流産-嘘つきになりたくない-
久しぶりに開いた短編小説。
数ある中の1つ。
奥さんを亡くした人が書類に「配偶者の有無」で無と書くことにためらうシーンがあり、共感。
最近、「お子さんはまだですか?」の質問に躊躇う私。
「はい」と言えば嘘になる。私には最愛の息子がいるから。
「いいえ」と言えば正直でいられる。ただ流産という言葉を発しなくてはならず、悲しみが押し寄せ。そして、相手に気を遣わせてしまうのも事実。
きっと、流産した方は、「お子さんはまだですか?」の質問に「はい」と答えた方が多いのかもしれない。
それは相手に気を遣わせたくない優しさであり、気を遣われたくないという葛藤からくる答え。
だから、50人に1人は流産を経験しているのに…そのことへの理解や配慮が少ないのだと思う。
実際、自分が流産したことを告げると…友人、友人の友人、同僚、先輩、担当の美容師さん、元上司…身の回りでもたくさんの方が流産を経験していた。
知らなかった…
私も知らず知らずのうちに、傷つけてしまったことや気を遣わせたことがなかっただろうか。
嘘も方便というけれど…
嘘つきにはなりたくない…
ただ気を遣わせるのも、気を遣われるのも嫌。
今日も答えの出ない悩みにぐるぐるしながら…
やはり息子がいることを。
あなたの命を一瞬足りともなかったことにしたくないから…
強い心を持って。
相手に気を遣わせないよう最大限の笑顔で。
次こそは「いるんですけど天国にいます」と正直に答えよう。
どんなに相手に気を遣わせることになったとしても、息子を一瞬でもなかったことにして傷つける方が嫌だから。
息子に嫌われたくない…
ただその一心で…
正直者になりたい。
糸-ito-
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