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60歳からの飲食業開業記録(その1)

【はじめに】

神戸は三ノ宮の東門にあるミュージック バー「Acoustic Cabin 隠れ谷(かくれだに)」のマスターです。

今年の3月3日で6周年になりました。

サラリーマンを終えた60歳から飲食業を始めました。

今はママ(嫁さん)と、あと週に2〜3日手伝いに来てもらっている“じょにー”とで、お店をやっています。

今でこそ3人ですが、最初の頃はひとりで店に出ていることが多かったです。

なんせお客さんが少なかったからね。

開業にあたっては、嫁さんに退職記念に夫婦で世界旅行に行ったと思って欲しいと、開業と運営資金に300万円をお願いしました。

どこまで持つかわからないけど、300万が底をついたら廃業しようと考えていました。

いちおう退職前から事業計画書をじっくりと考えて作ったものの、今から見返せば笑ってしまう様な内容です。

ここでは、まるでシロウトだった私の飲食業開業から現在までの経験を述べたいと思います。


【なぜミュージックバーを始めたのか】

学生時代に「ブルーグラス」というジャンルの音楽に出会い、5弦バンジョーという楽器を始めました。
卒業して就職してもバンドは細々と続けて、バンドメンバーは変わったものの35歳ぐらいまで弾いていました。
40歳を過ぎてからはギターを弾いてバンドで歌を歌うようになっていました。

そんな頃、会社が購読していた雑誌の中に「週刊ダイヤモンド」を見つけ、手に取って見てみると「40歳から考える定年後」と言う特集でした。
当時はまだ60歳定年は当たり前、ややもすれば世の中は退職金を上積みした早期退職を勧めるような風潮でしたので、気になって読みふけった記憶があります。


その後、退職後のこと、ひょっとしたら早期退職もあるかも、とか考えるようになり、ある意味で自由になれる退職後には、やりたいことをやろうと思うようになりました。

しかし、やりたいことと言っても、お金も入ってきて好きな仕事など、そうそう思いつきません。

そこで、過去からずーっと無意識に(好きだから)続けていることは何なのか?と考えたら、楽器を弾いて歌を歌っていることぐらいかな、と思い至りました。

でも年食ってから音楽で食べていくなんぞ、誰が考えても無理な話です。

音楽に囲まれて、楽器を弾けて、歌を歌えて、お酒が飲めて、仲間が集まれて。

ところが、たまたま45歳から東京に単身赴任していたころ、お店にギターが置いてあってお客さんがステージで弾いて歌えるバーを見つけて通ってたんですね。

あぁ、アレやん。あの”音楽バー”しか無いゾ。

ということになったワケです。


【退職前に作った事業計画について】

会社の仕事も50代半ばを過ぎると、役職も自然と重いものから外れていき(要は窓際近くになっていき)、仕事の合間にパソコンで退職後の事業計画を考えるのが楽しくなっていきました。
今ならパソコン内のファイルは会社の監視対象なんでしょうが、当時は個人ファイルのデータなど誰も見ないのが当たり前でしたから、いつでも画面に呼び出して事業計画書を加筆修正していました。
修正するたびに日付けを変えていましたから、最初に作ったものからは何十回と書き直したと思います。

店名はどうする、メニューはどうする、価格は、場所は、席数は、集客は、何人来たらいくらの売り上げ、固定費は、家賃相場は、などなど。

画面に呼び出しては書き直し、空想してはまた書き直し。

その頃の仕事がいちばん楽しかったなぁ(それ仕事してないし…)


(その2に続く)

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