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銀座の思い出・上京編2

昼間の仕事が終わって、バイト先に向かう。

夜の世界に入り込む事に何のためらいも感

じていなかった。

お金が欲しかったので、稼げばいいじゃな

いかと。

シンプルである。

今でこそ、いろんな副業がネットで稼げる

時代に変わってきたが、あの頃はそんな便

利なモノはなかった。

あるのは若さと時間だけである。

大学に行っていれば、もっと割のいいバイ

ト先も紹介してもらえただろうが、自分に

はそんな伝手もなかった。

もっぱら、ウェイターの仕事はお客さんが

来たら、カウンターへ案内しボトルを入れ

ている常連さんにはまず、メニューを確認

してから氷と水をセッティングする。

有楽町の高速下に店があったせいもあり車

の振動と店で音楽もかかっていたから結構

うるさかった。

注文の確認に手間取ることが度々あった。

昭和30年代にオープンした店なのでカウン

ターの作りが独特でもあった。

ひょうたんをイメージした木製の作りで奥

行30メートル近い大きさを誇っていた。

周りにボックス席があって4人掛けで、窓

側と内側に5つずつの配置と記憶する。

それからホールがあって、ステージも用意

され生バンドなんか入って19時から21時ま

で演奏していた。

クリスマスの頃にとんねるずもゲストで来

ていた。

まさか目の前に本人がいるなんて、お客さ

んの注文を忘れるほど見入っていた。

銀座の中でも老舗と言われる店なので、俳

優やタレントと言われる人たちもお客さん

に結構多かった。

水商売が性に合っていると感じていた。

お客さんに顔を覚えられてくると、チップ

や映画の招待券などもらえるようになって

くると時給も650円から700円にあげてもらった。

当時はボトルキープ1本で50円のマージンが

もらえた。

グラスがテーブルにあふれている席のお客

さんには料理の注文を聞きながら空のボト

ルを下げてニューボトルも勧めていた。

当時、一気飲みが流行っていたせいか、よ

く代わりに一杯飲んでと言われごちそうに

なっていた。

最後は酔っぱらいながらもテーブルの後片

付けをしていた。

ホントあの頃は、バイトしながら、タダ酒を

飲ませてもらっていた。

とにかくありがとうございます。