夏野菜カレーの日

「あ、ここの柱は打ちっぱなしの感じを活かしたいので、あえてそのままにしてます。」

来月の最終週にオープンするカフェバーのデザイン。今日はこの打ち合わせが終わったら、仕事終わりだからこの足でココちゃんを迎えに行こう。

オレは北区にある店舗デザインの会社で働いてる。
職業は空間デザイナー…になるのかな。内装や全体の照明、インテリアのコーディネートまでをまとめてプロデュースする感じ。
オーナーの意思を尊重したいから、こちらからの提案は最低限に抑えてるけど、今回の店内の真ん中のジャマな柱は、腕の見せ所だからこちらからアイディア出させてもらったよ。

ココちゃんの保育園はこの現場から電車で15分くらいの場所にある。今からなら17時半にはお迎え行けるな。
ココちゃん、今日は何食べたいかなぁ。オレ的には暑い夏を乗りきれるようなスタミナ料理を食べたいけどね。

保育園について、先生から今日の様子を聞いて支度も終わった帰り道。
今日も元気に走り回ってたみたい。
｢ココちゃん、今日はどんな日やったん？｣
｢やさいおいしかった！｣

さっきの先生の話でも、今日は保育園の農園で育てた野菜を採って食べたんやって。
｢きゅうりたべた！おうちでもやさいたべたい！｣
なるほど。野菜を食べてるカッコいい姿を披露したいわけだな。^_^
｢じゃあさ、カレーにしよっか！｣
｢やったー！にんじんあるん？｣
早くも人参に怖じ気づいてるらしい。今日は誇らしげに食べてほしいし、人参はまたの機会にしよう。

｢今日のカレーには人参入ってないよー！｣
スーパーでカレーの固形ルーの子供用甘口を購入。
ちなみにルーを作った後に、大人用と子ども用に分ける。大人用には後からカレー粉、カイエンペッパー、ガラムマサラ、ニンニク、ショウガ、クミンを入れて大人っぽくアレンジするよ。

ココちゃんが楽しく野菜を食べるとこを見たいし、今日はド派手に夏野菜カレーにしよう。ルーで使う玉ねぎと鶏モモ肉の他に、ズッキーニ、カボチャ、パプリカを買って、おうちに帰って早速支度しよう。

「たーだいまー」
ココちゃんは自分で靴も脱げるようになったね。小さな靴を靴箱に入れて…かわいいなぁ。
一緒に手を洗って、うがいをすませた後、ココちゃんはちょっとソファで待っててね。
今の時間は、えーっと18時5分。
カカさんはが帰ってくるまでに30分ほどある。まず米を洗って、時間ないから早炊き。米の洗い方は、初めだけ浄水。その後は軽くかき混ぜて、その後水の濁りがなくなるまで水を替えて、最後に浄水を目盛りまで入れて…っと。

鶏肉をココちゃんが食べられるように小さく切って、軽くフライパンで焼く。玉ねぎ、じゃがいもを洗って、人参…は入れない約束だから、今日のルーの野菜はこれだけ。
たまねぎに丁寧に火を入れて飴色にしたいところやけど、時間がないのでそのまま鍋に入れてしまおう。切った野菜と鶏肉を沸騰するまで茹でる。
コンソメ入れる？いや、ココちゃんに味が濃かったら嫌やから、やめとこっか。沸騰したら、火を止めて固形ルーを入れて、弱火で。

夏野菜のなす、ズッキーニ、かぼちゃ、オクラ。

ココちゃんの野菜は薄く小さめに切って、レンチンしよう。時間があったら素揚げしたいなぁ。素揚げしたらカカさん喜んでビール飲むだろうなぁ。

時間は？18時16分か。ん～。よし。やるか。

本格的に揚げると油がもったいないから、揚げ焼きで。野菜は火が通りやすいように薄く切って、かぼちゃだけレンチンしてから揚げよう。

え？もう28分？カカさん帰ってくるやん。大人用のルーを完成させないと！いや、ココちゃんの分だけ小鍋に分けて、この鍋ごと大人用にしてしまおう。
あー、本当はスパイスに火を入れてから、作りたいけど時間がない。また休日に作って、カカさんを喜ばそう。
スパイス達を入れて、味見。うん。急ごしらえにしては本格っぽい。そろそろお米も炊けるね。ココちゃんはソファの上でごきげんにしてる。もうすぐカカさんも帰ってくるかな。

ガチャ。
「ただいまー！」
「おー！おかえりー！」

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カカさんから見たお話はこちらから

kakasan／小説ココちゃんとトトとカカ｜note