ピアノコンクール その2

おはようございます!
では早速前回の続きを書いていきます


舞台の女の子の曲が中盤に差し掛かり

ちょっとミスタッチしてしまったようです

御愛嬌のリトライで乗り越え、、、、、
アッとまた失敗
3度目の正直で、、、、
いや駄目でした

その後も挫けず
何度もトライし続ける女の子

果てしなく繰り返される
まるで無限ループ

こんなとき母親はどうしてるかなと
斜め前を見ますが
平然とビデオを撮り続けています…

審査員が干渉するわけでもなく

こんな時はどうするのだろうと
見たことのない光景になすすべがない僕


するとどこからか

すすりなく声が聞こえてくるような、、、
まるでホラー空間のごとく

それが弾いている本人の泣き声だと気付くのに
少し時間が必要でした

考えてみれば本人以外あり得ないのですが

どうやらホールの反響音で
音が回って聞こえてくるようです

本人の横顔からも判別がつきづらい

弾いては失敗し
泣いてリトライ

少し泣きやみますが
また失敗して泣いてリトライ

その果てしない繰り返しの中で
場内は異様な空気に包まれて行きます


終止符をうったのは
やはりこの人 

そう母親です!

さすがに居たたまれなくなったのか
ビデオを下して舞台に駆け寄ります

そこは飛ばしなさい
とでもアドバイスしたのでしょう

女の子はそのあと無事に弾き終わりました

さすがに最後の挨拶は泣きっ面でしたが、、、

付添の父親が苦々しい表情と足取りで
袖から出てきて共にはけていきました

場内もハラハラからほっと一息に

その後も続々と
テンポよくトラブルなく
コンクールは続きましたが

ふと母親がスマホで
誰かとやり取りをし始めたのを見て

僕の中で何か強烈に
役割が発生している感覚が湧きあがり始めます

しゃべれない状況なので
何か書くものはと

ポストイットが手帳に貼ってある事を思い出し
そこに書いて母親に渡すことにしました

その内容は確か

何度もチャレンジしたことと
失敗後も丁寧に弾き抜いた事を
褒めてあげて下さいね

といった内容で
優しそうなご両親でしたので
多分余計なおせっかい 
とも思えましたが

その母親は感謝とともに
受け取ってくれました

分かってますから大丈夫ですよと
言われる可能性もありましたが

万が一にも
これをトラウマにして
才能を閉じる事があってはならないと感じたのでした


ここで終わっても良いのですが
まだまだ続きがありそうなので

また区切ってしまいます

またお会いしましょう♪

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