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未来へのバトン

 「私、学校の先生になりたいんです」ある日何気ない会話の中でこんな事を言った子がいました。今、学校がメディアで報道される時、ネガティブな内容が圧倒的に多い状況です。私は教師の仕事が好きで長年続けているので、そういう報道が増えることが残念ですし、子どもが教師を目指してくれることはとても嬉しく思います。
 「目標をもち諦めずに続けること。それがどれだけ難しいか。」前号で、こんな話をさせていただきました。私が教師になりたての頃は、目の前の無数のタスクにがむしゃらに取り組んでいました。先輩教員に授業の進め方や、学校行事の作り方など様々な事を教わりました。若い頃の私は一人前になることが目標でした。ある程度、経験を積んだときに、新たな目標が芽生えました。「学校を楽しい場所にしたい」という目標です。
 一人前になることが目標だったとき、やるべきことは明確でした。できないことをできるようにすることと、わからないことをわかるようにすることです。「学校を楽しい場所にする」という目標設定をした時、何をしたらいいのかわかりませんでした。「これでいいのか?」と自分自身に問う事が増えました。迷いの中で仕事をすることも増えました。「学校を楽しい場所にする」という自分の想いと現実のはざまで苦しむことが増えました。目標を捨て、何も考えずに目の前のタスクをクリアしていくことに集中しようと思ったこともありました。
 私たち大人は親、社会人など様々な立場で社会を形成する一員です。どういう社会を築き子供たちにバトンを渡すのか。一人一人ができることは微々たるものです。でも、一人一人がそれぞれの場所や立場で当事者意識をもつことでしか未来へのバトンを繋ぐことはできないのも事実です。学校という社会の中で、楽しい学校にするという当事者意識をもつ子供たちを育てていきたいと思います。

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