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君子は敬して失う無く、人と恭しくして礼有らば、四海の内、皆兄弟なり

四海兄弟の精神を引き継ぐ国、中国。
小娘は中国の知的で他人思いな一面が大好きで、尊敬の念を抱いている。

今回は、小娘が中国の上海と北京に2週間強、滞在した時の中国人の他人思いな一面を感じたエピソードについて綴りたい。

小娘の父は約6年程、中国の上海に単身赴任していたことがある。その事もあり、大学では自分の専攻とは別に、中国語を第二外国語として専攻し、結局大学在学中4年間学び続けた。

せっかく父が上海にいるのだ。今しかないと、父のいる上海に一人向かった。

そのうち10日間ぐらいを現地の語学学校に入れてもらい、中国語の勉強をした。父は仕事があるので、小娘は語学学校には毎日一人で地下鉄で通った。

その地下鉄内で、中国人の人間性をよく見られる出来事が2回ほどあった。

みんなの席はみんなの席、俺の席もみんなの席

地下鉄に乗車する時、席は争奪戦なのだ。それは日本も変わらない。ただ、激しさで言えば中国の方が勝っていたと思う。人を掻き分けながら進む様に、圧倒されたのをよく覚えている。ただ、日本と大きく違う点が一つある。

あんなにも厳しい争奪戦に打ち勝ったのにも関わらず、30秒後には他の人に席を譲るのである。

その呆気なさに、小娘は一体何が起きたのかと理解ができなかった。中国の方は、高齢者や子連れ、体調が悪そうな人を見つけると、すぐに席を立って譲るのである。例え、人を掻き分け得た席でもだ。日本みたいな、「どうぞ、座ってください」「あっ、いいです。大丈夫です」みたいなよそよそしい会話は全くなく、10秒でお互い合意を得て、すぐにテンポ良く変わるのである。こちらも見ていて、清々しい。

この光景は、滞在中何度も目の当たりにした。日本人にはない、中国人の周りへの思いやりを痛感した。

みんなで助け合う

ある時、子連れの夫婦が電車に乗ってきた。
子どもは小学校に入る前ぐらいの4.5歳の小さい子だったのだが、どうも様子がおかしい。体調が悪そうだ。

その時間帯の電車はとても空いていて、空いている席もポツポツあるぐらいだったのだが、突然その子が車内で戻してしまった。

ご夫婦が、ティッシュやらで後片付けをしていると、周りに座っている方々が一斉に

「俺のティッシュも使ってくれ!」「私のも!」とみんながどんどんティッシュを寄付していく。

日本であれば、その場を立ち上がり、背を向けてその車両から違う車両に移動する光景が目に見えるのだが、中国では違った。

そして一段落つき、ご夫婦が周りの方へお礼を伝えていると、周りのご婦人方が、「これ、もし良かったら、子どもに飲ませなさい。」と手持ちの薬を渡し始めた。そしてこれもまた、1人を皮切りに、周りの人が「私のも!」と渡していくのだった。

中国人のすごいところは、1人が誰かを助けると、つられて大多数の人が同じように助けるところだ。

日本なら、「あの人が助けてくれてるから、私はいいか」と遠慮なのか、一歩下がる傾向がある。
また日本人なら、そんなに同じモノをもらっても逆に迷惑だと言う人もいるだろう。

量が大切とは思わないが、
それでも私がご夫婦の立場だったら、そのご厚意がとても嬉しいし、子どもに話すときも、「あなたのためを思ってこんなにもたくさんの人が動いてくれたんだよ。良かったね。」と言うだろう。たくさんの人から声を掛けて貰えるだけで、ハプニングも一気に良い日に転じるだろう。

些細なことでも人のために動けるような人間になろうと思えた、貴重な経験だった。


写真は北京を訪れた際に見学し、撮影させてもらった、『四合院』と呼ばれる中国の昔ながらのお家の中庭である。
この四合院の構造と中国人の人間性に関係性があるのではと、個人的には思っている。残念なことに、北京オリンピック前の、大規模な地区整備や開拓によって、この四合院の残る町がだいぶ壊されてしまった。四合院についてはまたの機会に…

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