エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」
吉田満梨さんと中村龍太さんの共著『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』について、書評をお届けします。
この本は、世界的経営学者であるサラス・サラスバシー教授が提唱した、優れた起業家の思考法「エフェクチュエーション」についての日本初の入門書です。エフェクチュエーションとは、不確実性の高い状況下で、自分が持っている手段やパートナーのコミットメントを活用して、市場や価値を創造していくという行動様式です。この本では、エフェクチュエーションを構成する「5つの原則」を、具体的な事例や図表を交えてわかりやすく解説しています。
「5つの原則」とは、以下のようなものです。
- 手中の鳥の原則:目的ではなく、手持ちの資源をもとに「何ができるか」を発想する。
- 許容可能な損失の原則:期待利益ではなく、失敗したときに許容できる損失を基準に行動する。
- クレイジーキルトの原則:競合ではなく、パートナーとの協働を模索し、コミットメントを獲得する。
- レモネードの原則:偶然や不測の事態を避けるのではなく、テコとして活用する。
- パイロットの原則:未来は予測できないので、自分の行動で未来を創造する。
これらの原則は、起業家だけでなく、新規事業やイノベーションに挑戦するビジネスパーソンにとっても有用なものです。なぜなら、エフェクチュエーションは、予測や計画に頼るのではなく、自分のできることを小さくても積み上げ、フィードバックを受けながら、価値や市場を形成していくという、反・因果論的なアプローチだからです。このようなアプローチは、変化の激しい現代社会において、柔軟で創造的な行動を促します。
本書の特徴は、エフェクチュエーションの理論だけでなく、その実践方法や活用法にも触れていることです。例えば、自分の手持ちの資源を整理するワークシートや、パートナーとのコミットメントを可視化するマトリクスなど、具体的なツールが紹介されています。また、エフェクチュエーションの思考様式を個人や組織でどのように取り入れるかについても、ヒントや事例が豊富に示されています。
本書は、エフェクチュエーションの概念を知りたい人はもちろん、実際に起業や新規事業に取り組んでいる人、あるいはこれから取り組もうとしている人にとって、非常に参考になる一冊です。エフェクチュエーションは、市場や価値を創造するという、ビジネスの本質に迫る思考法です。この本を読んで、エフェクチュエーションの「5つの原則」を身につけ、自分の行動で未来を創造していきましょう。
エフェクチュエーションの起源は、インド人の経営学者サラス・サラスバシー教授が、カーネギーメロン大学の博士課程で行った研究により発見されました。彼は、27人の成功した起業家の思考プロセスを分析し、エフェクチュエーションという概念を提唱しました。エフェクチュエーションは、目標ではなく手段をもとに市場や価値を創造していくという反・因果論的な思考法です²。この本は、2001年に英語で出版され、2015年に日本語に翻訳されました³。エフェクチュエーションは、不確実性の高い状況下で柔軟に行動できる方法論として、多くの注目を集めています⁴。
発見される事業機会とは、市場や顧客のニーズに応える新しい製品やサービス、あるいは新しい事業領域のことです。発見される事業機会を見つける方法には、様々なものがありますが、一般的には以下のようなステップがあります。
- まず、外部環境の変化や動向を分析することで、潜在的な市場や顧客のニーズを探ることができます。このとき、PEST分析¹や3C分析²などのフレームワークを用いると、体系的に情報を整理できます。
- 次に、自社の強みや弱み、脅威や機会を分析することで、自社の競争力や市場ポジションを把握できます。このとき、SWOT分析³などのツールを用いると、自社の状況を客観的に評価できます。
- さらに、自社の強みや機会を活かし、外部環境の変化やニーズに応えることができる新しい製品やサービス、あるいは新しい事業領域を発想することができます。このとき、生活者起点の機会発見や事業創造⁵などのアプローチを用いると、革新的なアイデアを生み出すことができます。
以上が、発見される事業機会を見つける方法の一例です。もちろん、これらのステップは必ずしも順番通りに行う必要はありませんし、他にも様々な方法があります。重要なのは、自分の事業に適した方法を見つけて、実践することです。発見される事業機会は、自分で探して、創っていくものです。
手中の鳥の原則とは、エフェクチュエーションという起業家の思考法の一つです。エフェクチュエーションとは、不確実性の高い状況下で、自分が持っている手段やパートナーのコミットメントを活用して、市場や価値を創造していくという行動様式です
手中の鳥の原則は、目的ではなく、手持ちの資源をもとに「何ができるか」を発想するということです。手持ちの資源には、自分が何者であるか、何を知っているか、誰を知っているかの3つのカテゴリがあります²。これらの資源を明確にし、それらを組み合わせて新しい可能性を探ることで、自分の行動で未来を創造していきます。
手中の鳥の原則のメリットは、今すぐに行動を起こせることです。目的から逆算して計画を立てるのではなく、手元にあるもので何ができるかを考えて、小さくても着手できることを始めることで、フィードバックを受けながら価値や市場を形成していくことができます
手中の鳥の原則の事例としては、以下のようなものがあります。
- エアビーアンドビーは、創業者が自分の部屋を貸し出すことで資金を調達したことから始まりました⁴。彼らは、自分が持っていた空き部屋という資源を活用して、新しい価値を提供するビジネスを生み出しました。
- ドワンゴは、創業者が自分の趣味であるゲーム開発の知識と、インターネットの技術を活用して、オンラインゲームのサービスを提供しました。彼は、自分が知っていることとできることをもとに、新しい市場を創造しました。
以上が、手中の鳥の原則についての説明です。この原則を実践することで、自分の資源を最大限に活かして、ビジネスイノベーションを加速させることができます。
許容可能な損失の原則とは、エフェクチュエーションという起業家の思考法の一つです。エフェクチュエーションとは、不確実性の高い状況下で、自分が持っている手段やパートナーのコミットメントを活用して、市場や価値を創造していくという行動様式です¹。
許容可能な損失の原則は、期待利益ではなく、失敗したときに許容できる損失を基準に行動するということです。つまり、損失は出る前提で、どこまでの損失だったら受け入れられるかをあらかじめ決めておき、それを超えないように挑戦するということです²。
許容可能な損失の原則のメリットは、リスクを最小限に抑えながら、新しい価値や市場を探索できることです。期待利益を追求すると、大きな投資や競争が必要になりますが、許容可能な損失を基準にすると、小さな資金や協力者で始められます³。
許容可能な損失の原則の事例としては、以下のようなものがあります。
- ドミノピザは、創業者が自分の車を売って得た500ドルという許容可能な損失で、ピザの配達ビジネスを始めました⁴。彼は、自分が失っても大丈夫な範囲で、新しい価値を提供するビジネスを生み出しました。
- リーバイスは、許容可能な損失の原則を応用して、新しい製品開発を行っています。彼らは、新しいアイデアを試すときに、最初は小さな市場やニッチな層に対して、少量の製品を提供して、反応を見るという方法をとっています
レモネードの法則とは、エフェクチュエーションという起業家の思考法の一つです。エフェクチュエーションとは、不確実性の高い状況下で、自分が持っている手段やパートナーのコミットメントを活用して、市場や価値を創造していくという行動様式です¹。
レモネードの法則は、偶然や不測の事態を避けるのではなく、テコとして活用するということです。つまり、レモンに一手間かけてレモネードを作るように、失敗や欠陥も見方を変えたり、使い方を工夫すれば新しい価値を生み出せるという考え方です²。
レモネードの法則のメリットは、柔軟で創造的な行動を促すことです。予測不可能な状況において、困難や障害を恐れるのではなく、チャンスと捉えることで、新しい解決策やビジネスモデルを発見できます³。
レモネードの法則の事例としては、以下のようなものがあります。
- ポスト・イットは、3M社の研究者が強力な接着剤を開発しようとして失敗したときに生まれました。彼は、弱い接着力のある粘着剤を使って、自分の聖歌集にメモを貼り付けるようにしていました。そのアイデアを見た別の研究者が、便利なメモ用紙として商品化することを提案しました⁴。
- ツイッターは、ポッドキャスティングのサービスを提供していたOdeo社が、AppleのiTunesに市場を奪われたときに生まれました。社員たちは、新しいアイデアを出すためにハッカソンを開催しました。その中で、140文字以内のメッセージを送受信できるサービスが考案されました⁵。
以上が、レモネードの法則についての説明です。この法則を実践することで、自分の行動で未来を創造していきましょう。
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