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キタダヒロヒコ詩歌集

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三重県で詩や短歌、俳句を花びらのように書き散らしてきました。noteマガジンにまとめていきます。ぜひお読みいただけましたら嬉しいです。あなたのどこかに残る言葉がありますように。
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2023年5月の記事一覧

キタダヒロヒコ詩歌集 153 10代の頃の詩より③ ジャイアンツ(1985年)

ジャイアンツ    キタダヒロヒコ 雨は百晩降り続いた  (ベンチに帰る篠塚の背なかと 和子のオーブンの中も湿気になってしまった  (原辰徳の鬱屈した笑顔 しかしもう利雄はかぼちゃパイを待ってはいないだろう、  (の間隙を僕の思いで縫う(縫いつける 和子はタカをくくっていた  (スコアボードに阪神はどうやら負ける、と白書きされる きっと 甲子園にいるんだわ  (177) 甲子園は雨 雨の中で試合をやってる 和子はオーブンの湿ったままコンセントを入れて 噴いてくる黒煙を な

キタダヒロヒコ詩歌集 152 10代の頃の詩より② 昭和五十九年の歌

昭和五十九年の歌    キタダヒロヒコ 眼球は 天をめざして舞いあがるよ 桜吹雪の混沌(カオス)のなかから 解き放たれて わき目もふらず翔んでゆくきみよ なにをみた Z旗の夢か それとも おさない記憶の 過ぎ去りし日々の幻燈 (すぎ去りし恐怖をやさしく帯びて) 皇国の興廃此の一戦にあり 各員一層奮励努力せよ つかのまの幻燈に見たか このなつかしいすべて 一瞬になくしてしまうこと なくしてしまってはじめてきみは きみが今までここに居たことを知り おっことした涙 で だいすきだ