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日本製鉄の転生 巨艦はいかに甦ったか


この本は、日本製鉄の驚異的なV字回復とグローバル展開を描いたノンフィクションです。著者の上阪欣史氏は、日経BPの編集長であり、日本製鉄の取材に長年携わってきました。本書では、日本製鉄の社長である橋本英二氏をはじめとする経営陣や現場の声を多く紹介し、日本の重厚長大産業の中でも代表格である日本製鉄の「転生」をリアルに描き出しています。

第1章 自己否定から始まった改革

この章では、日本製鉄が2019年に過去最大の最終赤字4300億円を計上したことをきっかけに、構造改革に着手した経緯を紹介しています。日本製鉄は、国内の5つの高炉を削減し、32の生産ラインを休止するという衝撃的な発表をしました。これは、日本製鉄の歴史において最大の規模縮小であり、労組にとっては「暗黒の金曜日」と呼ばれる日でした。しかし、この決断は、日本製鉄の自己否定と自己変革の始まりでもありました。橋本社長は、「2年以内のV字回復」を宣言し、退路を断ちました。日本製鉄は、自らの弱点を認め、市場の変化に対応するために、従来のやり方を捨てる勇気を見せたのです。

この章を読んで、日本製鉄の危機感と決断力に感心しました。日本製鉄は、日本の鉄鋼業のリーダーとして、長年にわたって培ってきた技術や伝統を誇りにしていました。しかし、それが逆に足かせになり、国際競争において劣勢に立たされることもありました。日本製鉄は、その状況を打破するために、自らのアイデンティティを見直し、必要な変化を断行したのです。その姿勢は、日本の伝統的な大企業にとって、大きな示唆を与えるものだと思いました。

第2章 「値上げなくして供給なし」 大口顧客と決死の価格交渉

この章では、日本製鉄が、大口顧客である自動車メーカーや家電メーカーとの価格交渉において、どのようにして値上げを実現したかを紹介しています。日本製鉄は、構造改革の一環として、鉄鋼製品の価格を見直す必要がありました。しかし、顧客は、価格の引き下げを要求し、日本製鉄の製品を他社に切り替えるという圧力をかけてきました。日本製鉄は、この状況に対して、「値上げなくして供給なし」という強気の姿勢で臨みました。日本製鉄は、自社の製品の品質や性能の優位性をアピールし、顧客のニーズに応えるために必要なコストを説明しました。また、価格交渉は「孫子の兵法」で正面突破するという戦略を採りました。つまり、顧客の動向を事前に把握し、最も重要な顧客から順に交渉を進め、他の顧客にも値上げを受け入れさせるという方法です。この結果、日本製鉄は、大口顧客との価格交渉で、ほぼ全ての製品で値上げを実現しました。

この章を読んで、日本製鉄の交渉力に感心しました。日本製鉄は、かつては負け犬体質で、顧客の要求に応じて価格を下げることが多かったと言われています。しかし、この章では、日本製鉄が、自信と誇りを持って自社の製品の価値を主張し、顧客と対等に渡り合う姿が描かれています。日本製鉄は、顧客との関係を単なる取引ではなく、パートナーシップとして捉え、相互の利益を追求することを目指しました。その姿勢は、日本製鉄のブランド力や競争力を高めるものだと思いました。

第3章 異例のスピードで決断 インドで過去最大M&A

この章では、日本製鉄が、インドの鉄鋼メーカーであるエッサールスチールを買収した過程を紹介しています。日本製鉄は、インド市場に参入するために、エッサールスチールの買収に興味を持ちました。エッサールスチールは、インド最大の鉄鋼メーカーの一つであり、高品質な製品を生産する能力がありました。しかし、エッサールスチールは、巨額の債務を抱えており、インド政府によって破産手続きに入れられていました。日本製鉄は、このチャンスを逃さず、エッサールスチールの買収に名乗りを上げました。しかし、この買収は、激しく抵抗する創業家や他の入札者、さらにはインドの法律や制度との闘いでもありました。日本製鉄は、異例のスピードで決断し、インドのパートナーであるアルセロール・ミタルと共に、エッサールスチールの買収に成功しました。この買収は、日本製鉄にとって、過去最大のM&Aであり、インド市場での一貫生産の基盤を築くことになりました。

この章を読んで、日本製鉄の挑戦心と実行力に感心しました。日本製鉄は、インドという未知の市場に飛び込み、複雑で困難な買収挑戦します。

第4章 グローバル展開の先駆者 ブラジルでの一貫生産

この章では、日本製鉄が、ブラジルでの一貫生産を実現した事業を紹介しています。日本製鉄は、ブラジルにおいて、鉄鉱石の採掘から鉄鋼の製造までを一貫して行う事業を展開しています。この事業は、日本製鉄のグローバル展開の先駆けとなりました。日本製鉄は、ブラジルの地元企業や政府との協力を得ながら、環境や社会への配慮を重視し、高品質な鉄鋼を生産しています。また、日本製鉄は、ブラジルでの事業を通じて、多様な文化や価値観に触れ、グローバルな視点を身につけることができました。日本製鉄は、ブラジルでの一貫生産を成功させることで、世界の鉄鋼市場における競争力を高めるとともに、ブラジルの経済や社会に貢献することを目指しています。

この章を読んで、日本製鉄のグローバルな挑戦に感心しました。日本製鉄は、ブラジルという異なる国で、一貫生産という難易度の高い事業に取り組みました。日本製鉄は、ブラジルの自然や人々との調和を大切にし、地域社会に根ざした事業を展開しました。日本製鉄は、ブラジルでの事業を通じて、自らの技術やノウハウを活かすだけでなく、新たな知識や経験を得ることができました。その姿勢は、日本製鉄のグローバルな成長につながるものだと思いました。

第5章 未来への挑戦 次世代の鉄鋼技術

この章では、日本製鉄が、次世代の鉄鋼技術に取り組んでいる内容を紹介しています。日本製鉄は、鉄鋼業界における最大の課題であるCO2排出量の削減に向けて、革新的な技術の開発に力を入れています。日本製鉄は、水素を使った鉄鋼製造法や、炭素回収・利用技術など、環境に優しい鉄鋼技術の研究を進めています。また、日本製鉄は、自動車や建築などの分野において、高強度で軽量な鉄鋼材料の開発にも取り組んでいます。日本製鉄は、これらの技術を通じて、鉄鋼の可能性を広げ、社会のニーズに応えることを目指しています。

この章を読んで、日本製鉄の未来への挑戦に感心しました。日本製鉄は、鉄鋼業界において、常に先端を走る技術を追求しています。日本製鉄は、環境問題に対する責任感と、社会の変化に対する柔軟性を持って、鉄鋼技術の革新に努めています。日本製鉄は、これらの技術を通じて、鉄鋼の価値を高めるとともに、社会の発展に貢献することを目指しています。

最後に

この本は、日本製鉄の転生とグローバル展開を描いた興味深い一冊です。日本製鉄は、危機に直面したときに、自らの弱点を克服し、必要な変化を断行することで、V字回復を果たしました。日本製鉄は、国内外の市場において、高品質な鉄鋼製品を提供することで、競争力を高めました。日本製鉄は、次世代の鉄鋼技術に取り組むことで、鉄鋼の可能性を広げました。日本製鉄の転生とグローバル展開は、日本の重厚長大産業の中でも代表格である日本製鉄の「転生」をリアルに描き出しています。

この本を読んで、日本製鉄の危機感と決断力、交渉力と実行力、挑戦心と未来志向に感心しました。日本製鉄は、日本の鉄鋼業のリーダーとして、常に先端を走る技術を追求し、社会のニーズに応えることを目指しています。この本は、日本製鉄の「転生」を知ることで、日本の産業や経済について考えるきっかけになると思います。この本を読んで、日本製鉄の「転生」を知ることで、日本の産業や経済について考えるきっかけになると思います。この本をおすすめします。👍

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