マガジンのカバー画像

キタダヒロヒコ詩歌集

196
三重県で詩や短歌、俳句を花びらのように書き散らしてきました。noteマガジンにまとめていきます。ぜひお読みいただけましたら嬉しいです。あなたのどこかに残る言葉がありますように。
運営しているクリエイター

#詩歌

キタダヒロヒコ詩歌集 EXTRA 詩を書くしかない生き方を選んだから詩人なのだ

少年期から詩を書いてきた。 詩と生活のどちらに比重を置くかを真剣に葛藤する、そういう段階を、たしかにわたしも経験した。 詩を書くことが生活の糧になる、そんな人生を選べるはずなどないことなんて、書き始めた最初のころからわかっていた。 「詩を生活の糧にする」人が「詩人」ではないことも。 詩は生活の余滴。 そう語る人に会って、うなずいたこともある。 そのときは、心からそう思ったような気もする。 でも。 そうではない生き方を選んだ者がいたことも知っていた。 じつは自分自身がしんそこ

キタダヒロヒコ詩歌集 115 雪のワゴン

仕事帰りに近くのコメダにきましたら 雪を被つた黒いワゴン車がをりまして わたしはその耀きたる車体の隣に わたしの車を停めたくなりて そおつと丁重に停めたのでした コーヒー一杯を飲み干す頃 窓のあちらをフト見れば 雪のワゴンはかへらうとして とつぜん窓を照らしつけ ああそのとき 降る雪が はやきかげをば見せました コメントやスキをお待ちしています。 サポートとオススメをしていただけたら最高に嬉しいです。

キタダ詩歌集再録Ⅰ 「ゆらぐ」

noteを始めたころに投稿して、あまり多くの方に読まれていない作品を再録してアップします。 お読みいただいたあと、引用部の「スキ」をぽちっとしていただけたら喜びます笑。あ、コメント欄は宝物ですので、ぜひ一言お願いします! では、きょうはこの詩を。

キタダヒロヒコ詩歌集 39

先頭車両が過去を抜けてくる 現在のつまさきで停車 わたしのからだと すこし遅れるこころを つぎの駅まで移し ようやくことばを思い出しかけたころ すべておひらき まっくらな星が満天から降り  わたしはからだを足で運ぶ さざなみにあこがれすぎないよう 死ぬことよりも 気をつけなければ あっという間に 朝のからだになってしまう 色どもがよみがえらぬうちに できるかぎり歩いておこう 今夜なら それができるので コメントやサポートをお待ちしています🚃

キタダヒロヒコ詩歌集 36

凍えつつ熱き缶コーヒーすすりうつむいてゐた夜明け、が資(もとで)    キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしています🌃

キタダヒロヒコ詩歌集 35

夜半近くともなるとあり得ない出逢ひを期待して床に入る、頭の内部の川がきみょうに水平となりそして一瞬波打つ、浮かんではすぐ忘れさうになる星達を書き留めるため私は死んでしまつた歌をうたふ、ボールペンの謹直なBODYの周囲に月の光がもう渦まいてゐる。 コメントやサポートをお待ちしています🌔

キタダヒロヒコ詩歌集 34

ぐしやぐしやの紙くづになつたボンネット見てゐたときの冷たい雨を 道ばたにゆつくり風をしたためてのりこえませう死にゆくものら ホームラーンの声弓なりに月に届きふたたび月へ打つ四番打者 コメントやサポートをお待ちしています🌔

キタダヒロヒコ詩歌集 33

秋    キタダヒロヒコ 年老いたおさない少年よ 降り続く雨のように美しい道がつづく 忘却と経験の昼下がり いつでも目覚める用意はあるのだ 年老いたわかい少女よ 思い出がきょうも森へ車を走らせる かつて人の血のぬくみに耳をおしあてた木陰を ひとときたしかめるためだけに 右手に土手がことしもえんえんと伸びてる ふいにぎんいろに土手を覆う穂波がみえ あなたがこれからする経験がかがやいている コメントやサポートをお待ちしています。

キタダヒロヒコ詩歌集 32

にせものも神をしんじる にせものもなみだをながす 空をみあげる    キタダヒロヒコ にせものだ、ほんものだ、なんてだれが決めるんだろう。 コメントやサポートをお待ちしています🌆

キタダヒロヒコ詩歌集 24

午後の街からはぐれつつ 陽あたりの好いかくれ家へ 他人のやうな詩神をつれて。 詩神はたれにもみえませぬ いや ともすれば 詩神はだれとも会ひません だれとも詩神は会はぬまま 朝鮮辺の茶の香をかいで わたしを離れてゐたりする。 わたしの視線は窓に泳いで 離れていつたと思ふとき いつものことだが焦つてしまふ またともすれば大人げもなく さらりと流せず 居てもゐられず 冬の街とかを歌つてしまふ 朝鮮の茶の店のこととか 詩神はいつも他人のやうです わたしに降りてたとき

キタダヒロヒコ詩歌集 21

ひさびさの冷たさ連れてきたからね ノースリーブの肩に挿しとく    キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしています🌹

キタダヒロヒコ詩歌集 17

深海をしらべるひとが大勢ゐるやうに、深夜といふものの調査もかなり進んで来た。 アコーディオンそつくりの姿かたちをした、敏感で獰猛な生き物のことは、既に多くのひとが識つてゐると思ふ。それはいつも(深夜になると)両手をひろげてさみしい獲物をとらへる。そしてますますかなしみの深度を深めてゐる。 時たま青白いざらざらしたひかりの粒子が、忘れ果てられた砂時計の砂にまじつて積もつてゐる場所があつたり、 むかし時間を分け合つた恋びと達が、それぞれの部屋で思ひおもひに過ごしながら出番を待

キタダヒロヒコ詩歌集 16

うつそみにあまねき水脈よ一杯の真みづかをればあさく痺るる   キタダヒロヒコ 水脈=みを、一杯=ひとつき コメントやサポートをお待ちしています🚰

キタダヒロヒコ詩歌集 15

華びらのやうにほどけて海老の身はひとのうたげの舌に灯りぬ   キタダヒロヒコ コメントやスキをお待ちしています🦐 サポートやオススメ、紹介記事などとてもとても嬉しいです!