見出し画像

絶対にこれだけは負けない

今回は小娘が初めて海外に行った時のことについて綴りたい。

小娘が記憶に残っている中で初めて海外に行ったのは小学6年生の時だった。それも旅行でいったのではなく、遠征で行ったのである。

小娘は小学4年生から地域のスポーツ少年団のチームに所属して、バドミントンの練習に励んでいた。運良く、その入ったチームが全国的に名が通っており、素晴らしい指導者もいた。同級生たちは、全国大会の常連ばかりで、足元にも及ばない。そんな恵まれた環境だったからか、小娘は周りの上手な選手の真似をすることで、あっという間に成長した。

そういったこともあり、一生懸命練習をしていたことが功を奏し、お呼びがかかった。埼玉県の小学生や中学生を募って、バドミントン強豪国である中国へ遠征し、中国の選手と練習や試合をするというものだった。本来、小娘の力はそこまでに及ばず、普通ならお声なんてかからないのだが、その年は中国遠征希望者が少なく、小娘まで話が回ってきたのだった。

せっかくのチャンスだ。
無駄にしてはいけない。実は友達の家族と北海道にスキーをしに行く約束をしていたのだが、それをお断りして、急遽参加させてもらうことが決定した。両親と友達家族には本当に感謝しきれない。

小娘が今回訪れたのは、中国の福建省の厦門という地域である。小娘たちが交流をする中国の選手たちが所属するチームは、当時何人ものオリンピック選手を輩出している有名チームだった。

練習試合をしたのだが、全然刃が立たない。滞在中に行った練習試合で、小娘が勝つことは一回もなかった。

私たちは練習試合の他に、強豪中国でどのような練習が行われているのか、それを偵察することもミッションの一つだった。朝練習から始まり、午前練習、午後練習と彼らの練習に密着だった。

アップでは、手繋ぎ鬼をしたり、チャイナステップをしたり、中国語で数えながら体操もした。

正直な話、羽を打つ練習メニューの記憶は皆無に等しく、覚えているのは選手との試合の記憶だけだ。なぜなら、けちょんけちょんに負かされたからだ。試合でボロボロだった小娘は、なんとしてでも彼らを負かせられることはないだろうかと必死に考えた。

そしてあったのだ。
彼らと同等に戦える方法が一つだけ。

それは走り込みだった。
陸上競技場のようなトラックがあり、そこで練習前のアップを兼ねて走り込みをした。だいたい1回につき、4~5Kmくらいは走っていたのではないだろうか。

小娘は普段の少年団の練習でも走り込みはしていたので、免疫はあった。合図と共に、中国人選手の女子たちと、日本人の我々女子で競い合った。

出だしは、中国人の圧倒的なリードで始まる。こんなペースで最後まで走り抜けられるのか?そんな不安や疑問が自分の頭をぐるぐると回る。バドミントンでも負けるし、ここでも負けてしまうのか?そんなのは嫌だと、必死に中国人選手たちの背中を追いかけた。

残りあと半分というところで、彼らのスピードが落ち始め、彼らと小娘の距離がだんだんと縮まっていく。ここからだ!という思いで、小娘はスピードを上げていく。

残りあと1周という終わりが見えたところで、ラストスパートに入った。今まで溜めていた力をここで最大限に振り絞り、今までのスピードよりも更に速くなる。

加速していく自分の身体が、どんどん軽くなっていくような感覚になり、これは勝てる!と思った時には、中国人選手を抜いていた。そして半周以上の差をつけて1位でフィニッシュした。

バドミントンでは全く刃が立たなかった。でもそれに甘んじて、全ての練習において、彼らと戦おうとしなかったら、私が中国まで来た意味はない。そして、一生勝つことへのこだわりを持つことはできなかった。また、諦めずに向き合うことの大切さに気づくことはできなかっただろう。

小娘にとって、この走り込みの勝利は大きな意味となった。

他の人からしたら、
「ただの走り込みではないか。」
「バドミントンと何の関係があるんだ。」
と思うかもしれない。

確かにバドミントンとは何も関係はないかもしれない。

しかし「意味がない。」「関係ない。」
と言って、戦うことから逃げることはとても簡単ではないか。その『逃げ』から得られることは、『なんとなくこなすこと』だけなのである。『一生懸命取り組んだことによる達成感』は1ミリも得られないのだ。

そう考えると、一生懸命取り組むことの大変さ、そしてそれを乗り越えた時の素晴らしさを感じられる方が、豊かな人生を送られると思ったのだ。

それから、私は思うのです。
人生、意味のないことなんて何もない。
今経験していることは、どこかしらで自分の道標となってくれ、自分を強くさせてくれる。

今何かに熱中できない人、頑張ろうと思えるものがない人に伝えたい。

目標を持って努力することって、案外悪くない。振り返った時に、いい思い出に変わります。

みなさんの絶対にこれだけは負けないエピソードはなんですか?


写真は父を訪ねに上海を訪れたときに撮った外灘からの景色📷

他の中国を訪れたときのエピソードはこちらから💁🏻‍♀️

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?