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ファンキーなお姉さんに助けられて

旅中楽しいこともあれば、嫌なことももちろんある。

小娘はアイルランド旅中に、人生で初めて差別を経験した。単一民族国家出身の小娘にとっては、刺激的な経験だった。その時の記憶を綴りたい。

アイルランドと言えばパブ。
私はその日1日ツアーから帰ってきて、夜ご飯のためのパブを探しにダブリンをプラプラしていた。

夕方の帰宅する人で街は溢れかえり、歩道はどこも人だらけ。人混みが苦手な小娘は、内心あちゃーと思いながら、周りの人の歩くペースに合わせながら、良い店がないかと歩き回っていた。

メインストリートらしき場所の歩道でさえも少し狭く、肩を窄めながら歩いていると、後ろから思い切り、ドンっと突き飛ばされた。

ふっと後ろを振り返ると汚いビニール袋を片手に持ったおじさんが、私に蹴りを入れたようだ。何かを私に向かって叫んでいる。

“GO BACK TO YOUR COUNTRY!!!!!! 
YOU DON’T BELONG HERE!!!!! 
THIS IS NOT WHERE YOU SHOULD BE!!!!!!!!”

びっくりである。
当時は2016年。国際化が進み、国を越えて人が行き交う世の中だ。そんな中、こんな言葉を投げかけられるとは思ってもみなかった。私が呆然と立ち尽くしていると、そのおじさんが向かってきて、汚い何が入っているのかわからないビニール袋を振り回しながら、私にぶつけてきた。

私はそれをモロに受け、思考停止したまま、ただ呆然と立ち尽くしていた。

その男性はそのまま通り過ぎ去っていった。
移民の影響で市民に鬱憤が溜まっていることも知っていたが、その捌け口にまさか自分がなるとは夢にも思っていなかった。そして何よりも悲しかった。

たった数日間、旅で滞在するだけの小娘でも、はじめての経験で結構ショックだった。これがもし、自分が移住してきたとかで、もう長いこと住む事が決まっていたら、本当に辛かっただろうなと思う。早くパブに行って美味しいビールとつまみをお腹に入れたいのに、足がなかなか動かない。

“Are you alright?”

ふと横から女性の優しい声が聞こえた。
振り向くとそこに立っていたのは、歌手のP!NKのようなゴリゴリのショートカットに、ピアスやタトゥーがバチバチに入った強面なお姉さんだった。

人を見た目で判断するのはよくないが、明らかに小娘とは違う人種のため、狼狽えてしまった。
また私は何か言われてしまうのかと…

すると彼女は続けてこう言った。
「怖かったでしょう。私にはあの男の言動が理解できないわ!気にしないでね。そして同じ国民があなたにした無礼をお許しください🙏🏻」

まさかそんな言葉をかけてもらえるだなんて思ってもいなかった。

本当に一瞬の出来事の中で、自分の気持ちが最低から最高まで揺れ動いたのはこれが初めてだった。

あのファンキーなお姉さんのおかげで、アイルランドを嫌いにならずに済んだし、むしろ良い思い出に早変わりした。

彼女の些細な行動に私の心は救われた。
本当にありがとう。と心から言いたい。

私もいつか同じような状況に遭遇した時に、あのお姉さんのような行動を取れるような、勇敢な女性になりたいと思うのだ。


写真はツアー中に訪れた有名観光地『cliffs of Moher』で撮影したもの🏞

私が参加したツアーはこちら💁🏻‍♀️

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