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どの科目が一番おもしろい勉強か (5)

興味を持つきっかけ

勉強に関心、興味を持つきっかけを考えてみたいと思います。
勉強を始めるきっかけは、学校の試験で点数を取らないといけない、大学受験に合格したい、などあると思います。但し、何かをすることと、何かに興味を持つことは違うと思います。何かを始める契機と興味を持ち始める契機も分けて考えた方が良いでしょう。
勉強を始めてから、その科目に興味を持つ契機は人によってさまざまでしょうし、その契機が全く訪れない人も多いでしょう。
前回書いたように将来社会に出てから役に立ちそうだからと、語学に興味が出てくることもあるでしょう。また、おもしろい小説を読んで、その作家やそういう作家が生まれた背景を知りたいと思うことも。また、人によっては、微積分の概念を学んで目から鱗が落ち、数学の深い世界に興味を持ち始めることもあるかもしれません。
今回、興味を持つ契機として、考えてみたいのが歴史という科目です。歴史というとみなさん、どんなイメージを持つでしょうか。やはり膨大な情報量を暗記する科目と思う人が多いのではないでしょうか。年号、人名、地域、出来事などを、網羅的に覚えていかなければいけません。実際、歴史科目が得意な人は記憶力に優れている人が多いようにも思います。ですが、そういう人たちが、歴史に興味を持っているかというと、それはまた別な話かもしれません。歴史という科目が得意というのと、歴史に興味を持っておもしろいと思うのは違うかと思います。
話は変わりますが、年を重ね、時間とお金に余裕が出てくると、海外旅行に出かける方もいらっしゃいますが、特にヨーロッパはずっと人気のようです。それは、ヨーロッパにはさまざまな歴史、文化があり、また世界遺産なども多くあるからでしょう。もちろん、アメリカ、アジア、オセアニアなど他のエリアにも各々の歴史、文化があると思いますが、特に日本人にとっては、西洋文化を取り入れて来た経緯も含めて憧れのようなものも強いのでしょう。そして、実際にパリに行って凱旋門を見たりルーブル美術館に行ったりすると、フランスの歴史について知ってみたいという気持ちになり、大人になってからカルチャースクールに通ったり、読書会のようなものに参加したりということもあるかと思います。
人間は、やはり実際に身近に接したものに興味を持つでしょう。歴史は人の行為の積み重ねを学ぶものだと思います。自分の祖先の家系については一度知ってみたいという気持ちはあっても、山の手線のラッシュアワー時にたまたま目の前に立っていたネイビーのスーツ姿のサラリーマンの生い立ちを知りたいと思うでしょうか。事前に車内でサラリーマンが締めていたネクタイ柄を可能な限り記憶しなさい、という課題が与えられていたら、その銀とブルーのストライプ柄は一生懸命記憶したかもしれませんが、その人がどんな表情をしていたか、などは蚊帳の外でしょう。
大学に入るまでの歴史は、多くの人にとって乗客のネクタイ柄を覚えさせられるような、記憶ゲームと化している嫌いがあるように思います。そうならないように教育現場や大学入試でも論述を重視するなど工夫はあると思いますが、興味を持つ契機を与えることには直接的にはつながらないと思います。
また、歴史は人の営みなので、きれいごとでは済まない部分があるかと思います。大河ドラマで描かれるところだけを見ても、どろどろした人間関係、陰謀術中、男女の関係なども含めて、直列的な文章では描けない世界があることがわかります。年代が経ているので歴史の中の出来事は何か聖域化されているイメージがありますが、我々と同じ人の営み以外ではないのですから。学校では、教育的な制約もあり、歴史は表面的な出来事を追うことになってしまうかと思います。池の奥底にはナマズが潜み、中程ではピラニアがうようよしているにもかかわらず、水面でミズスマシが円を広げているところだけ描く、そんなことになっているのではないでしょうか。
歴史自体は興味深い内容を持った科目だと思いますが、興味を持つタイミングというのは、他の科目と比較すると遅くなるように思います。
興味を持てる時期には、科目によって差分があるだろう、ということを歴史という科目を中心に考えてみました。
今回はこの辺までで。

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