見出し画像

二つの自分を切り替える、次元を変えた発想をする『ゴルディアスの結び目』


私たちが現実に向きあう時の
理想的な状態は、
常に悲観的でも楽観的でもなく、
淡々と現実だけを見つめて
対処していく、
バイアスのかかっていない
『ニュートラルな状態』です。


しかし、
個人個人でどちらかといえば、
楽観的な気質、悲観的な気質
というのはやはりある、


たとえば、
これは経営者「稲盛和夫」氏が
おっしゃっていたことですが、
何か事を進めていくときに、
最初は楽観的な気質の人と
一緒に仕事をする、
そうすると
どんどんアイディアがわいて、
やろうやろうという気分になる、


そして
いざそれを実行しようという
段になると、
悲観的な気質の人とチームを組む。
そうすると事において慎重になる
というものです。


これは非常に面白い考え方だと
思うのですね、
最初からあまりにも現実的に
無理だと言うばかりだと
発想が小さくなってしまいますし、
だからといって
ずっと楽観的なままでも実現しない、
両方ないとダメだというのです。


これは一人の人間のなかでも
言えることだと思います。
楽観主義的な自分と
悲観主義的な自分を両方持って
そのバランスを考えていく、
自分の気質と相談しながら、
自分に欠けがちな方をフォローして
いくとうまくいくことが多いです。


一方、ものを考える、判断する
というときの武器になるものとして、
「直感」というものがあります。
論理的にいえばどうなるか
わからないけれども、
パッと見て、パッとこう思った、
その「思いつき」や「感覚」は
意外と正しいことがある、
分析力と対になるこの直感力を
磨くことも考え方の一つです。


現代においてもっとも必要な
アイディアを生む力は、
直感力に支えられています。
教科書に書かれていることを
暗記する型の教育だと、
数学的な、歴史的な、あるいは
文学的な直感力というものは
なかなか磨かれていきません。


ゆっくり考えればいい答えが
出るはずだと
私たちは思いがちですが、
実はそうでもなくて、
実際に一流の経営者には
判断の速い人が多いです。


何か事が生じても
「じゃあこれはあなたに任そう」
とすぐ決める。
もちろん経験の中で
磨かれ抜いてきたからこその
速さではあるのですが、
限られた時間でやりなさいと
追い込まれることで
直感力が働きだして、
しかもその方が
本質をはずさないというのは、
誰にでもあることだと思います。


直感力とは言い換えれば、
何か「次元の違う発想」とも
言えると思います。


たとえば、わずか10年で
地中海からインドに至る
広大な帝国を築いた
マケドニアの
「アレキサンドロス大王」
にまつわる伝説として、
「ゴルディアスの結び目」と
言われるエピソードがあります。
「ゴルディアスの結び目」とは、
大胆な行動によってのみ
解決可能な問題のこと、
もしくは、
そうした問題を解決する方法を
意味しています。


現在の
トルコの首都アンカラの西部に
かつて存在した
フリギア王国の都『ゴルディオン』、
ここに、都を築いた王の
「ゴルディアス」が結んだという
複雑な縄の結び目がありました。


当時、権力争いが激化しすぎて
世継ぎが亡くなってしまった
フリギア王国で、とある臣下が
テルメソッスの神サバジオスに
「次期国王はいつ現れるのでしょうか」
と信託を仰ぎました。


すると
「牛車に乗ってやってくる
男が王になる」との神託が下ります。
そこに牛車で神殿に入ってきたのが、
貧しい農民の”ゴルディアス”でした。
信じがたいご神託ではありましたが、
”ゴルディアス”の牛車に
神の使いの鷲が止まっていたため、
そこにいた占い師の女が
「この者こそがフリギアの国王だ」
と叫びます。


ご神託通り、
王となった”ゴルディアス”は、
神の預言に感謝を示すため、
乗ってきた牛車を神サバジオスに
捧げます。
そのとき、
ミズキの樹脂でできた丈夫な紐で、
それまでに誰も見たことがないくらいに
しっかりと牛車を柱に結びつけた
と伝えられています。
この結び目こそが、
『ゴルディアスの結び目』です。


アレキサンドロス大王は、
紀元前333年に彼の軍隊を
現代のトルコのフリュギアの首都
ゴルディオンに進軍させました。
街に到着すると、
古代のゴルディアスの牛車に遭遇し、
端が隠された複雑な結び目によって、
くびき(牛馬の頸の後ろにかける横木)
に固定されていました。
紐の両端が確認できないほど複雑に
結ばれていたと伝えられています。


あるローマの歴史家は、
いくつかの結び目が非常に緊密に
絡み合っていたため、
どのようにくびきが固定されて
いるかを理解できなかったと
述べていますが、
オラクルには、
「その精巧な結び目を解くことが
できる人は誰でも、アジア全体の
支配者になる運命にある」
と記されていました。


アレキサンドロス大王は、
即座に『ゴルディアスの結び目』
を解こうとしますが、
上手くいきません。
さまざまな人が結び目を解くことに
挑戦しましたが、誰一人として
その結び目を解くことは
できませんでした。


そしてその後数百年、
誰も解くことのできなかった
この結び目を、ある日現れた
アレキサンドロス大王が、なんと
「バン」と剣で切ってしまうのです。
彼はロープの結び目から離れると、
「どのように結び目が緩められても
違いはない」と宣言すると、
剣を抜き、結び目を半分に
一刀両断したのでした。


これは
「剣で切るなら誰でも切れるものを」
となるわけですが、
そのような発想で問題の次元を変えて
解決していくことができる者こそ、
王になるということですね。


つまり、
誰も思いつかなかった大胆な方法
でなければ解決できない
困難な問題のたとえ。


直感的にそれまでとは違う切り口、
違う次元で考える、
たとえば、
”言葉で問われたことに”、
”動作で答えるような”イメージです、
そういう一種の機智、機転をきかせて
瞬時に行動できること、
こういう行動力も含んだものが
本来の直感力だと思っています。


『ゴルディアスの結び目』のように
無理な課題を背負ったときに
「ダメだ、もう思いつかない」
と投げ出したり、そう思うのは
誰でも当たり前のこと、
けれど、スピードが要求される
現代において「直感」は大きな力に
なってくれます。

左手に直感思考、右手に論理的思考、
直感力と分析力の両方を携えていると
ものごとの本質をいわば、
両手でつかむことができるのですね。
直感でつかんだものを、
分析で裏から検証すると、
判断に間違いが少なくなると思います。


直感力を身につけるというのは、
「持っていないものを身につける」
ということではなく、
すでにあるものを伸ばしていく
ということになる、


一つ注意しておくと、
直感力というと何もないゼロ地点から
パッと正解が思い浮かぶような
イメージがありますが、
必ずしもそうではありません。


「羽生善治永世名人」は、
次の一手をまず直感的に思い浮かべ、
それで本当にいいかどうか、
検証・分析するために
持ち時間を使うそうですが、
将棋のことをまったく知らない人は
そもそも直感の働きようがありませんから、


経験を積んで見る目を養って
いくことで、判断のスピードも
上がってくるそうです。
そう考えると、経験不足の場合、
あまりに直感に頼るということは
危険なこともあるとわかるでしょう。


人生経験を増やして、
いろんな人と出会い、
本を読み、多様な考え方を知る、
当たり前のことですが、
それが正しい直感力を鍛えることにも
つながっていくことになると
思っています。


あなたをいつでも応援しています。
ありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?