湯式とは、
浴室の中に数人程度入れる大きな浴槽があり、
そこに銭湯の様に入るため、わかりやすいようにつけた名称です。

午前は
①トロリー+リフトの場合:計5〜6名
(内訳例:トロリー4名、リフト2名)

②銭湯式の場合:7〜9人
(認知症の方、自立の方様々)

午後は午前やらなかった番号をやる。
これらを介護士2人で行う。

ちなみに、片付けやドライヤー、
入浴場から指定の場所までの移動も
全部入浴担当の仕事。
これは、確かにどの施設でも
割と似たようなものだと思う。

だけどこの、とある施設は違った。
何が違うか…それは環境だ。


環境がボロボロすぎる件

それはもう、入浴担当をイラつかせる天才とも言えるほどのものだった。

まずは【トロリー】から。
トロリーは、ベットのような台にお湯を溜めて入浴する台で、正式には「昇降式シャワートロリー」というらしい。

↓こんな感じのものです。

写真:Medical SARAYAから引用


だけど、昇降しないんだよなぁ…。
この施設のトロリーは。

何故か中途半端に高さが上がったままになってしまっていて、操作も効かない。

なので移乗介助が非常に大変。
車椅子の座面よりも高い位置なので、
トロリーに乗せるのが本当にきつい…。

しかもご利用者様が、身体が大きく重たい方が多いのでなおさらきつかった。


次は【リフト】
リフトはこんな感じのやつ↓

写真:株式会社北日本メディカルから引用


これがもはや、他の施設であり得る話なのか
かなり疑問である。相当驚いた…。

なんと、リフトのバッテリーの充電の仕方を
職員ほぼ全員知らなかったんだ。

これってあり得るのか…?

奇跡的に今まで、
誰か知っている人が充電していたのか、
バッテリー切れがなく使えていたため、
派遣である私は、正社員か業者がやっているものだと思っていた。

それが、他の派遣さんも正社員さんも
私と同じ気持ちだったことに気がついて
驚いた。
何より一番酷いのは、
リフトのバッテリーの充電の仕方を
誰もOJTの中で教わっていなかった。

長年いた正社員さんも、
派遣さんも把握していなかった。

そのため、バッテリー切れでリフトが使えなく
なった時は、対応するのにかなりの時間を要した。

ご利用者様にも、もちろん
大きな迷惑をかけてしまった。

バッテリー切れでは入浴ができないので、シャワー浴で対応をした。 
残念そうに、だけど「仕方ないか」と苦笑いで仰った姿が、今でも脳裏に焼き付いている。

本当に悔しさと申し訳なさがいっぱいで、
その日の帰りは入浴担当のペアの方と
愚痴りまくった。

「本当にありえない!」って。

確かに私たちも、
知ろうとしなかったのと、
誰か任せにしていたのは悪い。

だけど、なんだかモヤモヤした。

………………………………………………

さらに、ボロボロなのは
機械のことだけじゃない。

リフト用の浴槽のお湯も、厄介。 

突然、溜めている時にお湯が水に変わるから。

タイミングとか色々工夫はしても、
全く改善されないので
修理してほしいと上に頼んでいるけれど、
何も対応してくれず。

それなら、
「シャワー浴で対応したらいいのでは?」
と思うだろう。

だけど、この施設は、
これでも「高級有料老人ホーム」で、
施設的にに入浴への意欲が高く、
「どうしても入浴させて!」という感じだった。

さらに、利用者様がどうしても湯船に浸かりたいという希望があれば、できるだけ叶えて差し上げなければならない。

だから、こういうハプニングがあっても
とりあえず、
水温を1人に確かめてもらいつつ、
もう1人が、湯船を溜める機械のスイッチの電源を何度も入れたり切ったりして、水温を元に戻すか、最悪の場合はシャワーも使ってお湯を溜めたりする。

何としてもお湯を湯船にいれる。

……。

あ〜〜〜もう、本当に、辛い!!


以上…トロリーとリフト紹介でした。
ちなみに、大人数で入る浴槽は問題ないです。
それが当たり前なんですけど!


入浴をしてもらたいたい
気持ちはわかるけど。


この施設はご利用者様に
入浴してもらいたい意欲が、かなりある。

確かに、かなりの額のお金を支払ってもらっているから、気持ちよく、最高のサービスを提供したい気持ちはわかる。

私自身も、ご利用者様には
全身温まって、体を少しでも軽くさせて、
心までも気持ち良くして差し上げたいと思う。

だけど、それは土台ができてからの話。

土台となる環境ができてもいないのに、
「じゃあやってください」って
できるわけがない。

派遣で、もう更新も終了するから
施設に対して意見はしなかったけれど、

もっと「当たり前」のことに目を向けて、
改善してから、大きな目標を掲げてほしいと思う。

一番大事なところが抜けていて、
それに気がついていない。

あの施設に
いつか、そういうことに
気がつける日が来ることを願っている。

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